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15/12/9

高木教育センターのありふれた日々(12)

Image by Olia Gozha

高木教育センターのありふれた日々(12)

第百十一章「京大で英語8割、数学7割、英検1級合格講師のスケジュール管理術」

第百十二章「今年は、四高国際科、四高普通科、桑高普通科、川越国際文理、川越普通科、合格」

第百十三章「今年は、 京大「経済」、京大「総人」、阪大「外国」、「東京医科歯科」、「東工大」、名市大「薬学」、に合格。

第百十四章「アドルフ・ヒトラー」

第百十五章「私は『京大ラッキーセブン』」

第百十六章「成績を上げるメカニズムは複雑怪奇」

第百十七章「本当の優しさと、コストパフォーマンス」

第百十八章「少林寺拳法ができると、何が違ってみえるか?」

第百十九章「見せかけの優しさと、本当の優しさ」

第百二十章「ゲゲゲで、レレレで、バカ田大学」

 

 

「」

 

第百十一章

「京大で英語8割、数学7割、英検1級合格講師のスケジュール管理術」

  泳げない人がスイミングクラブのコーチをやることは、まずない。野球のルールを知らない監督もいない。ところが、受験業界では、京大を落ちた人が京大受験生の指導を行い、英検1級に合格していない人が英検講座を担当したりしている。

  スケジュール管理も同じだ。裏づけがないのに語る人が多すぎる。

  旧帝や国立大「医学部」に合格するためには(50年に1人の天才型の人は当てはまりません)統計が示すのは、英単語6000語、数学は2000題解いた頃に正解率がボーダーを越えるということ。

  これを3年間の高校生活で割ると、忘れることも考慮に入れると

  • 毎日英単語を8個覚える。

  • 数学を大問2題以上解く。

となる。英単語は単語帳ではなく、長文からピックアップして覚えた方が効率がアップする。つまり、長文は毎日1題。他にも、理科、社会、国語の勉強時間を加えると、どうしても3時間以上はかかる。

私の住む「いなべ市」から四日市高校までは電車で1時間半、往復で3時間。朝は6時前に起きなければならない。7時間の睡眠時間を確保するには、午後11時には就寝。すると、午後8時前には勉強を始めることになる。食事や風呂の時間を抑えても午後6時には帰宅する必要がある。つまり、学校を4時すぎには出なければならない。学校は午後3時すぎに終了する。

以上をリアルに考えたら、

「クラブ活動をやっている時間がない」

 という結論になる。ところが、妄想を抱く左翼の先生や、文系教師は

「クラブと勉強の両立だ」

 と、自分では絶対にできないことを生徒に押し付ける。価値観の押し付けはやめてほしい。そんなことをするから、優秀な生徒は内職に励み、仮病で学校を休むしかなくなる。

  学校から生徒を解放してやって欲しい。自由に勉強させてやらないと、彼ら、彼女らは学力を十分に伸ばせない。教師は、自分より学力が高い生徒の指導はできない。

「あの先生は、自分で京大を受けたら絶対に落ちる」

と私の塾生の子たちは言う。私も名古屋大卒で、最初は指導が難しかった。だから、英検1級にチャレンジし、京大を受けて成績開示した。それで、やっと塾生の子たちも信用してくれた。

  統計にもとづいた志望校合格の必勝法をリアルに実行する。

  本気で実行したら、クラブどころか、男女交際、ファッションや趣味などに使える時間がなくなる覚悟が要る。実際、私の塾生の優秀な理系女子はほとんどいつもジャージだし、化粧など無縁だ。言うまでもなく、クラブより勉強優先だ。

  それが出来ないなら、難関合格などと夢を見ないことだ。私が言っても言わなくても現実は変わらない。世の中は、自己チューの人たちと異なる原理で動いている。自分がその法則に合わせるしか成功の道はない。

 あーぁ、また嫌われた。

Youtube動画再生38万回。アメブロ「受験生」ランキング1位。京大7回受験(英語8割、数学7割)英検1級、通訳ガイド国家試験、国連英検A級、ビジネス英検A級、「英語の資格を取ろう」(法学書院)に紹介、ジャッキー・チェンと「TVジョッキー」に出演。

