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15/10/23

【続編】26歳自由な無謀女子が、田舎の商家の後継ぎと結婚すると○○

Image by Olia Gozha

それはまるで、~~のように、巨大な○になったかのようだった。


22歳で、無計画に会社を辞め、無資金で学習塾を開き、そこそこ稼いで自由に暮らして4年。

26歳になった私は、その暮らしにあき、

次に選んだのは、なんと、

田舎の商家の後継ぎと結婚することだった。

通りすがりの人1「そりゃ、無謀じゃね?」

確かに、ふつうに考えて、無謀すぎる。

自由に好きに生活できていたのを、何をわざわざそんな環境に身を置いたのか。


通りすがりの人2「結婚相手が、それほど好きだったのね。」

みりえ「それもある。」

でも、それだけじゃないような気が、今となっては、する。

通りすがりの人1「他に、何があるんすか?」

みりえ「たぶん・・・」

みりえ「自由すぎる生活に、あきちゃったんだと思う。」

通りすがりの人1「まじっすか?」


人に何かを教えるのは、強みなんだろう。

個人個人を把握して、それぞれにわかりやすく教えるのがうまい。

ちょっとやんちゃな子がきても、うまく制御できる。

これを、教職課程を勉強したわけでも、どこかで経験したわけでもなく、23歳(教え始めた時には23歳になっていた)女子が、いきなりふつうにできてしまったのだ。


強みは、強力な武器ね。


向かうところ、敵なし。

実家で、うるさく言う人もいない。

保護者さんたちも、満足して何も言ってこない。

慣れてくると、塾前の30分ほどで、教える準備が全部できるようになった。

正味、1日の仕事時間は、3時間強。

あとは、好きに過ごしていいのだ。


こうなると、人間は退屈してくる。

好きな本を読んでいる。好きに小説も書いている。

好きに絵も描いている。

それでも、なぜかあきてくる。

人間って、不思議なものだ。



通りすがりの人1「これ、なんすか?」

「ねこ?」

通りすがりの人1「まじで?」

何も、わざわざ不幸を選んだわけじゃない。

ただ、かなりのブレーキを全身で感じながら、それでも未知の領域に飛び込んだ。


通りすがりの人2「で、どうなったの?」

「ふっ」

聞かれるまでもない。

みりえ「惨敗よ。」

そこは、私にとって、別の星だった。

私は、結婚相手と結婚したつもりだったけれど、元姑、近所の人たちは、「嫁にもらった」と思っていた。

「個」の意識が人一倍強い私が、その環境の中に入ると、

まるで仮面ライダーのように、

まるでカフカの『変身』のように、


「ある朝、みりえが不安な夢からふと覚めてみると、ベッドのなかで自分の姿が、

一匹の、とてつもなく大きな毒虫に変わってしまっているのに気がついた」


みりえ「な感じなわけよ。」

通りすがりの人1「なんすか、それ?」

みりえ「昔のフランスの名作、冒頭。」

通りすがりの人1「へえ?」

昔から、自分の頭脳を使ってなんとかしてきた。

学校もそれで自由に生活できたし、社会に出ても、頭脳を使って自由に生活してきた。

それが、一切通用しない。

「ただ、働き者」が、りっぱだとされる世界。

みりえ「でもねえ。」

私からみると、全然働いてない。

1年前の、腐って缶がふくらんだビールを売ろうとする。

半生の惣菜の賞味期限を、マジックで3か月書き直して売ろうとする。

通りすがりの人2「衝撃的ね。」


そんなの、「働く」じゃない。


実質労働時間が短かろうが、相手にきちんとしたものを与えるのが「働く」だ。


私からするとあたりまえのことが、まるで通じない。

まわりがみんなそうだから、その環境では、私が毒虫になったようなものだ。

正義なんて、その環境、状況によって、ころころ変わる。

通りすがりの人2「しょうがないから、周りに合わせれば?」

心の声「そんなの、やだ。」

通りすがりの人1「で、どうなったんすか?」

ごつごつ、ごつごつ、あちこちぶつかりながら、

まるくなってあいまいになるんじゃなくて、

私は、なおさら私になっていったのだった。


長男が生まれて10か月でフランス語を勉強し始め、

2年で初級をマスター。

長男1歳10か月で童話を書き始め、公募賞に11個入賞、単行本を出し、雑誌の依頼もこなす。



8年と半年前には、もう一度学習塾をやり始める。

今度は、教えるのではなく、経営のほうをまじめにやった。

大手学習塾が山ほど進出してきて、無料競争をやり始めたから、個人塾はどれだけ優秀なものでも、

ぼこぼこつぶれていった。

そのなかで、家族が生活していく収益をあげるには、かなり真剣にやる必要があった。

毎日研究して実践し、収益を、元夫が経営していた時の7倍にした。

(元夫は、講師をやっていた)


その間、周囲とはごつごつ、ごつごつぶつかりまくりながら。

私はまるで、研磨された原石のように、巨大なダイヤモンドになったかのようだった。


「ま、自分比だけれどね。」

その時大変なことは、長い目で見ると、あんがい自分を鍛えてくれていたりするものなのだよ。

通りすがりの人1「で、今は?」


今年3月の末に、すべてを捨てて、上京して1からやり直している。

通りすがりの人1「まじで?」

「まじで。」

無計画で、上京した。

あいかわらず、無謀なのだった。

いくつになっても、チャレンジが、おもしろい。

さすがに、かなり怖かったけれどね。


その続きの話はこちら↓

http://storys.jp/story/18925

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