私は、2010年から結婚相談所を経営している。結婚相談所の中でも、とてもアナログ的な紹介をする結婚相談所である。インターネット検索のようなシステムもなく、相談員である私が、ひたすらマッチングをしていく方法をとっている。
自分でやっているとよくわかったことがある。それは、お見合いで断られやすい人には共通点があるということ。お見合いで断られやすいとなると、出会いのチャンスがめぐってこないので、結婚への可能性がどんどん低くなっていく。
この3つである。
1. 太っている。→太っている人は苦手といいうNGが非常に多い。
2. 結婚歴がある→特に30代までの未婚の男性からNGが出る。親の反対を受けるのも理由にある。
3. 年齢が40歳を超えている→子どもが欲しいという男性が多い。
さて、私が離婚した当時、30歳で今よりは痩せていたがそれでもぽっちゃりしていた。一般的な男性から見ると、「太っている」ほうに属していた。結婚歴もガッツリついている。つまり、1と2でお見合いが成り立ちにくい状況に陥っていた。
結婚してから10キロ以上太った私を見て、母が
私の母「痩せなさい!」
とめちゃくちゃ怒りまして、フィットネスに通い続けた。
そして、10キロ痩せて、なんとか標準体重ギリギリになった。
よし、体重はクリアっ!
30歳という若さもあり、痩せればどうにか見られる状態になり、男性からのアプローチも結構あった。
「恋愛って超たのしー!ウハウハ!」
と思っていたが、とんでもない壁にぶつかったのだ。
それは、「結婚」という壁だった。私は当時まだ離婚したばかりで、
「結婚生活なんてコリゴリ!自由になったんだから存分に恋愛するぞ〜!」
というテンションだった。
だから、離婚後すぐに恋愛をして楽しい日々を送っていた。
しかし、結婚したのは26歳。このわずか4年間で同世代の意識はすっかり変わっていた。みんな「結婚しなきゃ」と一生懸命婚活をしていた。
「結婚生活なんて煩わしいだけよ。全然自由もなかったし、今がサイコー!」
と思っていた私に、当時の同世代の彼はこんな話をした。
当時の彼「そろそろ、俺は結婚したい。でも結婚歴がある明美ちゃんとは結婚は無理。」
「えっ。私は結婚したいなんて言ったこと一度もないよっ!」
当時の彼「わかってる。でも俺は結婚したいんだ。」
これを聴いた時、私はもうこの人と別れなきゃって思った。若くして離婚して自分のしたいように生きている私を彼の両親が認めてくれるとは考えられない。しかし結婚となると親が認めてくれるような人じゃなければならない。ああ私に結婚歴がなかったら、彼と結婚できたかもしれない。自分でやっちゃったことなんだけれども、もうどうにも出来ないことが苦しかった。
その後、まもなく彼はお見合いをした人と結婚をしていった。
私の心のなかに寒々しい風が吹いた。
「も、もしかして・・・。私はもう結婚できないんじゃないか?!」
めちゃくちゃ不安になった。結婚する気はなかったけれども、それは結婚をしないという選択肢を自分がとっていると思っていたからだ。でもそもそも結婚しない以外に選択肢がないとしたら!!!
すでに31歳を迎えた。彼氏もいない。周りの同世代の女の子たちは結婚、出産ラッシュだ。私は寂しい老後を一人生きていかなければならないのか。
夜も眠れないぐらいに不安が私の心にドッと押し寄せてきたのだ。
「私も結婚を考えないと大変なことになるかもしれない!」
それからまもなくして友人から結婚式の招待状が転送で送られてきた。住所は、離婚前の住所になっていた。
「あっ、この子に離婚したことを私は話していなかったぞっ!」
ビリビリと封筒を破ったら、一枚のピンク色の桜の形をした紙がパラパラと落ちてきた。
「あれっ。招待状のカードのほかになんだろう。」
ペロッと拾ってみると、
友人「結婚式の友人代表スピーチをしてください。テーマは結婚生活でよろしく!」
って書いてある!!!!