  三重県のこんな田舎の個人塾から毎年京大に合格者が出て、それも医学部の合格が続くと

「なんで?」

 と問い合わせが増えてきた。ネットに事実を公表し始めたら、さらに問い合わせが増えた。

「何か特別な方法を取らないと、そんな合格者が出るわけがない」

 というわけだ。

 もちろん、現象には全て原因がある。私は自分の体験をもとに独自の指導法を構築したのだ。つまり、自分は学生時代に「強制」が嫌だった。宿題や課題のことだ。普通は、それを強制と思わないのだろうが私は嫌だった。

 実際、強制されていた大学時代は英検2級どまりだったが卒業して好きに勉強し始めたら英検1級に合格し、京大二次で数学が7割正解になれた。人には自分のやり方があるのだ。

  自分で塾をやり始めたら、それが確信に変わった。暁6年制の特待生や四日市高校のトップクラスの子が来てくれて

「学校の先生は質問しても逃げる」

 とか

「授業が受験にまったく役立たない」

 と不平を言っていたからだ。それで、その不満を解消してやるために中学生は東海高校、灘、ラ・サールの過去問をテキストにした。高校生は、京大の赤本やその類題の練習を始めた。生徒の求めに応じただけだ。

 しかし、それなら他塾もマネが出来るかもしれない。しかし、そのうち気づいた。

「こういう優秀な子が本当に求めているのは授業じゃない」

 教科書を見れば分かることを説明する必要はない。彼ら、彼女らが求めているのは

「質問に答えてほしい」

 ということだった。つまり、家庭学習中に出る質問に対する返事。

「名大卒のアメリカ暮らしをした英検1級講師なら大丈夫だろう」

「三重大医学部に合格した子を指導したらしいから大丈夫だろう」

 最初は、そういう噂で信用してくれたらしい。しかし、それだけでは十分ではなかったのだ。私が

「大丈夫」

 と言っても信用してもらえない。それで、自分で京大を受けて成績開示して英語8割、数学7割を実証してみせたのだ。

  私の指導にはマニュアルがない。毎回、生徒の方が教室に入ってくると

「今日はどうしたいのでしょうか?」

 と尋ねる。すると、

「今日は数学の宿題の解けなかった問題を教えてほしい」

 とか

「数列と確率の融合問題ってありませんか?」

 と言う。それで、その質問に答えたりリクエストのあった問題を提供して類題を練習してもらう。

  つまり、私にも

「今日の授業はどうなるのだろう」

 と予想がつかない。だから、あらゆる場面を想定して準備をしておく。どんな問題が出ても対応できるように英語と数学の練習を繰り返し、類題のプリントをあらゆるジャンルで用意しておく。

 文字で書くと、この3行で終わりだが実行するのは楽ではない。ほとんどの予備校や塾が不可能だから、優秀な子は河合塾や駿台をやめて当塾に移ってきたりする。

 

第百十二章

「今年は、四高国際科、四高普通科、桑高普通科、川越国際文理、川越普通科、合格」

 塾生の子が難関校に合格すると、塾では手柄を立てたごとく「合格実績」を広報しなくてはならない。塾生募集の最も強力な武器になるからだ。しかし、受験の主役は生徒であって、塾や予備校講師の貢献度は1割にも満たない実感がある。

  要するに、賢い子が集まってくれたというだけだ。

    当塾では原則として中学生から来てもらっているが、中学生なら10年後、20年後の姿がおよそ予測できる。遺伝子だけでなく、育ちもほとんど完成品なのだ。良い入れ物だから、いくらでも入る。

 

京都大学の受験票と成績開示。クリックで拡大されます。  ↓


高木教育センター イン ニューヨークhttps://youtu.be/sCCEGYlgp20   

 

   オリンピックの強化選手を日本中から集めてきて、特別に訓練するのと同じ原理だ。ダイヤの原石を見つけるのが圧倒的に大切で、あとは丁寧に磨くだけなのだ。難関校の受験生は、ダイヤの原石が多いので競争が激しい。

