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16/1/10

新卒で証券会社に入社して1年間で100件以上の新規開拓を達成し、3億円の資金を導入した話(8)

Image by Olia Gozha

どんなに君が良い人間で優れた知識を持っていたとしても、大事な顧問先である経営者を紹介はしない


チャリンコに乗って、全力疾走中は何も考えていなかった。
とにかく、アポが取れた、税理士と話せる機会ができたという事実だけで頭がいっぱいになったのだ。

S会計税理士事務所に着いた時、僕は名刺すら持ってきていなかったことに気付いたが、そんなことはどうでもよかった。

「こんにちは!先ほどお電話させていただきました○○証券の福元です。S先生に会いに来ました!!」

S先生「こんにちは。本当に来たんだね。笑どうぞよろしく。代表のSです。」

名刺交換すらせずに、僕は話を切り出した。

「S先生!僕は証券会社の証券マンです。群馬県の富裕層の方々にお近づきになりたいと思っております。」

S先生「証券会社だからね。特に、新規口座開設の営業なのかな。」

「おっしゃる通りでございます。特に、製造業の経営者の新規取引を狙っております。」

S先生「どうして製造業なんだい?」

「製造業の経営者は、お金の知識などに疎い人が多く、誰かの助言を必要としている方々が多いのではないかと考えました。」

S先生「そうかなぁ笑」

「違いますかね。少なくとも、他の業界よりも職人気質の方が多いのではと考えました。」

S先生「まあ、いいや笑それで、僕のもとにきたことと、製造業の経営者とは何の関係があるんだい?」

「税理士の先生方は、経営者とは仲が良いのでは?と考えました。僕のような人間が製造業の社長に飛び込み営業や電話をかけてもなかなか会えません。そこで、製造業の社長にお会いするためには、税理士先生の役に立って、税理士先生と仲良くなり、社長を紹介してもらえるような関係になるのが良いのではと考えました。」

S先生「へー。まあ、確かに毎日多くの顧問先の社長にお金の相談はされるけどね。でも、証券会社の人間を紹介するのは怖いなぁ。笑なかなか紹介は難しいと思うよ。もし証券会社の人間を紹介して、損でもしたら僕も怒られそう。笑」

確かにその通りだ。
全然、紹介する側のことを考えてなかった。
どうしよう。

「どうしたら紹介していただけますか?」

S先生「そうだなぁ。少なくとも、どんなに君が良い人間で優れた知識を持っていたとしても、大事な顧問先である経営者を紹介はしないと思う。君が証券会社の人間で、リスクのある商品を扱っているならばね。」

なんてこった。
じゃあ、どうしようもないじゃないか。
僕の作戦は自分よがりの願望だっただけで、全然相手のことを考えていなかった。

「とてもためになる話をありがとうございました。全然相手のことを考えていなかったなと反省しました。」

S先生「・・・経営者っていつも何を考えていると思う?」

「え?そりゃあ、自分の会社のことじゃないですかね?」

S先生「そうなんだよ。ほとんどの経営者は自分の会社のことや事業のことを考えているんだ。起きた時も、電車乗っているときも、車乗っているときも、お風呂に入ってる時も。寝てる時さえもね。」

「つまり、株のことなんて考えてないと?」

S先生「そうじゃない。お金のことだって考える。僕が言いたいのはそんなことなんかじゃない。要は、四六時中、自分の会社や事業のことを考えている経営者と仲良くなるためには、何が必要なのかを考えるんだ。そこがわかれば、君がどういう人間になれば良いかがわかるんじゃないかな。」

「どういう人間になれば良いか、ですか。」

S先生「そう。あとね、税理士も一緒だよ。僕だって経営者だ。ずっと、顧問先のことや従業員のこと、税務のことなんかをずっと考えている。君が税理士と仲良くなって経営者に近づきたいと思っているならば、僕らの事業にもメリットのある人間になる必要があるよ。」

「なるほどです。いったい何をすれば。。。」

S先生「そうだなあ。今はぱっと思いつかない。・・・そうだ!アンケートでも取れば?」

「アンケートですか?」

S先生「そう!アンケート!何をすればよいかわからないならば直接聞けばいいんだよ!群馬県には高崎市だけでも300人くらいの税理士がいる。彼らに直接、「何か困っていることないですか?僕にできることないですか?」ってね!笑」

「!!」

簡単なことだった。

あれこれ考えてても仕方ない。

シンプルだ。

仲良くなりたいと考えている人たちに対して、直接聞けばいいんだ。

僕が税理士や経営者に何ができるのかはわからないけれど、何か今まで悩んでいたのが馬鹿に思えた。



続く

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