あわてて彼女に電話をした。
「結婚おめでとう!あのスピーチって書いてあるけれども、実はね、私は離婚しちゃったんだよ。結婚生活に失敗しているからスピーチなんて出来ないよ。」
と断った。
彼女はかなり驚いていた様子だった。時々家に遊びに来てくれていたからだ。
「そうなんだぁ。でも私のこと一番知っていて、話をちゃんと出来る人って明美ちゃんぐらいしかいないし。もう離婚したこともネタにして盛り上げてくれたらいいからっ。」
ということで、引き受けざるを得ない状態になった。
そして、1か月後、結婚式場に足を運んだ。
結婚式の座席を工夫すると出会いの場が生まれる。独身の男女が会話が出来るようにセッティングしてくれている場合は結婚式で新しいカップルが生まれやすい。
新郎新婦が
「私の晴れ姿を見て!」
という気持ちだけではなく、
「みんなにも出会いの場がありますように!」
と気持ちを込めている座席は見ればわかる。まあ、そこまで普通は考えないが。
しかし友人の結婚式は、かなり出会いに配慮した座席になっていた。私のテーブルの隣は、同世代の独身男性が集まっている様子だった。お色直しの間とか、フリートークっぽい時にお酒をつぎにきてくれるついでに男性何人かが名刺を渡してくれた。見たら、国家公務員だったり上場企業のサラリーマンだったりそうそうたるメンバーだった。
お互いに結婚指輪がないのをチラチラ確認しながら、
隣のテーブルの男性たち「連絡くださいね」
「はい♡」
みたいなこそこそやりとりもしていた。
そんなこんなしているうちに、私の友人代表スピーチが始まった。
「友人は私と違って料理もできるし、家庭的な人です。ああ、私も彼女を見習って、もう一度花嫁姿を見せられるように私も頑張ります。」
と結びの挨拶をしたとき、ドッと和んだ空気になった一方で、あるテーブルだけが完全に寒々しくなっていた。
そう、名刺をくれた独身男性グループだ。
隣のテーブルの男性たち「ちっ、バツイチかよ」
という冷たい視線を感じた。そして態度はいっぺん、
明らかに
「名刺返してくれ。」
と言わんばかりのそっけない態度に。
結婚式が終わった後、惨めな気持ちになり、駅の電車でもらった名刺をビリビリにちぎって「その他のゴミ」に放り込んだ。
「こっちから願い下げじゃ〜!」
っと心のなかで叫んでいた。
このように、「若くしてバツイチ」は、同世代の未婚男性を一気に遠ざけてしまうのだ。私は子どもがいなければ、未婚もバツイチも同じだと思っていた。しかし、未婚男性から見ると違うのだ。
結婚相談所をしてわかったことだが、30代のバツイチは同世代の未婚男性と結婚するのはかなり難しくなる。しかし40歳を過ぎると、「子どもがいなければ結婚歴があってもいいです」という同世代男性も増える。
これは、どういうことなのか。
「40歳過ぎても未婚の男性」というのは、「バツイチ」のようにマイナスの烙印が世の中で押されてしまうからだ。だから、「バツイチも40歳以上の未婚もお互い様」というパワーバランスになるのだ。
では、30代バツイチは、結婚ができないのかというとそうでもない。同世代未婚男性、年下未婚男性が厳しくなるだけで、同世代バツイチ男性、年下バツイチ男性、40歳以上の男性のターゲットにはなる。
崖で目の前が真っ暗に見えたのは、30代同世代未婚男性とのやりとりが続いたからなのだ。崖を振り返れば、ちゃんとお花畑が平地に広がっている。人生はものの見方を変えれば、状況が変わるのだ。
その後私がやったことは、「絶対に太らない」ということ。犬の散歩とフィットネスを欠かさず行った。あれから10キロ以上増えてしまったので偉そうに言えないが、婚活中だけは絶対に痩せていたほうがいい。
明らかに男性は見た目で判断してくる。特に体型はもろである。ガリガリになる必要はないが、標準体重ぐらいにはなったほうがよい。
バツイチというだけで、ごそっと機会が一部なくなっているのだから、今度体型でがさっとまた減らしていては、出会いの機会をさらに失ってしまう。
もう一つやったことは、40歳以上の未婚の男性「も」集まりそうな場所に行ったことである。私の場合は、ビジネスの勉強会によく参加をしていた。その後の懇親会には必ず参加をしていた。30代、40代のビジネスマン男性は本当によく勉強をする。難しくてお金がかかる勉強会にかなり行っていた。そこで独身の人と出会って交際をしたこともあった。
「同世代ともう結婚できないんだ!」と泣いたりくよくよしては仕方がない。
太っている人、結婚歴がついちゃった人は自分で人生を切り開く覚悟を持とう。
