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15/12/30

オーストラリア留学中にネット中傷被害に合い、裁判を起こした話(12)

Image by Olia Gozha

メルボルンから離れたいという気持ち

3月6日(水)にReikoさんのカウンセリングを受けた後、午後の授業に出席した。この授業ではグラフィックデザインで使用するソフトウェア(Illustrator、Photoshop、InDesign)を多く使用し、印刷技術に関する専門的な内容についても触れる。日本の学校でデザインを学んだことが無く、また印刷に関しても素人である自分にとっては集中しなければ簡単に置いていかれてしまう内容だ。


集中しよう

集中しよう

集中しよう


でもできなかった・・・・
自分の頭が言うことを聞いてくれない。先生の説明を聞いていたはずなのに、手を動かして作業をしなければいけないのに・・・・気がつくと、悪い結果ばかり考えてしまっていた。自分の体が自分の言うことを聞いてくれない。苛立ちがつのった。


翌日、3月7日(木)も午前、午後ともに授業に出席した。午前の授業は、主に画像の合成や加工を行ったり、自分たちで写真撮影を行う授業だった。授業が終わった後、私は先生に時間をもらい、自分に何が起きているのかを説明した。10話で書いたように、月曜日の授業の先生が先生達の間で情報共有をしてくれていたおかげで、この授業の先生も私に何が起こったのか大まかに知っていたようだ。

私はやむを得ず前回の授業を欠席しまったこと、現在精神的な不安が非常に大きく今後の授業についていけるのか懸念していること、遅れを取り戻す為に何か方法があれば教えてほしいと先生に話した。

先生は私の状況に非常に同情的だった。そして、一冊の本を取り出して次のように言った。

「私の授業はこの参考書をもとに組み立てて進めています。なので、この本に書いてあることをできるようになれば私の授業の遅れは取り戻せます。

参考書は図書館にある本だった。私はこの学校での学生生活を終える8ヶ月後まで、何度も何度もこの参考書を借りることになった。


午後の授業を終えて帰宅途中、ふと空を見上げるときれいな真っ青な空が広がっていた。日本では滅多に見れない、真っ青なオーストラリア独特の空の色。(実際のところ、ニュージーランドでも同様の青い空が見られたことを覚えているが、オーストラリア人の友人が「オーストラリア独特の空の色」と話していたことが忘れられず、ついついこの表現を使ってしまう。)

自分「私、オーストラリアまで来て何やってるんだろう・・・なんでこんなことになってしまったんだろう・・・」

一人でこのきれいな真っ青な空の下を歩いていると、涙がこぼれて来た。こんな精神状況で週末を家で過ごしていたら、どうにかなってしまいそうな気分だった。

どこかに出かけよう、そうしなければ気が狂ってしまいそうだ。だがいわゆるオーストラリアらしい観光地に旅行するお金はないし、月曜日からはまた学校だ。何か進展があった際、すぐに警察にも行きたい。

自分「Geelongくらいなら1泊で行って帰ってこれそう・・・行ってみるか。」

Geelong(ジーロング)とは、メルボルンと同じビクトリア州にある第二の都市で、メルボルンからは特急で約1時間ほどかかる。

第二の都市・・・といっても実際の様子は以下の通りである。

ここは街の外れでも郊外でもない、中心地だ。

帰宅後、早速オンラインで宿を予約した。電車は予約無しで当日チケットを買うことにした。行き当たりばったり、ストレスフリーでのんびり過ごしたかったからだ。

この時点で、Deanaによる新たなネット上での中傷行為は特に見られなかった。どうかこのまま収まってほしい・・・そう願うことしかできなかった。これ以上、私の最後のチャンス、この留学生活を邪魔しないでほしい・・・ただそう願っていた。


Geelongへの旅

3月9日(土)

Geelong行きの電車に乗る為、メルボルンの主要駅の一つであるSouthern Cross (サザンクロス)駅に向かった。メルボルンからGeelongへはV-Lineという特急に乗って行く。

ちなみに、メルボルンからGeelongまでは普通電車は走っておらず、このV-Lineを使うしかない。

最初はメルボルン周辺を走る普通電車と同じく区間を走るが、しばらくすると周りに何もない草原地帯のど真ん中を走り続ける。指定席で快適な座席に座り、何もない車窓を眺めていると、日本にいた頃よく乗った近鉄特急に乗っているような気分だった。日本の大学生活で一人暮らしを始めた時も、大学時代にニュージーランドへ語学留学した時も、東京で社会人生活を始めた時にもホームシックになったことなんて一度も無かった。なのに、故郷を走る電車のことを思い浮かべるなんて・・・相当精神的に自分は参ってたのだと思う。何もせず、車窓を眺めることは、この時の私にとって自分の心を休めるための大切な時間だった。

Geelongではある人と会うことになっていた。駅に着いたらまずは彼女の家へ行くことになっている。

それまではしばらく一人でこの短い電車の旅を楽しもうと思った。


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