
国際協力を夢見て大学へ!早速英語の単位を落とす!
国際協力に憧れて、推薦で入学した大学の国際系の学部は、なんと帰国子女だらけ。
私も鳥取弁がネイティブなので、一応標準語とのバイリンガルなのだが、
彼らの英語レベルはすごかった。私の標準語なんて目じゃなかった。
大学での英語の授業は文法の授業、会話の授業と2種類。
会話の授業はとっても楽しかったけど、文法はいつまでたっても中学レベル。
授業は全部出席して頑張っていたつもりだったのに、難しい単語が全然覚えられない。。。
大学1年の時、ついに英語の文法の単位を落とす。
それ以外にもたくさんの授業を取ったのに、唯一落としたのがこの英語。
当時は自分の英語力のなさにかなり落ち込んでいた。
ドミニカ共和国で倒れ、国際協力への夢をあきらめる

英語への自信を完全に失うと共にスタートした、私の大学生活。
週に1時間のグラマーの授業は、知らない単語ばかりで苦痛で苦痛で仕方がなかった。。。
でも、週に2時間の会話の授業は楽しくて、それだけが唯一の救いだった。
そんな大学2年生の時に見つけたのが、青年国際交流事業。
憧れだった国際協力の現場へ行けるチャンス!と思い、すぐに応募すると、
幸運なことに合格し、ドミニカ共和国へ。
英語で面接があったが、当時英会話の授業で習った相づちが得意だったために、
すんなり通ってしまって、現地に行ってから苦労することに。
ホームステイ先では、小さい子どもとすら全くコミュニケーションが取れなくて
話していても去っていく…その背中を見ると、とてもとても悲しかった…
そして、一番楽しみにしていた小学校訪問の日に、倒れる。
お腹が痛すぎて動けなくて、トイレから離れられない。
お医者さんに来てもらって、お尻に痛い注射をされ、
赤と水色の大きな喉を通らない薬を飲み、3日間寝込んで、
ドミニカ共和国で短い一生を終えるのかと本気で思った。
倒れている間、「私は国際協力の現場で、なんて役立たずなんだ…」と感じ、
(英語もできないし)国際協力に携わることを一旦諦めた。
日本で就職するが、夢を諦められていないことに気づく
その後方向転換し、一気に日本国内に目を向けるようになり、
私のように、地方で学ぶ機会のない子どもたちに学ぶ機会を提供したい。
と思い、教材編集の仕事に携わることに。
1年目は情報誌。実験やクイズのページを担当し、
「何が子どもにとっておもしろいのか」をものすごく考える日々だった。
編集の仕事では、企画書とともにラフという簡単なイメージを作るのだが、
自分の絵が下手すぎて、書いていると意味不明で笑えてくるぐらい。
まさか大人になって苦手な絵を書く仕事に就くとは正直思わなかった。
2年目からは算数編集。
がむしゃらに働く傍ら、プライベートで国際関係のセミナー等に通い始めた。
一旦諦めようとしたものの、やっぱり国際協力に関わりたいという
気持ちが捨てきれていなかった。
でも、仕事はものすごく楽しくて、(絵を書くこと以外は)まさに天職。
上司も同僚もみんな良い人ばかりで、とても恵まれた環境だった。
そして、3年目あたりから、気づいてしまった。
「やっぱり私、国際協力がしたかったんじゃなかったっけ?」
そこから、英会話スクールに通い始めると同時に、
社会企業や起業について興味を持ち始める。
その年の終わりに、友達に勧められて力だめしで参加した
人生を変えるきっかけに出会う。
同じ教育系の仕事をしていた今のアメリカ人の夫との出会い。
この出会いに関しては、長くなりすぎるので、また別でストーリーを書こうと思うが、
彼の私に対する第一印象は、「この子英語下手だなー!」だったそう。
英語で喋る恐怖心はなくなっていたものの、
話している英語自体はあまりうまくなかったようだ。

結婚を機に、ボストンの教育スタートアップへ
夫はアメリカ移民のための英語学習のゲームを作っていた。
「アメリカ移民は英語が喋れなくて、良い職に就けない。
その子供もそう。お金がないから、良い学習の機会を得ることができない。
そういう学習の機会のない人に、楽しく学べる機会を作りたい。」という
自分と全く同じ教育観を持っていたことに驚き、
結婚して移住することに。
移住後、私もその会社にジョイン。
プログラマーのタスク管理やバグチェックを始め、
イラストレーター、翻訳者、アーティストのマネジメント等、
前職の編集スキルを生かしてなんとかこなしている。
プログラマーの作ってくれたツールで細かな素材を作ったり、
マーケティング用の映像を作ったり、今までは素材を集めるだけだったのに、
自分で素材を作り上げる立場も経験することができた。
さらには、会議への出展やコンテストでのピッチ、
アメリカの中学校での大規模なテストなど、
恐ろしいくらい外国人扱いしない夫のおかげで、何でもさせられている。
もちろん仕事は全部英語。
大学時代、英語の単位を落とすほどの私だったのに、
なぜ、今英語で働くことができているのか?
