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15/11/12

銀座で見た夢

Image by Olia Gozha


 

まだ僕が20代前半だった頃のお話です。

 

 

当時、”夜関係”の会社をいくつも経営している

社長のカバン持ちをしていました。

 

 

さすがに違法な仕事ではありませんでしたが

人様に胸はって言える仕事内容だったのか?

と言われたら黙ってしまう超グレーゾーンな仕事をメインにしていた

社長さんでした。

 

 

人生の「生き死にの瀬戸際」にいる人達と接する時間が

長かった僕のストレスはいつも極限に達していました。

 

 

そんな僕の雰囲気を感じとる度、

社長は風俗やキャバクラなどによく連れていってくれました。

 

 

とある日。

 

会社に僕と社長だけが残って、

1つの面倒臭い取引を解決しました。

まあ…ものすごいめんどくさい仕事でした。

さすがの社長も精神的にまいったのか、

今日は僕を帰さない!と甘えて?きました。

 

 

 

ハゲ社長

「今日は風俗なんて行かないぞ!!

今日は…

今日は…

そうだな。

久しぶりに銀座行ってみるか…」

 

 

((((;゚Д゚))))

 

  

なんと…。

当時まだ小僧だった僕は、「夜の銀座」

という響きだけで縮こまってしまいました。

  

 

社長に連れられ向かった夜の銀座には

当たり前のように着物を着ながら歩いている姉ちゃん達が、

道にうようよ居ました。

 

(・_・)

 

 

社長は行きつけがあるから、と路地へと入っていきます。

そして一軒のお店に。

扉には小さい文字で、そしてまるで”威嚇”するように

【会員制】

と書いてありました。

 

 

ママ

「いやだ社長さん、3日ぶり。

さあ、奥の御席をお取りしていますよ」

 

 

仕事の出来そうな

キツネ顔のママさんが嬉しそうに案内してくれました。

 

 

(てか3日前に来てるんじゃん。

何が久しぶりだハゲ!)

 

 

 

そんな感じで僕も案内された席に座りました。

 

 

店内はとても質素なのに、なぜか高級感が漂っています。

席に着いたママさん、

他の姉ちゃん達もキャバクラとはなんというか”質”が違いました。

 

 

と周りを見渡すと・・・

 

ザ・金もち!って感じのお客ばかり。

ボロボロのジーンズにTシャツとワークブーツ

みたいなのは僕だけだったので、

かなり恥ずかしかったです。

 

 

ハゲ社長

「今日はな、こんな格好してるけど、

うちの会社の出世頭を連れて来たから。

 

花が咲く前にアピールしておけよ」

 

 

そう社長に紹介されると、急にみんなが媚びをうってきました。

社長に好きな物を頼んで楽しめと言われたんですが…。

僕の隣の姉ちゃんが寄り添ってきて注文を聞いて来ました。

佐々◯希似のねえちゃん

「何を飲まれます?

ブランデーですか?

ウイスキーになさいます??」

 

 

リュウ坂口

「僕は茶色い飲み物があまり好きじゃないんで…

ウーロンハイで!」

 

 

佐々◯希似のねえちゃん

「いやだ、ウーロンハイも茶色ですよ♪」

 

おおー。

\(^o^)/

 

僕のかましに素早く対応して突っ込んでくれた姉ちゃん。

顔も可愛かったし、今日だけの出会いだと思ったので指名。

 

その後は、社長も調子にのり、高そうなボトルをどんどん注文。

フルーツ盛りや、ローストビーフなんかも頼んでいました。

テーブルは物でいっぱいいっぱい。

 

 

佐々◯希似のねえちゃんにどんどん飲んで、

どんどん食べてと勧めていたんですが…

 

 

佐々◯希似のねえちゃんは

「ありがとう、いただきます」

 

 

と言うだけで、あまり酒も飲みませんし、

フードなんか皿に盛るだけで一口も食べません。

 

うーん…お人形さんみたいだ。つまらん。

 

