top of page

16/1/6

もてる君~ひでお物語~

Image by Olia Gozha

高校時代のひでお少年はきっといままで生きてきた中で一番もてていた。


人は人生の中で3回くらいもてるときがあるらしい。


その1回目がやってきてた。


かといって、性格的にいつもプラトニックなひでお少年だった。


ちなみに大人になった今、もうすでに3回おわった気がする。





高校時代は陸上に明け暮れていた。


部活を中心に生活がまわっていた。


朝は、6時半に家を出て、7時半から朝練だった。


ほぼ、毎日だ。帰りは、8時すぎ。一応進学校だったので、試験前とかは1週間休みになって


結構うれしかったけど、その試験も終わるとすぐに練習だった。


試験の間でなまっていた体にむちをうたれて、ときどきトイレで吐いた。


そんな厳しい練習をしてたわりに、陸上の成績は中ほどであった。






地区大会があって、県大会があり、その次に中国大会があり、全国大会となる。


それぞれ成績上位の数名が次の大会へと進むのだけど、


地区大会を突破してやっと県大会に進んだのは2年生の秋の大会だった。


そのときはとてもうれしかった。




そして、そのうれしさのかけらの中に、みゆきがいる。





当時短距離種目をともにがんばっていた仲だった。


ただのチームメイトだったけど、自分の中のほのかな恋心はくすぶっているままだった。



レース後きわどい結果でチームのテントで自分の順位に耳をすませていた。


その結果次第で県大会の出場がきまる。




やがて、発表がはじまり・・・・・・・・・・・・・・・・・・・




わずかのタイム差で予選を突破し、初の県大会出場が決まった!



周りのみんなが一緒に喜んでくれていた。


もちろんひでお少年も喜んでいた。


そして、ほっとしてシートに寝そべった・・・・。


するとその真上にみゆきの顔があった。


はっとして見つめていた。




―――みゆきの口元が「おめでとう」と言っていた。





声がきこえなかったのではなく、出していなかった。


そんな秘め事のようなしぐさがひでお少年の心にぐさりと刺さった。



淡い青春の思い出。





エアーサロンパスの匂いをかぐといつもこの光景がフラッシュバックする。


競技場ではたいていこの匂いがしていた。




ひでお少年にもっと勇気があれば、人生かわってたかなぁ~。




PODCAST

​あなたも物語を
話してみませんか?

Image by Jukka Aalho

高校進学を言葉がさっぱりわからない国でしてみたら思ってたよりも遥かに波乱万丈な3年間になった話【その0:プロローグ】

2009年末、当時中学3年生。受験シーズンも真っ只中に差し掛かったというとき、私は父の母国であるスペインに旅立つことを決意しました。理由は語...

paperboy&co.創業記 VOL.1: ペパボ創業からバイアウトまで

12年前、22歳の時に福岡の片田舎で、ペパボことpaperboy&co.を立ち上げた。その時は別に会社を大きくしたいとか全く考えてな...

社長が逮捕されて上場廃止になっても会社はつぶれず、意志は継続するという話(1)

※諸説、色々あると思いますが、1平社員の目から見たお話として御覧ください。(2014/8/20 宝島社より書籍化されました!ありがとうござい...

【バカヤン】もし元とび職の不良が世界の名門大学に入学したら・・・こうなった。カルフォルニア大学バークレー校、通称UCバークレーでの「ぼくのやったこと」

初めて警察に捕まったのは13歳の時だった。神奈川県川崎市の宮前警察署に連行され、やたら長い調書をとった。「朝起きたところから捕まるまでの過程...

ハイスクール・ドロップアウト・トラベリング 高校さぼって旅にでた。

旅、前日なんでもない日常のなんでもないある日。寝る前、明日の朝に旅立つことを決めた。高校2年生の梅雨の季節。明日、突然いなくなる。親も先生も...

急に旦那が死ぬことになった!その時の私の心情と行動のまとめ1(発生事実・前編)

暗い話ですいません。最初に謝っておきます。暗い話です。嫌な話です。ですが死は誰にでも訪れ、それはどのタイミングでやってくるのかわかりません。...

bottom of page