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16/1/27

最高に恥ずかしかったあの日から学んだこと

Image by Olia Gozha

靴下の中から鉛筆8ぽん

絶対にバレないと自信があった。だって、靴下の中に隠したもん。

私が7歳のころ。2つ年上のいとこのお姉ちゃんの家に父と遊びに行った時である。

当時私からみたお姉ちゃんは「大人の仲間入り」だった。

憧れていたお姉ちゃんとしばらく楽しく遊んでいたとき、

お姉ちゃんの学習机の上にあったキキララちゃんの鉛筆が目に飛び込んでくる。

目が血走り、手が汗ばみ、興奮状態に突入。

まるで、刑事番組でもみているかのように、スリル感満点だった。

私は今でもそのときの空気を鮮明に記憶している。

『これをどのように見つからずに家に持ちかえるか、、。』

私は鉛筆を8ぽん取り出し、片足の靴下に4つ、もう一方に4つ隠した。

完璧だと思った。

話もままならず、「そろそろ帰ろう」と父に伝えた。

その帰り道は、父と手を繋ぎながら、鉛筆のこすれた音がならないように慎重に歩いた。

ー家に着いた。ミッション成功!!

ほっと一息ついた時、父から「靴下の中に入っているものは何?」と言われた。

ダアーっと汗が吹き出し、目の前が白くなったことを覚えている。

「絶対に怒られるっ!!」

げんこつ覚悟で恐る恐る靴下から鉛筆を取り出すと、父は大爆笑した。

「今から謝りに行こう。お父さんも一緒に行ってあげるから。」

その戻り道は手を繋がなかった。できればこの道を引き返したい。

繰り返し、そう願っていた。

ーお姉ちゃんの家に着く

「あれ?」と不思議そうに玄関先に出てきた。

父は私の頭に手を添えて一緒に謝った。


その帰り道もまだ手は繋がなかった。

でも、幼心にも感じていたのは、

来る時の道、帰る時の道、返しに来る時の道、戻るときの道の景色が全て違うこと。

そして、戻るときの道が何よりも一番清々しく、好きだった。

この感覚こそが父が私に教えたかった一番のメッセージなのだと今でも思っている。




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