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13/4/9

内定が決まってた。

Image by Olia Gozha

大学4年生の頃、某出版社の学習教材を売る営業部に内定が決まっていた。

営業する対象は中学生。内定直後、さっそく、研修に出かけた。

みんなにあったかい紅茶が出されて(うれしい)、なにがはじまるのかと思いきや、

「さあ、みなさんが相手にする方は中学生。中学生の感じに一日でも早く慣れて頂きたいので、私が、中学生の演技をしますから、話しかけてください! 最初は、私の隣にいる、社員に相手をしてもらいますので、続きを、あなたたちがやってみてください。」

と、元気な社員の人が、中学生のマネをはじめた。

「えー、うん…別にェ~」

と、いきなりだるそうでたまらない中学生のマネをはじめる社員さん…。

「それでは、一番うしろのあなたっ!」

と、社員が内定学生を指すと、

その学生が、

「●●くうううううん!! こんにちわあああ!」

と、いきなりナレーターコンパニオンかというくらいの作り声で話しかけ始めて、私は心底ドギモを抜かれた。

ヤバい…、なんか、ヤバい…

みんないきなりこんなことやらされるなんておかしい…

ていうか、なんでこんな声すぐ出せるんだ…

これって仕事なのか…

俺、監獄に入れられる…

タスケテ…

それから、顔をまったくあげられなくなってしまったので、

紅茶を飲むふりをして、そのまま顔を伏せていた。

いままでの人生で、これほど紅茶と自分が仲良くなったと思ったことはなかった。

というか、もう、ほぼ紅茶にしがみついて、その場に存在している、といってもよいほどだった。

「…どうしたのかな~?」

と社員の人にネコナデ声で聞かれた…。

「いえ…あの…気持ち悪くて…」

と、とっさに謎の言い訳をしてごまかした。

ああ、絶対嫌だ、こんな人間じゃない職私には絶対合わない、どうしようどうしよう、って思ってたら、

体育の単位落として留年して、

1年学んだのち、エロ本の編集者になった。

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