 ノーベル賞の山中先生は神戸大学。青色発光ダイオードの中村先生は徳島大学。今年のノーベル賞の梶田先生は山梨大、大村先生は山梨大。大学入試の結果くらいでは、本当の才能は分からないが、それも一定レベル以上での話。

 


1、「京大二次」英作文の採点基準(ネット添削可)。

(3000回以上再生)https://youtu.be/M6LFIjXhwVM

 

  しかし、学問で食っていく職種など教授のほかには医者、弁護士、弁理士、司法書士、予備校や塾講師などほんの一部の人たちだけ。社会全体でみたら少数派なのだから、一般ピープルは気にする必要はない。

 でもね、受験勉強を狭く考えている人が多いけれど入試から離れて「英語」「数学」をながめている人も多いんだよね。

 私は英語を勉強していたから、アメリカの生活を経験できた。数学を勉強してきたから、ムチャクチャ賢い子の指導ができている。京大医学部、阪大医学部、名大医学部に合格できるような子って、数が少ないからなかなか知り合うチャンスはないでしょう。

 

2、 「こうやって、京大数学が7割解けるようになりました」

(2万回以上再生)https://youtu.be/kQ-mlEj2DXA   

 

  私は、そういう才能のある子と日常的に話をしている。合格実績があがるので塾の評判は右肩上がりで経営は安定する。こんな恵まれた生活ができるのも、両親が私の躾に気を配り、大学に行く援助をしてくれたお陰で感謝している。

  勉強をすると、いろいろな場所に行け、普通は会えない人に会え、収入も安定することが多い。いいことが、いろいろあるよ。

 

平成13年度、合格者

      京都大学「医学部」、名古屋大学「医学部」


3、「Z会を8年間やって分かったことhttps://youtu.be/_AsvOhdrYUs

  (2万回以上再生) 

 

「中学生や高校生を教えるのに英検1級なんか要らないじゃん」

「京大受験生なんてほとんどいないのに、なんで成績開示する必要があるの?」

  と言われたけれど、やってきて本当に良かった。  

  美味しいものが食べられて、楽しい人と会話ができて、精神衛生上よいので健康にもいい。生徒が合格すると喜んでもらえるし、保護者の方には感謝してもらえる。こんな良い仕事はめったにない。

 

合格体験記 (1クリックで拡大されます)

 

名大医学部    京大薬学部    三重大医学部

   

4、こうやって、英検1級に合格しました(3万回以上再生)

 https://youtu.be/m6rABYYVlSY    

 

  ネイティブの友人もできたし、洋画も字幕なしで見れるし、数学の問題を解くのも楽しい。楽しいことが仕事になっているなんて、私は恵まれている。努力してきて良かった。

  受験勉強を楽しくないと教える講師もいるようだが、私は楽しいと思うし、そう教えている。

 

第百十三章

今年は、 京大「経済」、京大「総人」、阪大「外国」、「東京医科歯科」、「東工大」、名市大「薬学」、に合格。

 なんで地方にシャッター街が増えたかというと、

「同じ商品が安い」

 という点にある。しかし、予備校や塾はどうだろう。同じ講師、同じ授業を提供できるのなら駅前ビルの教室の利便性がいいだろう。しかし、講師は人間で同じ人間はいない。

ジャッキー・チェンと「TVジョッキー」で共演しました。

  

(7000回再生)https://youtu.be/sMdPLgzTjeQ   

  私は三重県の片田舎に住居があるけれど、なぜ毎年「京大」や「国立大医学部」の合格者がでるのか。それは、通塾生の増加もあるけれど通信生の増加が大きい。ネット社会なので、

「必ずしも都市部だけに良い講師がいるわけではない」

 と知れ分かった。Z会の本部も静岡県だ。大都市の駅前教室という古いビジネスモデルにこだわる「代ゼミ」は7割が閉鎖になった。

アメリカの中学校で教師をしていました。

  
26歳、無職、貯金なし、彼女なし、資格なし、何にもなしだった(2000回再生)

https://youtu.be/QnX-TLdhqnw

  社会は激変しつつあるのだ。塾と予備校業界、学校が何も変わらないはずがない。私は名古屋の7つの大規模予備校、塾、専門学校で非常勤講師を14年間やった。でも、英検1級を持った講師や旧帝卒の講師に会ったことはない。

