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15/11/16

第七十六章 Xくんと、Yさんの件

Image by Olia Gozha

第七十六章

「Xくんと、Yさんの件」

「先生、(2)の問題だけど・・」

「ちょっと、(2)って何ページの?」

「13ページの・・・」

「ちょっと、何番の(2)?」

「えっと、4番の(2)だけど、ボクの答えは合ってます」

「合ってるって?正解が間違っているかはキミが決めるんじゃないよ」

「でも、ここをスッと線を引いてまぁるく線を引くと」

「ちょっと、Xくん。数学なのに、スッととかまぁるくって・・・」

 Xくんは、いつもこんな調子です。

「先生、この無理数ってこの世にないんですよね」

「そうですね」

「もし、一辺が無理数の図形ってどう描いたらいいのでしょう?」

「三平方の定理で考えると書くのは簡単」

「それ矛盾ですよ」

「そのとおり。しかし、無理数の少数以下が100桁くらいなら?」

「そうですね。現実の研磨技術などではムリな世界か」

 Yさんとの会話は、こんな感じ。

 同じ教室で指導できると思われますか?

 あまりにレベルが違いすぎる。この二人に同じ宿題を出すわけですが、馬鹿げている。Xくんには難しい二次法的式の解の公式も、Yさんには人間がやるべき問題ではない程度にしか見えない。Xくんには苦痛かもしれないが、Yさんにも自分の時間が浪費させられ苦痛だ。

  Xくんはサッカーをしている方が楽しいのでクラブ活動に一生懸命。Yさんは勉強したいのに「強制クラブ」である制度のためにやりたくもないバレーをやらされる。

 どうして「やりたいことをやる」という程度の当たり前の原則が守られないのだろう。基本的人権を踏みにじっても平気な教師ばかりだからだろう。社会主義に洗脳されると北朝鮮のマスゲームのような全体行動が大好きになるらしい。

 学校は、アメリカの中学校のように午後2時半になったら消灯でいい。そうすれば、クラスやクラブの濃密な人間関係の中でイジメや自殺という悲劇が避けられる。スポーツをやりたい子はプロに習いに行ってもいいし、勉強したければ予備校や塾で勉強すればいい。

 それを、全体主義的に「強制」するから登校拒否や引きこもりで抵抗するしかなくなる。内職や仮病で勉強時間を確保するしかなくなる。今の学校は、アレルギーの子の口に無理やり全員と同じソバを押し込んでいるようなものだ。

 これでは、自分の身を守るために学校に行かなくなるのは当たり前。

 Xくんと、Yさんを本当に同時に指導できるのならやってみせて欲しい。できもしないのに

「学校に来い」

 などと言わないで欲しい。できないのなら、

「できないから、家でやってください」

 と正直に言ってほしい。そして、生徒たちを学校から解放して欲しい。

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