『一歩先は足場もない崖だと思っていたら実は楽園だった』
僕はこれまでの人生で一度も『人生の第一志望』というものに合格したことはなかった。
学校の成績もとりわけいいわけではなく、せいぜい中の上
スポーツはといえば、足が速いわけでもなく、男子中高生の平均値くらいだ。
クラスで最高でも最悪でもないどこにでもいそうな冴えない僕は世間で言う『一般ピーポー』というやつだったのだろう。
当時は特に劣等感というものもなかったので『どうせ自分は...』と無意識に諦めていたのかもしれない。
そんなごく平凡な人生を送ってきた僕だったがついに転機と呼べる時がきた。
『大学受験』だ。
僕は中学は地域の公立校で、高校も隣の市にある偏差値50くらいのところだった。
そんな『THE・平均人生』を歩んできた僕は大学くらい頑張っていいとこを狙ってやろうと決意したのだ。
なぜここにきて頑張って平均値以上の人生を狙おうと思ったのかははっきり覚えていないが、おそらく『いい大学=人生のステータス』というまぁ日本の学歴社会の風潮に洗脳されていたのだろう。
高校2年の春から進学塾に通い、3年になってからはほぼ毎日勉強していた。
多分、夕方5時に塾の講義を受け、深夜0時くらいまで自習室でこもって一人勉強していた。
学校が休みの日は16時間はやっていたと思う。
完全に自分はスーパー受験生になった気分でいた。
成績もどんどん上がっていき、第一志望は余裕のはず
....だった。
しかしあれだけ頑張った結果、第一志望の大学の全学部に落ちてしまった。
わけがわからなかった。
『あれだけやったのに...なぜ』
その悔しさと同時に
『どうせ自分は結局こんな人生なんだ』とふとあの言葉が蘇った。
結果、滑り止めで受けた三流大学に入学し、留年することもなく無事に4年で卒業できた。
親しい友達は多くでき、プライベートは充実していた。
しかし、遊びに夢中になりすぎていたのか勉強は全然してなかった。義務教育という檻から完全に自由になった僕は、授業はよくサボるし、そもそも大学に行かないことも少なくなかった。
テストはレポートを出せば平均点は取れるような授業ばかり受講したおかげで単位は取る事ができた。
昔からこういう無駄に効率がいいところだけは才能だったかもしれない。
大学3年の秋、ある一大イベントが始まる。
そう『就職活動』だ。
僕は就職して会社で働いている自分がどうも想像できなく、全くやる気がなかった。
大学生活が楽しすぎたのかいつまでもこうして遊んでいたいと思っていた。
ピーターパン症候群と言われてもおかしくないくらい。
だが周りの友人は就職活動に専念しているわけでしないわけにもいかなかった。
とりあえず基本的な活動はしてみた。
会社説明会に行ったり、筆記試験の勉強をしたり、しかしどの会社の説明会に行っても全く働きたいと思える会社がなかった。
『自分は社会不適合者なんだ』と本当に思っていた。
ただ周りに合わせて就活している感が半端ではなく、当然そんな気持ちでやってもいい結果が出ない。
またあの言葉が頭を遮った。
気付いたら僕は就活をやめていた。
完全に『ダメなやつ』の仲間入りだ。
自分のこの先の人生はどうなるのだろうか。
『ニートか』『フリーターか』それとも...
そして迎えた卒業式
周りはと言えば、大手企業に内定したやつもいれば、国立大学の大学院に行ったやつもいる。
そんなやつらを見ていると劣等感を感じずにはいられなかった。
涙と笑顔で満ちるはずだった卒業式に僕はウソの笑顔でできた仮面を被ってそこに立っていた。
楽しかった大学生活が終わる一方で、明日から何もない人生が始まる不安を感じていた。
桜舞う4月、テレビのニュースでは各会社の入社式が取り上げられていた。
期待と不安に満ちた多くの新社会人がそこには写っていた。
『自分は一体何をやっているのだろう』
そんなことを考えながら月日は過ぎ、気付けば蝉のなく季節になっていた。
アルバイトはしているものの、このままだらだら行けば本当にお先真っ暗じゃないかと思った僕は再び就職活動をすることにした。
それは『義務』でしかなかった。
義務教育から卒業したのに、義務社会へ入学したのだ。
とりあえず、何社か受け、なんとか内定をもらうことができた。
当然、一流企業ではなく、ごく普通の中小企業だった。
それでも僕は嬉しかった。
大学卒業後の人生と比べると天と地の差だ。
『これで立派な社会人だ』と胸をはって自分に言う事ができる。
希望溢れる社会に飛び込んだはず
だったのだが....