「大規模校に良い講師がいるというのは宣伝でそう言っているだけ」

 です。

 私は大規模校の正規講師になる気はない。

「だって、儲からない」(笑)

 大規模校はビルの維持費とか管理職がピンハネする。講師の給料とダブルで授業料が設定される。

 

「FM三重」でラジオ英会話を担当しました。

 

 

自分でやれば、ダブルで授業料をもらう必要がなくなる。ビルが立派でも、有名タレントが宣伝しようと、それは生徒の学力アップに何の関係もない。賢い子たちは敏感に感じ取るのだ。

「この人はニセモノだけど、あの人は本物だ」

私はそういう違いが分かる方だけ指導をさせてもらっている。味噌もクソも同じに扱う人とは、生徒・講師関係が築けないからだ。

 

この本の中で紹介されました。

  

英検1級、 通訳ガイド、 国連英検A級

   

39通の「不合格通知」と「合格通知」(2000回以上再生) https://youtu.be/AoV2OKrQLLk   

  どんなにロボットが発達しても「教育」だけは最後まで人間の仕事として残るだろうと言われている。今や、DVDを見せる予備校や塾からネット動画で授業を行う時代だ。

  しかし、それだけ新しい機器が普及して日本人の平均学力が上がっただろうか。LL教材やCDなどの音声教材が普及して、日本人のリスニング力が上がっただろうか。

全く上がっていない。

 

「飛び出せ!青春」の村野武範さんとツーショット。

 

  結局、熱意とか集中力が一番重要なのだ。才能は自分ではコントロールできない。自分でどうしようもないものを嘆いても時間のムダ。できることに全力を注ぐべき。

  私が成績上位の子の指導で心がけているのは

「絶対に強制はしないこと」

  彼らには、ヤル気があるので宿題や課題で締め付けるのは良くない。やりたいようにやらせるのがベスト。私がそういう指導方針なので、優秀な子が集まってくる。実証済みだ。

 

アメリカの新聞に紹介されました。ローガン中学校のイヤーブック

2chでボコボコにされた件(6000回以上再生)
https://youtu.be/QhLnsIohW5s
  

  

  学校の先生は、自分が宿題を強制されて育ってきた人が多い。だから、生徒のためだと信じてドッサリ宿題を出す。保護者の方も

「バンバン宿題を出してください」

  と言う人が多い。何にも分かっていない。だから、優秀な塾生の子たちはよく学校の教師に対する不満を漏らす。賢い子たちだから、面と向かって教師に逆らう子は少ないが、意味のない宿題で時間を浪費することに困っている。

 

四日市合格者数     
                     H27   H26             
1、陵成中学校(桑名市)      16    23
2、光陵中学校(桑名市)      24     9

3、藤原中学校(いなべ市)      6     6

4、東員第一中(員弁郡)        3     4

5、員弁中学校(いなべ市)       1     4
 高木教育センター           2     3 

6、 大安中学校 (いなべ市)      4     2

7、東員第二中 (員弁郡)        1    1
  北勢中学校(いなべ市)        1    1 

 

 

第百十四章

「アドルフ・ヒトラー」

  彼に全ての戦争責任を負わせて第二次世界大戦を終結させたドイツ。でも、本当にそうなのだろうか。多くの歴史学者が検証している。ヒトラーは少なくとも合法的な方法を用いて総統になっている。当時の市民の大多数は熱狂的に彼を支持した。彼1人の責任にするのはムリがある。

  ヒトラーがいなければ、600万人のユダヤ人が犠牲になったホロコーストは起きていなかった。だから、SFの世界では過去に遡ってヒトラーを暗殺するストーリーを聞いたことがある。これは、昔も今も存在する考え方だ。

  死刑囚は、

「この人がいたら多くの犠牲者が出る」

  ということで、抹殺するわけだ。社会には、いつの時代も、どの国でも、一定数の抹殺すべき人間が生まれる。これは、多くの人が同意する事実だ。今日も、どこかで極悪人が重犯罪をおかしている。それを警察が逮捕に向かう。

