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15/11/4

アスペルガー症候群の僕が社会に過剰適応した話3

Image by Olia Gozha

 二次障害が顕在化した中学~高校時代

 なんだかんだで小学校時代までは、友人にも恵まれ、それなりに楽しい日々を過ごしていたと思います。ですが、周りも皆大人になってくる中学~高校あたりは、自分の認知の歪みによるコミュニケーション上の障害の影響が大きくなってきており、友人関係をうまく築けないという状況が生まれてしまっていました。


 具体的には、意図せず人を怒らせてしまう、また相手に悪意はないのに自分への悪意と捉え、激高してしまう、など。。こういったことがそれなりに頻繁に起こっていたと思います。例えば、これは中学1年生時代の話ですが、当時入部していた運動部の部活の先輩とふざけて追いかけっこをしていたとき、僕が追いかける側だったのですが、楽しくなってしまった僕は勢い余って先輩を思いっきり押してしまい、先輩が派手に転び、何かにぶつかって若干怪我をしてしまったのです。一般的に見ればなぜそこで僕が思いっきり先輩を突き飛ばしてしまったのか、というのは完全に理解の範囲を越えてしまっていたようで、当然僕はぶちきれた先輩に殴られました。ですが僕はなぜ怒られたのかが理解できず、「いじめられた」という解釈をしてしまったのです。


 こんなことが頻繁に続くと、人と話したり、コミュニケーションをとることが怖くなります。あるいは、周りの生徒からしても僕と距離を置くようになります。このような調子で僕は、まともに友人との信頼関係を築くことができず、孤独にさいなまれ、苦しい時期を迎えることになってしまいました。僕が通っていた中学校は一般的な公立校で、あまり進学校と呼べるような学校でもなく、それなりに悪い生徒もいて、浮いている生徒がいるとからかわれたりいじめられたりということもありました。僕は最低限そういった状況に陥らないために、とにかく「面白さ」を追求すべく結構努力しました。小話を事前に仕込んで置いたり、授業のときにふざけてみたり、まわりから見ればばかな奴とか、空気読めないやつという意識だったと思いますが、僕は割と必死だったのです笑 これが僕の過剰適応の第一歩だったかもしれません。つまり定型の一般的な人たちとのコミュニケーションを円滑化するために、「笑い」を追求するという点です。暇な学生生活において、「面白い人間」というのは、ある程度人気を獲得するため、「面白いやつ」と思われてさえいれば、致命的な状況には陥らないだろうという算段があり、実際そうでした。


 一方で、それは本質的ではない人間関係の築き方というか、面白いことを言えている間はいいけれども、それ以外のまじめな話とか、信頼関係とか、そういったものは皆無でした。したがって、その場をやり過ごすという意味では面白さの追求は役立ったけれども、本質的な人間関係の構築は依然として達成されていなかったので、孤独感を癒すことは難しい状況でした。さらには、自分は人間関係を築くことができないとか、人に必要とされない人間なんだとか、そういった「自信のなさ」が醸成されてしまったと思っています。当時、「必要とされる人になる!」なんていう本を買った記憶もありますが、全く役には立ちませんでした笑


 こんな調子で、当時はなんとなく「人と自分は違うな」と思っていたものの、その正体がなんであるかもわからず、友人関係の構築という、学生生活において多くの意味を占めるタスクについて、七転八倒しながら自分なりの試行錯誤(≒過剰適応)を続けていき、面白さで何とかするという戦略を徹底したのが僕の中学、高校時代だったといえます。一般的なものが分からないが故に一般的なものを希求し、過剰にそれを学び取ろうという姿勢があったと思います。


 しかし、自分の人生にとって最初の転機が訪れたのが、大学受験でした。



せみ太郎

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