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15/10/23

家族を支えなければならない私がパニック障害になってしまった話

Image by Olia Gozha

突然、私はパニック障害と診断された。

パニック障害は脳の病気だ。

しかし、私は精神障害だと思い込んでいた。

そんな、私はこの病気を今でも克服出来ずにいる。

しかし…


最初に少し自己紹介をしておきます。

私はフリーランスのクリエイティブ・デレクター、デザイナーを仕事にしている。


主にホームページ制作や企業パンフレット制作が仕事。

自宅の2階が事務所。

4人家族。


私がパニック障害と診断されたのは2013年の秋のこと。

2013年は夏から秋にかけて、いろいろあった気がする。


その年の夏は尿路結石の激痛も経験した。

気を失うほどの、強烈な痛みだった…

身体に変調を来し、ついにパニック障害にもなったのだった。


…では、しばらくの間、私のお話しにおつきあい下さい。




●病気を自覚した出来事 ---------------------


私が陥った症状01


2013年の夏、猛暑が続いていた。

ジャケットを着ると汗だくになり、ジャケットから汗を絞ることができるのではないかと思うほどの暑さだった。


私はWEB制作の仕事で、おつきあいがあるプロデューサーと共に、お客様企業を訪問していた。

少し暗く狭さのある応接室に通された。

久しぶりに訪問するお客様なので、いつも通りプロデューサーの簡単な挨拶から始まった。

制作には関係のないことから始まって、時事の話題まで、様々なトークが続く。

そのトークの間は、私はいつも聞き役だ。


私の役割は、ノートパソコンを使って、現在のWEBトレンドの紹介やお客様のご要望をどう実現していくかをプレゼンすること。


長い挨拶が終わったタイミングで私の出番だ。

そして、パソコンを見ながらお客様のホームページの問題点を指摘しようとしたとたん…


全く声が出なかった。

言うべきことは分かっている。

しかし、声にならない。

頭から血の気がひいていくような感じがした。

その後、息苦しさを感じ、やっとの思いで体調の異変をお客様に告げていた。


「すみません……。体調が悪いです。」


お客様の配慮で、場所を広い会議室に移して、打ち合わせを続けた。

場所を変えていただくことで、私の感じた気持ちの悪さもおさまり、その後の打ち合わせを問題無く続けることが出来たのだった。


しかし、仕事上とても大事な場面でのいきなりの体調の変化に恐ろしさを感じた



私が陥った症状02


症状を忘れかけた頃、新しいホームページ制作の仕事が舞い込んできた。

今度は近県の仕事。

同じように熱い日だった。


お客様企業の訪問でプロデューサーの車に同乗した。

その時、また、体調の異変が襲ってきた。


こらえることの出来ない息苦しさと吐き気…

すぐさま車を止めてもらい、車から降り、深呼吸をした。

10分後には、お客様企業での打ち合わせが控えているのだ。

体調不良を理由に引き返すわけにはいかないと思った。


この状態で打ち合わせに耐えられるかどうか不安を覚えた。

しかし、不思議なことに打ち合わせ開始と同時に体調は元に戻ったのだった。



私が陥った症状03


同じ時期、プロデューサーを介在させない、お客様との仕事も動きはじめた。

私は、前回の打ち合わせも無事だったことから、体調の変化は特に気にしていなかったのだ。


しかし、今回は打ち合わせの最中に起こった。

最初と同じように頭から血の気がひいていく感じがはっきりと分かった。


心配したお客さんから「大丈夫ですか?」と声をかけられ、ハッとした。

やはり、体調不良を告げ、打ち合わせを短時間で切り上げざるを得なかった



自立神経失調症か? 更年期障害か?


