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15/11/26

どうして帰国子女の婚活が難しくなってしまうのか。(特にアラフォー帰国子女の婚活・・・)

Image by Olia Gozha

結婚相談所の入会申し込みフォームの『お会いしたい方のイメージ』という欄に

「国際感覚豊かな人」



と書く女性がいる。彼女たちは、ほぼ100%と言っていいぐらい、海外経験がある。


「ああ、これはまたすごい『普通』を求められそうだ」


と私の心はどんより曇り空になる。


「勝手に決めつけてはいけない。私の経験で会う前から判断をしてはいけないっ!」



と、自分につよーく暗示をかけながら、面談先のカフェへ足を急がせた。


会ったのは、30代後半の未婚の女性だ。髪の毛は黒髪ストレートで、スレンダー。アイラインが濃い目の、アジアンクールビューティな雰囲気だ。ベージュのスーツから美脚がスーッと伸びて、エナメルの黒のハイヒールが輝いていた。


こちらは、ピチピチの赤いカーディガンのボタンをしっかり閉めている。中にはデーンと豚みたいなクマのキャラクターが描かれたTシャツを着ているが、絶対に見せないと誓う。


お客様「私はアメリカの4年制大学に留学をしておりました。本当はアメリカで就職したかったのですが、色々あって戻ってきました。」


やっぱり帰国子女だっ。私の予感は的中。


「お客様は、アメリカにどれぐらいおられたのですか?」

やはり帰国子女のお客様「大学から行きました。英語が大好きだったので、やっぱり本場で学びたいと思いまして。」


フフっと微笑む彼女の白い歯もエナメル質。ああ、色々眩しいっ。

そして、これから山場を迎える。


「えっもう山場なのか?」と思われるかもしれないが、アラサー、アラフォーの帰国子女の場合は、いきなりやってくる。それは、彼女たちが男性に求めるものをほとんど日本の男性が持っていないことを丁寧に説明しなければならないからだ。


私は重たい口を開いた。

「あのー、お会いしたい方のイメージというところに、『国際感覚豊かな人』と書かれておりましたが、これは具体的にはどういった人なのでしょうか。」

「一言で言うと難しいですね〜。えー…」


この間で一つの情報がわかった。

「英語が話せる人」という単純なものではないことだ。私はこの一言にかすかな期待をしていた。英語を話せる人ならわりといるからだ。


彼女は笑顔で答えた。

「色々な海外の人にビビらないで対等にコミュニケーションが取れる人がいいですねぇ」

「・・・。(やっぱりそうきたか)」



ここで、ごそっとお見合い相手が減ってしまう最初のピンチを迎える。

なんとかここを乗り越えなければ、この後の条件を言われた後、お見合いの候補がゼロになってしまうっ!!!


私は危機に立ち向かうことにした。

「英語は絶対に話せなければならないでしょうか。」


ここが第一の峠だっ!行け〜!!!!と一人心のなかで祈る。


「いえっ、必須というわけではありませんが…。」

「あ、じゃあ英語を話せなくても大丈夫ということですね。」

「ま、まぁ・・・。」


な、なんとかクリアっ!とにかく英語力という今日明日で絶対にどうにもならないもので出会いを減らしたくないのだ。


しかし、女性の顔は一気に曇った。

テンションが下がっているのがとても良くわかる。


「あのっ、海外経験がある方ってそちらにはいらっしゃらないのでしょうか。」



き、来たっ!お客様からの反撃っ!!

本来ならパートナーシップを結ばなければならない相談員とお客様との間に見えない火花がバチバチと飛ぶ。

私は口を開いた。そして、たった一言だけを伝えた。

「いますよ。」


本当にいる。確かにいる。

「なーんだ、いるんですね。そうしましたら海外経験がある人を優先的に紹介してもらえたら嬉しいです。」

「・・・。(そ、そこなんですよ・・・)」


問題なのは、海外経験ありの男性側が出すお見合い相手の条件である。結婚相談所に来る男性は、経済的にしっかりしていて仕事もきちんとしている。さらに彼らは、ちゃんとそのキャリアを活かした職に就いていることがほとんどである。

つまり、高学歴、高収入であることが多い。


言うまでもないが、かなりのライバルがひしめく状況になる。

例えば、こういうお見合いも結構出てくる。

帰国子女の20歳代の女性に、

「10歳以上歳上なんですが、海外経験もありしっかりお仕事をされている男性がおります。」


とお見合いの話をすれば、

キラキラ20代女性「うーん。歳上なのが気になるけれども、海外の話が合いそうですし、お仕事が出来てかっこよさそうだから、お見合いをします」


という回答がだいたい返ってくる。


つまりアラフォーの同世代の男性とお見合いをしようと思ったら、20代半ばの女性との戦いになるのだ。

結婚相談所にやってくる男性は「子どもが欲しいから」というモチベーションがかなり高い。だから妊娠率が下がってしまうアラフォーよりも、まだまだ若い20代なかばを簡単に選んでしまう。肌の艶にも勝てない。


「そういうことで、同世代で海外経験がある男性とのお見合いだけを引っ張ってくるということは非常に難しいのです。だいたい5歳から10歳ぐらい年下の女性を希望されるんです。彼らも強気で年齢条件出してくるので。」

「なんですか。それ。ちょっと海外経験があって、仕事が出来るだけで、若い女限定っていうふうにするっていうことでしょうか。」


明らかにお客様はむっとしている。しかし私も言わなければいけない。

つ、つづく・・・



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