  もちろん、中学生や高校生の世界も同じ現実がある。一定数の生徒は、いてもらっては困る。イジメの加害者になり、少年法の廃止を主張する人が増えるほどの残虐な犯罪も引き起こす。

成人年齢、少年法適用年齢も引き下げ 自民部会方針

自民党は24日、選挙権年齢の引き下げに伴う成人年齢引き下げなどを検討する特命委員会(委員長・今津寛衆院議員)を党本部で開き、民法が定める成人年齢を「18歳以上」に引き下げるよう求める提言を8月中にまとめる方針を確認した。

 民法の成人年齢については、平成21年に法相の諮問機関である法制審議会が「18歳に引き下げるのが適当」と答申しており、提言では速やかな法改正を求める方針だ。

 これに併せて、少年法の適用年齢についても現行の「20歳未満」から「18歳未満」に引き下げを求める考え。これまでの特命委の議論でも、ほとんど異論はなかった。

 

  20歳をすぎたら容赦なく逮捕し、極刑もある。しかし、それまでは少年法で守られる。ここ「いなべ市」では中学生は、

「すべての生徒には輝かしい未来が待っている」

 と、綺麗ごとを言い、

「愛と絆が大切だ。みんなで助け合え」

 と、指導する。

 ところが、高校に入ったとたんに激烈な受験競争に放り込まれる。社会に出たら、犯罪をおかすと逮捕される。

 

「人間は、中学生までは無限の可能性を秘めた天使で、高校からは悪魔か?」

 

 そんなわけはない。中学生にも悪魔はいる。ヒトラーに負けないくらいの極悪人はいる。頭が壊れた子もいる。過激思想の子もいる。逆に、大人になっても天使に近い善人の人はいるわけだ。年齢で決めるのはおかしい。

 塾や予備校業界で生きていると、これは「考え方の違い」ではない切実な現実なのだ。なにしろ、天使と悪魔を

「助け合え」

 という指導を受けた生徒が塾に来てくれる。私は、地元中学とは異なるポリシーで指導を行っている。だから、

「何をやっても許される」

 と思ってきた生徒は面食らう。私は現実の謝意亜と同じ原則で授業を行うからだ。素行不良の生徒の指導はしない。一定の「塾則」をやぶると塾をやめてもらっている。

今年は、四高国際科、四高普通科、桑高普通科、川越国際文理、川越普通科、合格

今年は、 京大「経済」、京大「総人」、阪大「外国」、「東京医科歯科」、「東工大」、名市大「薬学」、に合格

 当塾の高い合格率は、嫌われても構わずに勉強熱心な子たちを守っているからだ。

 

第百十五章

「私は『京大ラッキーセブン』」

  私が四日市高校に合格できたのは、両親が平和な家庭生活を与えてくれたからだ。名古屋大学は、さすがに5日前に入院したから受験中に倒れると思った。しかし、その年は教育学部のボーダーが低かったし最後まで倒れずにすんだ。

  英検1級も通訳ガイドの国家試験も、バブルで塾がうまくいってネイティブの指導を受けるお金も時間の余裕があったから合格できた。今ならムリだ。A子ちゃんが来てくれなかったら京大を受けようなんて思わなかった。文系なのに数学Ⅲを勉強しようと思わなかった。

  アメリカでタイプを習って帰国したら、ちょうどパソコンの普及が始まった。キーボードを打てる私はラッキーだった。バブルでなかったら銀行から融資を受けて完済することは出来なかっただろう。

  そして、何より健康で還暦を迎えられそうだ。子供たちも健康で、離婚してもグレもせずまっとうに仕事をしている。本当に運がいい。子供の頃は、日本は高度経済成長のど真ん中。仕事を始めたら、バブルのど真ん中だった。

  アメリカで出会った人たちも、本当に良くしてくれて良い人たちばかりだった。信じられないような幸運だったと思う。これだけ多くの人に支えられたからこそ、

「子供たちをまっとうに生きれるように支えてやりたい」

 と思えたのだろう。私個人の努力などわずかなもの。ほとんどは、時代の波に乗せてもらった気がする。

 