ここに来て、病であることを意識せざるを得なかった。

主に仕事での体調不良であることから、精神失調であることは疑いようがない。


自律神経失調症のたぐいを疑った。
更年期障害かとも思った。


いずれにしても、このままでは仕事が出来なくなるかもしれない。

私はフリーランスだから、助けを求める人もいない。

しかし、家族の生活を守らなければならないのだ。

人生そのものの危機を感じた。


このままの状態が長くつづくことは病を深刻化させるだけ…

私は、躊躇しながらも、心療内科にかかることにしたのだった。


(後にこの早い決断が私自身を助けることになったと気づくことになる)



病名:パニック障害


私の症状を医者に説明したところ、「典型的なパニック障害」と診断されたのだった。




●心療内科の処方とは? ---------------------


そのころの症状


少し時間を戻す。


心療内科に行く頃には、私は以下のような症状に悩まされるようになっていた。


・電車に乗って息苦しさやふるえを感じ、立っていられない

・人混みや狭いエレベータのなかで、説明の出来ない強迫観念にとらわれる

・映画館で映画の始まりを待つ間、息苦しさを感じる

・髪を切りにいって、マントを掛けられると異常に発汗し、焦燥感にかられる

・歯医者にいっても同上

・車の渋滞に巻き込まれると吐き気、焦燥感、下痢症状に見舞われる

・会議室等で待つことができない

・妙に足が冷える気がする


これらは典型的なパニック障害の症状だそうだ。


心療内科医師へのお願い


幸いにも私はフリーランスなので、会社に通うようなことはない。

自宅事務所での制作仕事がメインだ。


しかし、外に出ることが少ないとはいえ、打ち合わせしないと仕事にならない。

私は、打ち合わせや外出先での特別な状態だけ症状を抑えられれば問題無いと考えた。


そのため、私が医師にお願いしたのは、


「症状を止める薬をください」


ということだった。



パニック障害とは?


薬のことを書く前にパニック障害について、調べてみた。

ネットでサーチすると、すぐに病気の解説がヒットする。


主な症状は動悸、発汗、頻脈、ふるえ、息苦しさ、胸部の不快感、めまい等の発作だ。


以上のような「パニック発作」を恐れる「予期不安」「広場恐怖」等があいまって、悪化すると「うつ病」に移行してしまう恐れもあるらしい。


精神病ではなく、脳の病気として位置づけられ、脳神経伝達物質「ノルアドレナリン」「セロトニン」のバランスを回復することで治癒するとのこと。


治癒するために体系化された治療方法が確立されているようだ。

通常は抗うつ剤をのみ続け、セロトニンを増やし、症状が出なくなれば薬をやめていくという治療になる。


私は、この文章を書くまで精神疾患と思い込んでいたのだ…

ひょっとすると私のケースは少し特殊かもしれない。


私は薬を常用していないのだ。

なおかつ抗うつ剤は処方されていない。


何故、そのようなことになったのか?

以降は私のケースとして読んで欲しい。

しかし、この病気に苦しむ方には一つの治療のあり方として知って欲しいと思うのだ。



医師と最初に話したとき、あまり理解せずにきっぱり


「抗うつ剤はいりません」


と、私は言った。

性格的に鬱ではないという気持ちがあったからだ。


(今にして思えば医師の言うとおりの処方を受けていた方が良かったかもしれない)



症状を止める薬「レキソタン」


私が処方された薬は抗不安薬のひとつ「レキソタン」という薬。

私の場合は頓服として使用している。


「あぶなそうな状況だな」


と感じた際に、服用する。


抗不安薬の特徴としては「即効性」が上げられるようだ。


レキソタンは、私のようにパニック症状が発生する状況が生活の上で限られている場合(お客様との最初の打ち合わせの際や特殊な状況下のみ)には持って来いの薬だった。




● パニック障害とつきあう ---------------------


心療内科で薬を処方されてからの状況


私は1ヶ月に一度、心療内科に通って薬をもらっている。

心療内科では最近の出来事を話すぐらい。


お客様との打ち合わせで数度危ない感じがしたが、すぐに薬を飲んだため、パニック症状を起こさずにすんだ。


薬を飲む際には打ち合わせ中に出されたお茶で飲むこともある。



「ちょっと薬を飲む時間なので」


とおことわりして、お水をもらうこともある。


薬を飲み始めた頃は、打ち合わせ中にも関わらず頭にもやがかかったような感じで集中できないこともあった。
しかし、薬が効くことが分かってからは、そのような感じなくなった。


