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16/1/12

24歳の田舎育ちの芋娘がたった3年で300人以上の生徒が通うお菓子教室を作った物語~20歳から21歳~

Image by Olia Gozha

ちょうど仕事にも慣れてきた頃、シェフに呼び出された


「あ、藤六。来週から異動な!」

「え!そうなんですか。場所は、、、」


「三重」



ショックだった

ようやく仕事も楽しくなってきた頃だったのに

ついで言うと彼氏も出来たばっかりだったのに


なんで三重!!ここから8時間もかかる山奥のリゾートホテルに異動なんて

聞いてないよ〜〜!!



「ということで、遠距離恋愛になります」



その頃の彼氏、今の旦那にサラっとそう伝え

寂しい〜〜!!と落ち込む彼を尻目に

仕事だから仕方ないと割り切って、またまた一人で見知らぬ土地へ旅立つのです






8時間かけて到着した先はリゾートホテルらしく

人里離れた自然豊かな場所にありました


ホテルは山頂にあり

会社が用意したのは山のふもとのマンション


目の前には廃墟の病院


マンションの住人もほぼいない、こわい


通勤用のママチャリを渡され、毎日1時間くらいかけて

山登り出勤です






山登りした先に待ち受けてたのは

今までとは真逆の世界でした



新しい上司はシェフとは全然違う人で

有塩バターを無塩バターと偽ってお菓子を作ったり

仕事を放棄して、お客さん用の温泉に入りに行ったり

自身の奥さんや子供を馬鹿にしたり


正直言って、こんな人の下で働くのが嫌で嫌で仕方ありませんでした



他のスタッフも意識が低いのか、みんな目が死んでいます

たった数週間前までいた厨房メンバーとは大違い


とりあえず仕事をこなしている、ただそれだけ



世界一のシェフが考えた特別なケーキも

指定の材料ではなく、安い材料を使って、同じ値段で売っている

なんだったらバターは偽っている


そして、それを作っているのは私、、、


大好きなシェフを裏切っている

お客さんに嘘をついている


そう思うと心が苦しくて苦しくて



なんのために私はパティシエになったの



毎日、自分のやっていることに対して罪悪感が募るばかりでした




早くあっちに帰りたい

もう、ここで働くのは嫌だ

嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ



そう思ってるのが伝わったのか、私は上司からイジメられるようになりました



ボールや泡立て器を投げつけられたり


お客さんの見えるところで怒鳴りつけられたり


足を蹴られたり



「藤六はあかん。あいつはあかん」



聞こえるようにみんなに話します



「すいませんでした」


謝っても無視するか、クスクス笑います



すると上司だけでなく、先輩も人が変わりました

自分がミスした発注書でも



「これ藤六が発注したやつです」



やってもないことを平気で上司に言うようになりました。




もう、どこに行っても笑われるか無視されるか

私の居場所はなくなりました。


帰る場所はありません。


大好きな彼もそばにはいません。





そのうち毎日


「死んだらいい」「死ね」


とみんなが言ってるような気がして

本当に目の前が暗くなってきた矢先です




大晦日の日


上司と先輩たちは相変わらず勤務中に温泉に行きました


私には一言


「大晦日やし大掃除しとけよ」と残して颯爽と去っていきました



一人で厨房の大きな冷蔵庫の掃除をしているときです


フルーツがたくさん入った大きなコンテナを持ち上げた瞬間でした





グキッ!!





その場に崩れ落ちました。ぎっくり腰です。

フルーツしか入ってないと思っていたコンテナには

何リットルものたくさんのジュースが入っていました



立ち上がることもできず倒れているとパートのおばちゃんが寄ってきてくれて

大丈夫と肩を支えて起こしてくれたとき



「なにしてんの」



上司が帰ってきました



「すみません、ぎっくり腰になったかもしれ、ないです、、、」



冷めきった目で私を見下します



「あ、そ。」


「すみません、、、」



もう、消えたい

私は大晦日、これからお正月の大事なときになんてことをしてしまったんだろう


ごめんなさい

ごめんなさい

ごめんなさい



この日から私は辛いことがあるとリストカットするようになりました


血液が出ると仕事中バレるので

大きな冷蔵庫に入って隠れてハサミで腕を何度も刺します


うっ血して、ミミズ腫れになったとき

上司も先輩も許してくれてる気がして安心するんです



そして、ぎっくり腰も完治しないままずっと仕事を続けていると

今度は急性腸炎になりました


病院に行くと、私の腕を見たからか心療内科をすすめられ、

そのまま心療内科に行き


うつ病


と判断され、もう仕事はやめなさいとドクターストップを言い渡されました




え、パティシエ、、、やめなきゃいけないの?

