涙が止まらなかった前夜。
師走の喧噪の中、私は色々なことを決め、悩み…生きていた。
誰に相談をする訳でもなく、ただ静かに決断を一つずつ。
こういう時、自分でも「損な性格だな」と思う。
泣き喚くこともなく、ただ冷静に…
仲間や親友、身内に相談をしても良かったのかもしれない。
でも、あえてしなかった。
だって、決めなくてはいけないのは「私の命」の行く末。
他人の感情は不要だった。
こう書くと、何だか冷たく感じる方もいるだろう。
それでも、この表現が一番自分の感覚に近かった。
結局は自分。
誰も私の命の結末を決めることは出来ないし、そんな必要もない。
だから、全てを自分ひとりで決めた。
正直、この年末のことはあまり良く覚えていない。
気が付いたら年が明けていて、手術前日だった。
侍医者から色々な説明を受け、前日早めに眠ろうと思い、お風呂に入った。
普段は自分の身体なんてまじまじと見ることはないし、
鏡に身体を映して見るなんてことはしたこともない。
でも。
この日だけは違っていた。
上半身だけが見えるバスルームの鏡。
映り込む自分の左胸を愛おしく感じ、明日にはなくなると自覚した途端…
涙が止まらなかった。
号泣ってこういう時に適した単語なんだなぁ…と。
いや、号泣じゃないな。咆哮に近かったかもしれない。
何の言葉も出てこない。
ただただ…泣いた。
時間が止まってくれたらどれだけ嬉しかったか…無理だけど。
そして、どこか自分の中で腹を括ったんだろう。
黙ってバスルームを後にして、深い眠りについた。
入院の日程は3泊4日。
その間の猫達の面倒は父に頼み、私は病院へ向かった。
偶然にもお願いをしたタクシーの運転手さんは女性。
病院までと伝えたら、何だかんだと話が盛り上がり、
運転手さんにまで「検診受けた方が良いですよ~」と勧める私。
…呑気だ。ホント私呑気だ(苦笑)
ま、そこが私の良いところなんだろうなって思うことにする。
最初に行ったのは侍医者の病院。手術は別の病院で受ける予定だった。
まずは侍医者のところで胸にマーキングをする。
要は「どこにメスを入れ、どこまで切って…」みたいな感じ?
次から次へと左胸にマジックで印が付けられていく。
アタシ「「…まだ書くの?」」
思わず侍医者に言ってしまうくらい、がっつり左胸はマジックだらけ。
そんな時、補助に付いていた看護師さんが一言。
看護師さん「「こんなに綺麗な胸なのにね…切ってしまうのが勿体ないくらいだわ…」」
…言わないで。それだけでまた泣きそうになるから(号泣)
何とか必死に涙を堪え、ひたすらマーキングの終了を待つ私。
しばらくしてマーキングが終わり、手術の最終説明をされる。
あらかた内容は理解しているし、ここまでくると早くやって欲しいくらいになっていた。
だって。
もう逃げられないんだもの、この状況から。
ならば、腹をくくるしかないしね(笑)
ってことで、手術を受ける病院へ移動。
ここには親友が勤務しているので、何から何まで彼女が手配してくれた。
どうも個室が苦手な私のために、彼女は二人部屋を手配してくれた。
それも二人部屋だけど、もう一つのベッドには極力人が入らないようにも。
ホント有り難かった。今でも頭は上がらないけどね。
入院手続きを済ませ、部屋の準備などをしていたら、
あっと言う間に予定時間に。
…ちょっと緊張するなぁと思いつつ、でもここで私の脳内はさらに変化。
私が頑張ることは、何一つない。
手術は先生などが頑張ってくれるのだから、
私はただベッドの上で眠っていれば良いだけの話。
あとは…時の流れが終わらせてくれるんだろう(苦笑)
…そんな雑多な考え方だけで、私は手術に挑んだ。
手術はあっけなく終わり、術後は最悪だった…orz
手術の予定時間は確か3時間弱。
どうせ寝ているだけだろうという私の安易な性格が幸いして?
あまりパニックになることもなく、手術室に向かうこととなる。
手術室のベッドに横たわると、珍しく穏やかな声の侍医者が。
侍医者「「大丈夫だよ。あっと言う間に終わるからな~」」
…ま、先生。命は預けたよ(笑)と思いつつも、
実は内心ドキドキ。このまま起きなかったらどうなるんだろう?とか。
起きて痛いのはいやだな~とか、タバコはいつから吸えるの?←あとで問題になるけど。
なんてどうでも良いことをひたすら考え続けていた。
今回は全身麻酔になった。
過去の盲腸やら何やらで下半身麻酔を受けたことがあるけれど、
まぁこれがしんどかった(涙)
動けないのに意識があるのは、もどかしいしメンタル的にも良くはない。
だからこそ、初全身麻酔にトライしたが…これは完璧な敗戦だった(><)
予定時刻になり、手術は始まった。
***すいません、睡魔に負けそうなので今日はここまで***2015/11/12