英語が苦手だった私が英語で働くことができている理由
一緒に働くプログラマーはアルメニア人、ルーマニア人、スペイン人。
彼らを始め仲間は世界中にいるので、文化背景も人それぞれ。
彼らと一応英語で仕事をしてるのだけれど、私たちの会社はとっても小さいので
使っているのはビジネス英語じゃなくて、雑談英語!!!
そう、英文法がいかに苦手でも、英語での雑談に文法はそこまで必要じゃない!
I'm gonna(これから―するね)とか I wanna(ーしたい)のようなカジュアルな表現や、
コミュニケーションを進める会話のテンポやリズム感、
そしてなんといっても、コミュニケーションを円滑に進めるジョークの力が必要。
会話のテンポは、Slackというチャットサービスを使って仕事をしているので、
テンポがよく返していくことで身に着けた。
ジョークの力は、夫やその友人が、口を開けば常にブラックジョークを
言う人たちなので、それで身に着けた。
理解できないと会話が前に進まないから!!!
そして、私も仲間たちも英語は第二外国語。
お互いの間違いを認め合って、補い合って仕事をしている。
例えば、とっても甘えん坊のプログラマーは、私がオンラインじゃないと働かない。
しかもいきなり仕事をふると、それがわかってしまってオフラインのままなので、
世間話から始めることで、油断してオンラインにさせる。笑
私「Hi! How are you? It's cold here!最近どう?元気にしてる?こっちは寒くなってきたよー!」
プログラマー「Hi! I'm good! How are you?やぁ!元気だよ?あなたは?」
私「I'm good thanks! Could you change here and here?私も元気!ありがと!ところでこことここ、直してくれる?」
プログラマー「...sure!・・・任せて!」
私「Thanks! I'm really looking forward to seeing changes!!!!;)ありがとー!直ってるの見るのとっても楽しみにしてるわ!!!」
こんな風に、雑談の中でさらっと仕事をお願いしてみる。
それでも、直ってくるのは半分以下なので、根気よく、
私「That's perfect! You did great! Could you do another thing? Thanks!完璧!さすが!別のとこもお願いできる?ありがと!」
と言う風に、できるだけ、褒めとお願いをサンドイッチするように気をつけている。
また、こだわりのある翻訳者と、翻訳についての議論もする。
私たちは音楽で言語を学ぶアプリを作っているのだが、
歌詞の翻訳には、個人の好みも問題もあるので、いつまでたっても平行線。
私「I think in this case, we wanna use XX.この場合は××でいきたいと思うんだけど。」
翻訳者「Usually we are teaching OO. We never use XX!普通は○○って教えてるよ。××なんて聞いたことない。」
私「Oh! Really! Where are you teaching?え、そうなの!どこで教えてるの?」
翻訳者「At the school. Actually there are so many students confuse OO and XX here.学校でだよ。まぁ確かに、○○と××で迷う生徒さんいっぱいいるよ。」
そんな時は、思い切って話題を変えて、人と人との関係を深めてみる。
そうするといつの間にか彼その国の教育の問題点を語り合ったりして、
なんとか解決しなきゃいけないよね!!!と
お互いの目標が一緒であることを確認し、前に進むことができる。
もちろん、仕事なので、話題ややりとりが真剣になることもある。
私「This part is not fixed yet.ここまだ直ってないよ。」
プログラマー「Because your source was wrong.君のソースが間違ってたからだよ」
私「Really!? I thought that was yours.本当に!?あなたの部分だと思ってたわ!」
プログラマー「no.ううん。」
私「I'm so sorry, I'm gonna fire me.それはごめんなさい、私を解雇するわ。」
プログラマー「hahaha! Don't be sorry!あはは!そんなに謝らなくていいよ!」
真剣なやり取りの中にも、ふっと笑える瞬間を入れることで、
イラッとしていた感情をお互いにほどいて、いつもの調子に戻ることができる。
そうやって、協力してくれる一人一人と、
一緒に働く上での信頼関係を築いていくことができた。
これも、英語ができなくても、仕事をするための一つの方法。
英語はできないけれども、人として信頼してくれてるから、
何を言ってるのかわかってくれる。
だんだんと、「Masakoはこういう性格だから、この場合、こんな意味だろう」と
察してくれているのだと思う。
音楽で英語を学ぶアプリ、Lyrikoをリリース!
そしてついに先日、Lyrikoという音楽で言語を学習するアプリをリリースした。
アメリカの移民向けに、スペイン語話者や、ポルトガル語話者が英語を学ぶ
バージョンに加えて、日本語話者が英語を学ぶバージョンもリリース。
そして先日、ついにインドネシア語話者が英語を学ぶバージョンもリリースした。
まだまだだけど、ずっと関わることが夢だった新興国に
自分たちのプロダクトを提供することができるような環境が整い、とても嬉しい。
もちろん、日本語話者が英語を学ぶバージョンは、
今このストーリーを読んでくださっている人のために。
楽しく英語を学ぶ機会がない(ということにもしかしたら気づいてすらいない)
日本の人たちが、世界中の人と働くときに大切な、雑談英語が身に付くように!
という願いをこめて、
毎日、英語の単位を落とした私が、英語で英語のアプリを作っている。