どうもおかしい。
みるみる体重は落ち、顔から生気はなくなり、気付けば廃人になっていたのだ。
こんなはずでなかった。
もっと生き生きと働き、立派な社会人てやつになるつもりだった。
勤務時間は1日15時間勤務が1ヶ月以上続き、会社で寝泊まりしている人させもいるくらいだった。
そう僕が入社したのは『ブラック企業』だったのだ。
・1ヶ月連勤当たり前
・残業代はもちろんなし
・ボーナスもなし
・昇給は1年1回の500円
・おまけに退職金もなし
素晴らしいくらいの労働環境だったと自分で思える。
もうネタでしかない。
こんな会社でも辞めなかったのは、『もうあの時に戻りたくない』と思っていたからだ。
夢に向かっていく友人と一歩も前に進んでいない自分を見たくなかった。
そのわけのわからない原動力のおかげで気付けば入社3年目を迎えていた。
その頃には僕には『ブラック企業の社畜』というブランドがついていた。
こんな会社でも勤続していれば環境も変わり、よくなるだろうと思った。
しかし僕の考えは甘かった。
ふと10年先の先輩を見ると僕と変わらない仕事をしていたのだ。
そして命令にYESと答えるだけのロボットになっていた。
『あれ?これやばいんじゃないか...』
僕は10年後の自分にその先輩を重ねてしまった。
希望を求めて飛び込んだ社会の姿はそこにはなかった。
『自分が本当に求めていたものはなんだろう』
『見栄か?』
『ステータスか?』
そう思えばずっとそうだった。
僕は何に対しても本当の本気になったことはなかった。
大学も就職もこれまでの人生において『自分の人生の第一志望』から逃げていた。
いやむしろ『諦めていた』のかもしれない。
そんなことを思っているとあの楽しかった大学生活の思い出が蘇ってきた。
『もっと自由にクリエイティブに生きられたらなぁ...』
いつしかそんな風に思うようになっていた。
それが確信に至までそう長くなかった。
見つけた。僕の人生の第一志望。
『何にも縛られることなく、自分らしく生きられる手段』
そう考えた時、答えは一つしかなかった。
『独立』
しかしごく一般のサラリーマンだった僕は独立と言ってもお金も実力もましてやコネなんて全くなかった。
どう考えても会社を辞めて失敗するパターンだ。
でも僕は諦めなかった。いや諦めれなかった。
今、やらなければいけないと直感で思った。
これまで自分の人生に対して中途半端にやってきたのだから、やっと見つけた自分の第一志望に本気で挑戦して見ようと決意した。
そこからこんな僕でもできることはないかと探しまくった。
お金も実力もコネもないただのサラリーマンが独立して自由な人生を手に入れるなんて、ドラえもんのひみつ道具を使わなければならないくらいのレベルだとは十分承知していた。
そして僕はある知恵と出逢った。
それが正しいか間違っているかはわからなかったが
『これしかない!!』と思ったのだ。
人間は不思議なもので根拠や自信がなくても運命を感じた時、心にビビッと電流が走るものなんだと今なら言える。
僕は人生のすべてをかけて取り組んだ。
本当にこれまでにない真剣さがそこにはあった。
自分の人生の第一志望が叶う瞬間を想像するのが楽しくて仕方なかった。
しかし、忘れていたことがあった。
『会社』だ。
僕はもう辞める気満々でいたのだが、そう簡単に辞めさせてもらえるほど甘くなかった。
『あと数年あれば将来ある会社になる』
『どうしても隣の芝は青く見えてしまうものだから』
なんどこの言葉を言われたかわからない。
確かに辞めたらどうなるかわからない。
会社を辞めて独立するということは、自分の力で生きていくということだ。
会社の看板を借りることも、毎月一定額の給料が口座に入ることもなくなる。
言ってしまえば
『一歩先は足場もない崖』ということだ。
そう考えると不安はあったが、これだけは譲れなかった。
ここでやめてしまえばまた逆戻りだとわかっていたからだ。
そして来たる退職日
3年半お世話になった会社を辞めた。
そして崖だと思っていたその先は、ちゃんとした一本道が続いていた。
□最後に□
最後までお読み頂きありがとうございました。
ここまでご覧になって『なんてダメなやつなんだ』と思われたことでしょう(笑)
僕自身も過去を振り返って文章を書いている途中で『完全にダメなやつだな』と実感しました(笑)
そして、僕は今インターネットビジネスという仕事をしており、自ら実践するだけでなく、多くの人に教えるといったコンサルティング活動もしています。
僕が3年半会社で働き独立して今は自由な人生を歩んでいますが、本文でも書きましたがとりわけ素晴らしい実績があったわけでもありません。
そんな僕がこのようになれたのは『人生の第一志望』を見つけ、本気で挑戦したからだと思います。
人生の第一志望って聞くと何か大層なことに思えますが、全然そんなことなくて誰もが持っていることだと思うんです。
例えば、『もっと遊ぶ時間が欲しい』『レストランでおいしいものを食べたい』とか
人生の第一志望=夢ではありません。
人生の第一志望とは『あなたの本音』です。本当にやりたいことです。わがままです。
でも大人になるうちにみんな諦めてしまいます。
『どうせ無理だろ...』って
その時点で一生叶いません。
なので年齢や経験、環境なくそれぞれのわがままを持って、『どうやれば実現するかな?』
と考えることが大事です。
考えるうちに選択が見えてきます。
僕はその選択をして本気でやったまでです。
ですので、どんな些細なことでも人生の第一志望を見つけ挑戦してみてください。
長々となってしまいましたが、僕の話はこれで終わりにします。
ストーリーの続きが気になる方は僕のブログのプロフィールで発信していますのでそちらをご覧下さい。
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