もう、どうしていいのかわからない



病院の帰り、ふらふらと歩きながら彼に電話しました


「もしもし〜」

「ん、どした?」

「病院行ったらうつ病って言われたぁ」

「え、愛が?そんなことないやろ」

「ん〜最近腕切ってるからかなぁ〜でも大丈夫」

「、、、、それで?」

「お薬もらったー」

「それで」

「仕事やめなさいって言われたけど、、、」



彼が電話越しに怒っているのがわかります



「お前ちょっと待っとけ、今からそっち行くから」

「え、ちょっと」



電話を切られ、何度かけても通じなくなりました。

やばい、怒られる


数時間後、会社から私の携帯に電話がかかってきます



「藤六さん、ちょっと今大変なことになってるんだよ

お休みのところ申し訳ないけどこっち来てくれる?」



大変なこと、、、私何かしたっけ、、、



「君の彼氏がね、本社のほうに乗り込んだらしくてね

自殺未遂したんでしょ?とにかく来て話しようか」




、、、、、どうしよう。

まさかこんなことになるなんて

なんで本社に行ったの、なんで私の邪魔をするの、なんで勝手に行動するの



「おい、着いたぞ。今、どこ」



彼からの電話です。



「あ、あの家におるけど、、、」

「わかった、そこにおれよ」


こわい。また怒られる。

なんで男の人って殴るの?

なんで怒鳴りつけるの?

なんで、、、なんで、、、




ピンポーン



来た。どうしよう


「はい」

「お前なぁ!そんなになる前にはよ言えよ」

「あの、本社のほうに行ったってほんと?なんでそんな勝手なことするん?」

「行ったよ!ちゃんとシェフに会って説明してきた。お前が大変なことになってるって。

雨だったのに傘もささずに、出てきてくれたぞ。長いこと話聞いてくれて。あの人ええ人やな」


大好きなシェフが、あの偉大なシェフが

傘もささずに、こんな一般人のために出てきてくれるなんて


「辞めてもいいって言うとったで。そっちの会社にも僕から伝えときますって」



そんな、、、そんな、、、



「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」



その場に泣き崩れました






いろいろ周り道したけど、ようやく自分に素直になれました


「あ、あたし、やめても、いい、、?」

「いいよ」

「お父さんと、お母さん、、、怒らんかな?」

「そのまま続けとるほうが親は辛いと思うで、あと俺も嫌やわ」

「なんで?」

「好きな人がそんな自分で腕切ってたら嫌やろ」

「そうなの?」

「そうです」



解放された瞬間でした


しかし、まだ難題はあります。

あの上司と先輩に呼び出されていること



「一人で行けるか?」

「大丈夫」


震える足でいつもの職場に向かうと

上司と先輩、他の部署の偉い人もたくさん来てました


私は椅子に座り、周りを取り囲むようにして全員から質問攻めにされます



「お前、本当に辞めるんか」

「逃げるんか」

「ここで辞めたら一生どこも続けられんぞ」



私は「はい、、、はい、、、」としか言いようがありませんでした

長い尋問が終わり、じゃあ解散と、私はこの日付けで仕事を辞められました




その日の夜、シェフから電話がかかってきました


「藤六が辞めても誰も責めへんで。お前の人生やからな。好きに生きなさい」


はい、、、ありがとうございます、、、


「あと彼氏すごいなー!大事にしろよ!」


はい、、、ありがとうございます












何度も死のうと思いました


私は必要のない人間だと思っていました


死んだほうが周りは喜ぶ

本気でそう思っていました


でもそうじゃないみたい




私は生かされました




もう自分に嘘はつかない、そう決めた瞬間でした


わたし「でも、まだ不幸は続く」

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