第百十六章

「成績を上げるメカニズムは複雑怪奇」

  世の中には成績を上げる指南書があふれている。和田秀樹さんの「新・受験技法」はすぐれた本だと思う。しかし、それを読んだところで東大や京大に合格できるわけではない。

  私の塾では毎年「京大」合格者が出る。しかし、私の塾に来れば必ず難関校に合格できるわけでもない。勉強ができるか否かは、遺伝子、幼少期の育て方、学校での学習環境だけでなく、経験値も影響する。

 しかも、その一つひとつは解明ができないほど複雑だ。遺伝子の配列がどうなると知能が上がるのかは分かっていない。分かっても操作できるのか、操作して良いのか超えるべきハードルは複雑だ。

 理想的な教育環境といっても、同じ教育環境から異なる成果が生まれる。環境が全てではない。

 それに、勉強ができることに意味を見出さない人も多い。金に人生をかける人もいるだろうし、芸術、スポーツに人生をかける人もいるだろう。

 だから、私は

「医者や弁護士、研究職など知的な仕事に就きたい才能と素行に問題のない子」

 だけを指導することにしている。それだけ条件を揃えても、必ず合格できるとはいえないほどに競争は激しい。

  私、叩かれるんですよ。

「アホは切り捨てるのか!」

 って。でも、違うでしょう。プロ野球でも、甲子園で活躍した選手を中心にスカウトする。その他の選手は切り捨て。就職試験もそう。学歴を参考にして、ふるいにかける。高校を卒業したら、弱肉強食のジャングルに放り込まれるのに、学校では

「偏差値追放、順位は発表しない、業者テストは廃止」

 という。何という建前、隠蔽、きれいごと。

 私の塾に成績優秀な子が集まってくれる生徒は何を求めて来てくれるのか。お分かりだろうか。

「ウソはやめてほしい」

 ということだ。「相棒」で言っていた。

「絶望の現実より、希望の嘘に飛びつく人が多い」

 これでは、受験に勝てない。

第百十七章

「本当の優しさと、コストパフォーマンス」

  私は四日市高校が好きではないが、Oj君をはじめ北勢中学校ではあり得なかった日本で最高の頭脳と知り合えるチャンスをもらったことは感謝している。自分がかなわない相手と競争してもしょうがないので、自分の生きる道を探ることができた。

  もし、桑名高校やいなべ総合に進学したら慢心していたかもしれない。そして、ずっと後で方向転換を考えて難しい状況になったかもしれない。早く一流のものに接することはいいことなのだ。

  だから、私は現実を生徒に知らせるのはできる子にも、できない子にもメリットはあると思っている。オンチな私を人並みの歌を歌えるようにするには、ありえない時間とエネルギーとお金がかかるだろう。私はそんな道を進まない。自分にできることをやる。

  勉強やスポーツや音楽や文学や・・・。全て同じことだ。

  どうして「デス・ノート」がヒットしたのだろう。どうして「必殺仕事人」がヒットしたのだろう。

  人殺しや酷い犯罪を犯したヤツは死ぬべき。社会から排除しないと、真面目に生きている人たちが犠牲になる。大多数の人たちは、そう考えている。飲酒運転をしたり、暴走行為をしたりするような人間は死んだ方がいい。麻薬や危険ドラッグをやるようなヤツはこの世にいない方がいい。

  人間はそう考える生き物らしい。

  それは、中学生や高校生も同じことだ。勉強に向いていない子を指導するためには通常の何百倍もお金がかかる。そして、日本にはもはやそういう子を支えるお金がない。人はそれぞれの適正にあった方向に進むべき。

  優秀な理系女子の発言を聞いていると危険を感じる。

「なんで、あんな子が私と同じクラスにいるのだ」

 という感覚。当たり前だ。その素行最悪な人のために自分の勉強が妨害されるから。そのヤクザ予備軍の子が将来人類に災いを起こる確率が高いと感じているから。

第百十八章

「少林寺拳法ができると、何が違ってみえるか?」

  私はたかだか少林寺拳法二段で、さほど強くはない。七帝戦で、京大の副主将に一本負けした苦い経験がある。でも、ジャッキー・チェンと一緒にTV出演した楽しい思い出もある。アメリカの中学校で何度もデモンストレーションをした懐かしさもある。

