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16/2/1

恋愛コンプレックスがくれたご褒美 第3話

Image by Olia Gozha

高校を卒業した後






僕はギタリストの道を目指す志だけは持ってはいたものの


じゃあ、この先どうするか?なんて皆目、検討もつかなかった。




なんせ今までどっぷりとお勉強の世界。


ギターでプロ


なんて、両親すら何の情報も持ってらっしゃらない。




当時読んでいたギター雑誌には


プロを目指すなら!というキャッチコピーの


音楽専門学校の広告が並んでいて


まず、一年間だけ通ってみることにした。






そこで就かせていただいたのが


いわば、僕の人生最初のギターの先生になるのだが


矢掘孝一さん


という、ジャズギターの分野では非常に著名な素晴らしいギタリストで




授業や学校で僕をとても可愛がってくださった。






今思えば、それは本当に恵まれていた出会いだった。


なんせ、僕はそのことをきっかけにして


ジャズに興味を示し始めることができた。


矢掘さんの与えてくれるジャズの課題、当時僕にはまったく


手も足も出なくて、純粋に「出来ない」 ということが


無茶苦茶に悔しかった。






腸閉塞の手術の時に


僕をギター人生に開眼させてくれたギタリストは

Steve Vaiという米国のギタリスト。


アメリカ、マサチューセッツ州ボストンに所在する


世界的に有名な音楽大学、バークリー音楽大学の出身。






自分もいつか絶対にバークリーに行ってやる!!






まるでバークリーに行くことが人生の目標かのごとく、僕は高校生時代からそれを夢見ていた。


そのバークリーは、ジャズのエデュケーションで世界に名を馳せている学校。


ジャズに興味を持ったことで、バークリーという目標が一層


自分の中で強固化した。








実は僕は


専門学校に入る前、神戸で行われた


バークリーの奨学金のオーディションを受けていた。


結果はゼロ$。


つまり、完封なきまでに


不合格!!の烙印を押されたわけだ。


憧れの学校に。






過保護体質で打たれ弱かった自分には


それ本当寝込むぐらいにショッキングな体験で


今まで受験の世界では、不合格なんて一度も経験したことがなかったから


初めて味わう挫折に


途中からプロギタリスト目指すなんて所詮


荒唐無稽な単なる 












儚い夢にすぎないのであろうか・・・・と。








受験を押し付けた母を心底恨む気持ちを強くし


実家で毎日のように、親子喧嘩勃発状態。






音楽の道に行かせて欲しかったよ!なんで進学校なんかに行かせたんだ!






と憤る僕に、母は






小さいとき、ピアノのお稽古させてあげたのに


辞めたの、アンタじゃない。






と言い放つ。






そこで、例え僕が


ピアノじゃないでしょが、僕がやりたい楽器は!


しかも、貴女の自己満足でしょ、僕の習い事なんか!








と、頭脳フル回転でどんな口上での反撃をしようが


母は絶対に自分を正当化し続ける。






自分の実力の無さを


やり場のなさと挫折感から来る不甲斐なさを


母のせいにしていただけだった。






音大生という存在


僕は彼ら、彼女らが


コンプレックスだった。






幼少から音楽の英才教育を施され


絶対音感を獲得し


僕なんか足元にも及ばない音楽スキルで


プロ目指してる、なんて発言したら


鼻で笑って一蹴する




そういう人間だけが


当たり前のように専攻楽器不問にて高度なピアノ演奏技術をデフォルトで獲得し


厳しい試験をパスして


音楽家をして通う大学生。






そんなイメージがあって


音大という単語を耳にすると


自分を卑屈に感じた。






その音大に


僕はその後、入学することになる。








バークリー音楽大学と提携し、編入システムを備えた


日本初のジャズ教育を基本とする音大のコースが存在する。






そんなニュースを持ってきてくれたのは


ジャズレコードコレクションが趣味の


僕の父であった。

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