カフェでデブが二人で盛り上がると本当に漫才コンビみたいだとせつなくなったが、話を続けた。
「まず、『デブであると思っても良いよ』と周りに許すのです。」
「許さなくても、思われているじゃないですか。」
「実はコンプレックスでいっぱいになる人は許していないんです。『私をデブと思わないで。中身で判断して』って心のなかで抵抗をしています。でもそんなこと不可能ですよね。だったら、私はデブと思ってもいいんだよという空気を流すんですよ。」
「どうやってですか?」
お客様は具体的な方法が聞きたくて仕方がないという感じでさらに前のめりになった。
「例えば、『私はお料理が得意です。味見ばかりしていたらこうなりました』とか自分の中に少しだけユーモアなデブのネタを入れておく。思いつかなければ、「私はこんな体型なんですが、(意外な內容)が得意です」といえるといいですね。例えば、私の場合だったら、「こんな体型ですが、水泳がめちゃくちゃ得意です。何キロでも泳げます。」になります。このPRは一度でいいです。これでもう許したことになります。」
「なんで、これが許したことになるんですか。」
「『私デブだと思ってやってきています。お手柔らかに』と体型については白旗をあげたことになります。自分の中で、『デブ解禁』後、ポジティブになってくるのを感じられるはず。 例えば、美味しいりんごに傷があるとして、『このりんご傷が入っていますが、美味しいですよ』とPRするんです。そうすると、傷が入ったら嫌な人もいるだろうけれども、傷ぐらいいい、美味しければと検討してくれる人も出てくるというわけです。デブ解禁はそれと同じです。」
「なるほどー!!『この人、デブだけどそんなことを思ったらだめだな』と男性に思われていたとしたら・・・それだけで私ってとてもめんどくさい存在になってしまいますよね。」
お客様の目がキラキラと輝いた。
「そーそー!!!そーなんですよっ!デブって見た目でわかるのに触れられないと笑えないから居心地悪くさせてしまうんです。いるだけで重たい存在になってしまうというか。」
「もともと重たい存在です。」
「そうそう、その意気です。でもちょこっとでいいです。デブ解禁は一言でOKです。」
お客様は大満足して、帰っていった。
半年後、本当にパーティで出会った人と結婚が決まった。しかしその女性の食生活の影響なのか、男性も急激に太り始めてしまった。ああ、デブは感染する!
話を戻すと、デブ解禁によって、自分を開放する。
「デブって言っちゃったから私の良さを見て下さいね」
という展開が出来る。相手もデブの人柄を受け止める準備が出来る。
お見合いパーティは入口3秒で本当に今日誰が人気ものになるのかがわかる。それは容姿だけではなく、やはりその人が持っているオーラなのだ。そのオーラは自信で出来ている。
デブ以外にも、例えば持病があるとか親が介護をしているとかなど、結婚には好都合と言えないものを抱えている人は、出会いの場でオドオドしてしまいがちである。
実はデブのほうがまだましだったりする。見えているから。持病や介護はいきなり初対面で話す內容ではない。だからデブ解禁のようなことが出来ない。
そういう時は一つの覚悟を決めることが大事だ。
「このお見合いパーティで素敵な人と出会ったとしても、自分の事情でお付き合いに発展しない可能性がある。けれども全員がそうではないからベストを尽くす」と決意すること。
NGデブの人「どうせ私の事情を知ったら人が離れていくわ」
と考えてお見合いパーティに来る人に対して、みんな事情がわからなくても、負のオーラを感じてしまう。現実は白馬の王子さまが、あなたの窮状を救ってくれて幸せになれるという展開にはならない。負のオーラを感じて、男性が逃げてしまうのだ。
お付き合いというのは対等だ。誰かが救って救われる関係にはならない。お互いに痛みを分かちあいながら、乗り越えて行く関係だ。あなたの重荷になっていることを話せば、相手はほぼ悩む。でもそれは受け入れたくないから悩むのではない。あなたの荷物をともに背負う覚悟をするために、悩むのだ。悩むからダメだったという結論に至るとは限らない。
だから絶望をしないで欲しい。自分の状況に絶望をしないで、諦めないで婚活をして欲しい。私はいつもそう願っている。
3秒で「この人はないな」と思われないために、自分の側の問題をコンプレックスのまま放置せず、デブ解禁をしたり、起こりうる展開を覚悟すること。現実から逃げない気持ちを持てば、絶対にリラックスしてあなたの良さをお見合いパーティでPR出来るのだ!