  あれこれ40年も自主的に練習してきた。ヌンチャクや棒もある程度は使える。すると、何がどう変わって見えてくるのか。最初は

「暴力を怖れずにすむくらいには、なりたい」

 と練習を始めたが、そう思え始めたのは26歳頃だった。つまり、練習を始めて5年くらい経過してから。猪突猛進ではなく

「勝てる」

 と思える状況でないと格闘など始めるべきではないが、平和な日本では実戦など日常生活ではありえない。大学時代の稽古でも、グロープや防具をつけての試合だけだった。

  私は頭脳戦に興味があり、肉弾戦などバカのやることだと考えているので余計に実戦の経験値が蓄積しない。この世界、「筋肉脳」と揶揄される単細胞かつ粗暴な人が多い。

  私は英語や数学の受験指導の世界に住んでいるので、筋肉脳や粗暴な人は苦手だ。

  私が大声や恫喝に動じなくなってきたのは、体力的に衰え始めた40代の頃からだろうか。

「弱い犬ほど、よく吼える」

 という意味が実感をともなって理解できたからだ。また、病気で身体が動かない時に、元気な頃の自分の身体の動きを思いだすと

「確実にやられる」

 と思った。つまり、普段から自分のように身体を鍛えていない人の動きが予想できるようになり

「負けるわけがない」

 という気がしてきたからだ。突きや蹴りを日常的に練習している私と、そういう訓練を受けていない人が格闘したら負けるわけがないのだ。

  ただし、若い人、格闘技はやっていなくても、身長や体重がある人、他のスポーツで鍛えて身体能力の高い人には勝てるか分からない。

 だから、ケンカなど基本的にやらない方がいいのだ。勝っても、負けてもただではすまない。

  私はベストコンディションでいたいので、酒、タバコ、ギャンブル、女遊びなどは一切やらない。いつ格闘が始めっても大丈夫なように準備だけはしておく拳法家の心得だけは、ずっと守っている。

  また、困難な事態が起こっても諦めないで戦う姿勢を育んでくれた気もする。

第百十九章

「見せかけの優しさと、本当の優しさ」

  多くの人を、長期間にわたって騙すことは出来ないと誰かが言った。

  私は素行不良の生徒が嫌いだし、真面目な生徒に迷惑がかかる場合は容赦なく「強制退塾」させてきた。だから、ろくでなしタイプの生徒と保護者からは蛇蝎のごとく嫌われた。

「どんな生徒でも見捨てずに更正、教育するのが先生ではないのか!!」

 というわけだ。学校はもちろん、大多数の塾講師も

「大丈夫、私にお任せください」

 という対応をするので、そういう対応が当たり前だと思ってみえる方が多い。しかし、それは現実を知らない人のセリフだ。

授業中に遅れて入ってきて、授業中に私語ばかりで授業妨害をし、途中でトイレに立ち、プリントを配布しても帰りに捨てて行き、備品を壊し、盗み、月謝を踏み倒す。そして、追い出されたら悪評をばら撒き、追い出されなくても合格実績にはつながらない。

  こんな生徒に

「大丈夫。頑張って四日市高校に合格しよう」

  という塾講師がいる。合格できる可能性はゼロなのに。保護者は、そういうウソが大好きなのだ。残酷な現実を見たくないのだ。四日市高校なら、学年で1番、2番、3番くらいまでしか合格できないのだ。この地区の中学校では。

  私はキツイことを言うかもしれないが、ウソは言わない。毎月塾生の方にお渡しするコンピューターによる順位、偏差値、合格判定もウソは言わない。以前は、

「こんな順位をつけられたら自信を失うだろう!」

 と抗議を受けたこともある。最近は、そういうタイプの方は当塾を批判し、来てもらえない。ところが、サイレント・マジョリティである真面目な生徒の方たちが集まってくれた。

  そのお陰で、当塾は30年以上つぶれずにきた。

  さて、

「本当の優しさって、何だろう」

  医者は治療するために、苦しい検査を要求する。痛い注射も、苦い薬も受けるように要求する。時には、腹を切り裂いて手術をする。そして、患者はそれに従う。病気を治したいからだ。

  受験指導も似たような面がある。勉強が苦しい時期もあるのだ。しかし、本気で生徒の合格を後押ししようとする塾講師は甘い言葉ばかり言わない。言えない。

  重病の場合は、死に至る。だから、患者は苦しい治療に挑む。受験の場合は、不合格は避けたい。学歴は人生を通して、さまざまな場面で表面化する。就職、結婚などで大きな決定要素になる場合がある。

  さて、厳しい言葉をかける講師と、甘い言葉をかける講師と、どちらが本当に優しいと言えるのだろう?