今では、仕事の状況によっては1ヶ月間全然使わない月もるし、薬を使わなくても問題なく打ち合わせ出来ることもある。


心療内科にかかる前の症状も一つひとつクリア出来るようになった。


「完治したのか?」


と聞かれると、


「まだ」


と答えざるをえない。
この病気に対する不安は今でも消えないのだ。


しかし、薬はいつもキーケースと一緒に身につけていて、お守り代わりになっている。

パニック症状のことは、気にしてもしょうがない。

危ないと思ったら、薬を飲めばいいだけのことと思うようにしている。


薬を飲むといつもより疲れがひどいが、仕事で疲れているのか、薬を飲むことで疲れるのかはよく分からない。

しかし、仕事が出来なくなるよりはずっといいので薬は手放せない。



死にいたる病ではない


心療内科にかかる少し前のこと…


私は尿路結石の痛みで救急車を呼んだ。


尿路結石は腎臓で出来た石が尿道を通る際に激痛をともなうものだ。

「群発頭痛」「心筋梗塞」とならび三大激痛と言われている。


女性で出産を経験された方なら陣痛の痛みに近いと説明すれば分かりやすいと思う。


とにかく痛みにのたうち回り、私の場合は気を失ってしまった。


そんな、痛みを抱えて受診した泌尿器科の医者に言われた一言が


「絶対死なないから大丈夫」


ということ。


「結石は痛いけど、石が出てしまえば病気でもなんでもない。」と医師は言ったのだ。



パニック障害と診断されて、泌尿器科医の言葉を思い出した。

この病もそれが原因で死ぬことないのだ


心療内科はカウンセリングするのが役目なので、「死なないから大丈夫」とは絶対言わない。

しかし、経験した私はその言葉が言い表すことが全てだと思った。


その思いは、不安を抱えながらも普通に生活する活力となっている。

病気とはつきあっていくしかないのだった。




● パニック障害後の取り組み ---------------------


パニック障害を発症後に始めたこと


私はこの病気を発症してみて、


「楽しいことがたりないのかな?」


と思った。


そこで、何か人に役立つことで、楽しいことを出来ないかと思いつづけるようになった。


そんな時…。

私の大好きな作家が亡くなってしまった。

著作で、多くの読者にさまざまな感動を与えてくれた作家の死は、不思議にも私にエネルギーを与えてくれたのだ。



私の好きだった作家の死は、私が立ち上げたまま忘れ去っていた作家のファンブログのアクセスを一時的に増やした。

その時、私は気づいた。


「自分の好きなことは、他の人も好きなんじゃないか?」

「好きなことを発信して、喜んでくれる人もいるんじゃないか?」


…と。


その思いと、好きな作家をもっと誰かに知って欲しい思いが合致して、ブログを再開することにした。


私の好きなことや関心のあることを勉強したり、発信したりすることが、喜びに変わりだした。

シェアボタンを押してくれたり、書き込みがあると、共感してくれる人のありがたさが分かる。


ブログを書くことは、楽しさや感動したことを自分の中から探し出す作業だ。

それは、仕事中心だった日々の生活に少しだけ変化を与えてくれた。


仕事以外のことを考える時間が持てるようになったのだ。

今は毎日ブログの記事を書くことを楽しみにしている。


そんな風に夢中になっていることで、パニック障害のことも吹き飛んでいくような気がしているのだ。


このStorys.jpとの出会いも同じ動機によるもの。

私の痛みや経験が他の方を癒やすちょっとした助けになることを願っている。




よかったら私のブログにも遊びに来て下さい。

楽しいことがいっぱい書き綴られているブログです。


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