僕は安キャバやゲイバーなどに行って、

みんなでドンチャン騒ぎをする空気をみてるのが

好きなんで、なんか…飽きてきちゃいました。

 

 

飽きてしまったが最後。

あまり口も聞かずにひたすら飲み続けるのが 僕のスタイル…。

僕が黙って酒を飲み続けたら飽きているんだって思って下さい。

(って…見る機会ないね)

 

 

と、僕を知りつくしている社長がそれに気づいて、

今日はそろそろ帰ると言いました。

部下の癖とかを把握しているんですよ。

すごいハゲだ・・・いや、すごい社長さんです。

 

 

ママさんが「いつもありがとう」と言って社長に伝票を…。

僕は好奇心から伝票を社長にばれないように

こっそりと覗きました。

 

 

すると。

  

はっ???

 

 

 

僕は”ちらっ”と見えた金額に息を飲みました。

 

 

 

店に居たのは1時間ちょっと。

いくら沢山注文したとはいっても…

いやいや、丸が1つ多いでしょ。

ありえない!!

 

7桁でした。

 

サラリーマンの給料の5倍以上ですよ!!

 

僕が払うわけじゃないですが、さすがに

ボッタクリだろ!って金額でしたね……。

 

 

 

しかし、社長はご自慢のブラックカードで笑顔で会計していました…。

  

 

 

 

店を出て、僕は社長にご馳走ですと伝えました。

 

 

 

 

社長

「おう、どうだった初めての銀座は?

おまえにはまだ早かったかな。

 

 

・ 

 

 

ん?なんだ、その顔は。

ああ、そいえばおまえ、会計の金額見てふざけんなみたいな顔してたな。」

 

 

 

 

リュウ坂口

「いや…、あんなに出してもらって申し訳ないです。

でも・・・

あんな金額はぼったくりじゃないですか!

銀座だからってありえないですよ!!」

 

 

 

 

 

社長

「・・・まぁ、おまえはそうとるよな…。

 

 

 

 

いいか、リュウ。俺はな、

 

この歳でもまだ独身で、仕事一筋でずっと1人で頑張ってきた。

おまえらがヒクぐらいの蓄えもある。

 

たまに自慢したくなるんだよ色んな人に。

 

【俺は頑張って金持ちになったんだぞ】

 

って。

 

 

でもそんな自慢を人にしたらどうなる?

妬まれて嫌われて下品だと言われて終わりだろ?

 

夜の銀座ってのはな…

そんな俺みたいな人間の見栄を黙って受け止めてくれる、

そんな所なんだよ…。

 

まぁ、まだおまえにはわからないだろうがな…」

 

 

 

 

 

リュウ坂口

「・・・」

 

 

 

 

 

 

夜の銀座。

人間の欲望。

夢。

 

 

 

銀座のネオンを見え隠れさせながら歩く社長の横顔

を見ながら…僕が考えこんでいると…

 

 

 

 

 

 

ハゲ社長

「・・・バーカ。なにたそがれてんだよ!

 

お前いちいち考え過ぎなんだよ。

 

ようするに、金もってるぞーって自慢したいんだよ!!

わかったか。

 

んじゃ、軽く酒も入ってテンション上がったからソー◯ランド行くぞ!!

ほれ、タクシーつかまえろ!!」

 

 

 

( ゚д゚)    

 

 

 

 

 

リュウ坂口

「は・・・っ!えええ!

今日は行かないっていったじゃないですか!

社長、どんだけ風俗好きなんですか………」

 

 

┐(´д`)┌

 

 

 

 

 

 

 ハゲ社長

「ガハハ!!!!ま、明日も頼むなリュウ。ほれいくぞ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ヽ( ・∀・)ノ┌┛ガッΣ(ノ`Д´)ノ

 

 

 

 

・ 

 

 

 

 

・ 

 

 

 

・ 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 

 

 

 

僕に、

夜の銀座と人生と、

明日も頑張ることを教えてくれた

尊敬する不器用なハゲ社長のお話です。

 

 

 

 

 

 

 

リュウ坂口@元お水店長

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