「そんなのは、おまえの考えで、オレはちがう」

 と怒鳴られる方もみえる。私は考え方を述べているのではない。30年前から塾をやっているので、第一期生は現在45歳。その子たちが塾に来てくれている。正社員になっている子。ニートやパラサイトになっている子。いろいろいる。

 その現実について書いている。つぶれたくないから本気なのだ。

第百二十章

「ゲゲゲで、レレレで、バカ田大学」

  年末になると受験生は落ち着かない。正月明けにセンター試験があって、推薦組みはそれで合否が決まる。二次で勝負をする子は、センターの結果で出願先を最終決定する。

  自分がどんなに頑張っても、上には上がいる。

「私の力ではここまでか」

  という現実を受け入れるのは苦しい。

「人生は入試だけで決まるものではない」

 なんて分かっている。卒業してからが本当の勝負だろう。しかし、それは大人の言葉であって受験の場にいる中学生や高校生には通用しない。

「そんな簡単な問題も解けないんだ」

 という、友達の上から目線が耐えられない子もいる。

「私は中京大学に決まったけど、あの子は名大に行った」

 という現実は苦いかもしれない。屈辱かもしれない。で、その屈辱から抜け出す方法だけど、それはハッキリしている。問題は、実行するかしないかだけのこと。

 たとえば、当塾では

1、受験料無料で毎月コンピューターが合格判定をおこなっている。

  それで、自分が「四日市高校」はムリと判定された時にどうするのか。来月は順位を必ず上げると決意して勉強時間を増やすのか、増やさないのか。

  • 家庭学習中の質問は、無制限で何回でも、どの科目でも受け付ける。

  利用するのは成績上位の子だけ。儲けを度返しでサービスしているのに、利用するだけ勉強していないのだからどんなサービスも意味がない(子もいる)。

3、講師は英検1級、京大二次で英語8割、数学7割。

そのレベルまで勉強しない子には意味がない。教科書準拠の問題集って、教科書を写せば何とかなる。そんなのでは入試に役立たない。

  要するに、どんなサービスも、どんな講師も、本人にヤル気がなかったら役に立たないってこと。

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急に旦那が死ぬことになった!その時の私の心情と行動のまとめ1(発生事実・前編)

暗い話ですいません。最初に謝っておきます。暗い話です。嫌な話です。ですが死は誰にでも訪れ、それはどのタイミングでやってくるのかわかりません。...

忘れられない授業の話(1)

概要小4の時に起こった授業の一場面の話です。自分が正しいと思ったとき、その自信を保つことの難しさと、重要さ、そして「正しい」事以外に人間はど...

~リストラの舞台裏~ 「私はこれで、部下を辞めさせました」 1

2008年秋。当時わたしは、部門のマネージャーという重責を担っていた。部門に在籍しているのは、正社員・契約社員を含めて約200名。全社員で1...

強烈なオヤジが高校も塾も通わせずに3人の息子を京都大学に放り込んだ話

学校よりもクリエイティブな1日にできるなら無理に行かなくても良い。その後、本当に学校に行かなくなり大検制度を使って京大に放り込まれた3兄弟は...

テック系ギークはデザイン女子と結婚すべき論

「40代の既婚率は20%以下です。これは問題だ。」というのが新卒で就職した大手SI屋さんの人事部長の言葉です。初めての事業報告会で、4000...

受験に失敗した引きこもりが、ケンブリッジ大学合格に至った話 パート1

僕は、ケンブリッジ大学トリニティ・カレッジ、政治社会科学部(Social and Political Sciences) 出身です。18歳で...

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