ポルトガルの統一試験概要の公式英語翻訳を依頼するために、良心的な
翻訳料の ご自宅へ出かけた亭主、帰ってくるなり、
「君を知ってる人だったよ」
え!
なんとまぁ、その当時から16年ほども昔、日本語をほんの2ヶ月ほど手ほ
どき したポルトガル人女性であった! 彼女はその後、日本へ留学し数年
を岡山大学で勉強し、そこで出会った岡山大学の英語教授だった イギリス
人男性ジョンさんと結婚し、現在はポルトに 住んでいる、とのことだった。
あの頃、幼児だったもいける娘が大学受験とは!と 16年ぶりの再会を
わたしたちは喜び合い、翻訳が終わり、英国領事館から証明書を出して
もらった後、4人で食事をしたのでした。
ご主人のジョンさんは、日本に数年いたわりにはほとんど日本語を話さな
かったので、 わたしたちの会話は英語で進められました。
我が亭主もジョンさんも、日本の話、ポルトガルの話に冗談を混ぜつつ花を
咲かせたのでした。
その時、ジョンさんが気になることを言いました。
「日本の大学で講義をして来たのだが、大学生の多くがクラスで居眠りをし
て いるのだよ、君。あれはいったいどういう訳なの? ボクは意味がわかり
ません」
・・・・・ い、いえ、わたしだって意味がわかりませんわ
日本の大学生のみなさん、なんででしょう?
わたしが学生だったら、時間の無駄!金の無駄!講師に対して誠に失礼
な態度でも あります。ジョンさん、わたしだってわかりません。
わたしが高校生の頃は、そんなことをしていたら、一発、バコーン!と 教師
に 頭をなぐられたものです。
もいけるよ、まさかオヌシ、そういうことをしてはおるまいの?
この時、わたしはその、昔の日本語生徒、Mさんと少し日本語で話してみま
した。 すると、彼女いわく、
「あなたの日本語はとても聞き取りやすくて、よくわかる。日本では誰もそん
なふうに 話してくれなかった」と言います。
わたしの日本語は、もしかしたらもう普通の日本語ではないのか? こういう
セリフは帰国して日本滞在中でも何度か聞かされ、ふと、自分は「浦島太郎」
の ような気がしないでもなかったのであります。
わたしは自分ではあまり意識していないつもりなのですが、こちらで日本語学
習者たちと話すときに気をつけることは、「少しゆっくりめに、明確な発音で」を
心がけるのですが、それが身についてしまったのかも知れません。
話がそれてしまいました。
さて、その公式翻訳証明、Mさんとジョンさん二人の仕事なのですが、これを
翻訳者が 直々に、登録している英国領事館へ持って行き、翻訳証明書を発行
してもらいます。
この証明書は封の上にしっかりと焼印が押されてあり、開くことができないよう
になって いました。
赤いきれいなリボンで翻訳書類をくくり、そのリボンの上に焼印です。
翻訳は統一試験概要のほか、ポルトガルの高校の成績証明書2通も入り、同じ
ものを3通。 (3校までは受験してもいい、という約束でしたから)
占めて400ユーロ近く(6万円ほど)でした。 それでも、この二人はかなり安くし
てくれたはずです。
こうして見ると、受験以前の諸経費として、渡航費、食費、ゼミ費、翻訳費、 通学
費などなど、アラヨアラヨと言う間に、お札が飛んでいくのでした。
成績証明書にいたっても、こちらでは直接生徒が手にするものではないので、運
悪く夏休み、 つまり、こちらでは学年末ということで、校長が休暇に入ってしまっ
ては大変と、何度も念押しして、証明書をもらうために学校へ足を運びました。
こうして漸く用意できた証明書一式の3セット、これを娘宛に郵送し、 いよいよ、
願書の記入です!