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15/10/8

日常は素晴らしい。

Image by Olia Gozha

今日も朝焼けを見ながら出勤し

夜空を見上げながら退社した。

何事も変わらない日常。


正直飽き飽きしていたんだろう。

夜な夜な川へ散歩して

水の音を聞きながら感傷に浸る。


『今日もなにもなかったなぁ〜。』


つまらない日常の1つが終わりを告げる。



次の日がまた来た。

朝焼けを見ながら出勤し

夜空を見上げながら…

『あ。そうだ。今日は夜勤か』

会社の仮眠室に入り、暫しの休息を取る。


夜勤の日はウキウキできる。

なぜならば

朝焼けを見ながら退社し

夕焼けの時間に目が醒めるからだ。


僕は夜勤が好きだ。

退社する時に反対方向に進む人を見て

みんな死んだ顔をしている。

それを横目に僕はいつもの駅を通り過ぎる。


なぜ通り過ぎるのか?

それは女性の多い大学が1つ隣の駅にあり

それの通学時間と重なるから。


今日もたくさんの大学生が

世間をなにも知らない顔をして

登校していた。


僕は可愛い女性が歩いてるのを眺めながら

ヤニのついた部屋で

タバコに火をつける。


1本吸い終わる頃に次の電車が到着し

たくさんの大学生が同じような顔をしながら

登校していた。


『自分に興味を持ってくれる人間なんて

この世にはいないんだろなぁ。』


そう思いながら

折り返しの電車の中へ乗り込む。

目の保養があるから

夜勤は気分転換になる。


そして家に帰って夕方まで寝る。

そこからは変わりない日常。



僕は悩んでいた。

そろそろ彼女と別れてから2年になる。

もう次の相手が現れないのではないか?


別れた彼女とは

初めて行ったガールズバーで知り合い

最初は性の捌け口となればいいや。

くらいにしか思ってなかった。


初めて遊ぶ日にちょうど車が納車され

ビニールを被ったままの車で

彼女を迎えに行った。


それから海を見に行き

そこで話すうちに

仕草が、話し方が、愛嬌が…

だんだん愛着を覚え

その夜、告白した。


それから1年半の同性の末

お互いの両親が結婚を意識し始めた時

僕らは別れた。


理由は彼女の浮気。


浮気にも気付かない自分が無能に思えた。

それから女性に警戒心が芽生え

逆に警戒され、

遊びに行く連れもいない始末。


ふと考えた。

相手の心理が読めたら、操作できたら

簡単に付き合えるのではないか?


それを覚えるために

お金を注ぎ込んだ。

プリウスのハイグレードが買えるくらいは

注ぎ込んだ記憶がある。


勉強した、反復練習もした

よし。身についたぞ。

って、思った時には遅かった。


相手の心理がわかるということは

相手の気持ちがわかるということ。


相手を操作できるということは

相手を人形に変えてしまうこと。



目の前の女性が

生きる人形になってしまった。


セックスがしたい!

そう操作してやればいい。


好きになってほしい。

その気持ちが見えるまで洗脳すればいい。


それ以上に

自分がそう洗脳されていたことに気がついた。


僕はその技術を封印した。





幸せになれると思って

無いものを手に入れた瞬間に

自分が今まで幸せな環境にいたんだと

痛感させられた。


刺激は慣れれば

より強い刺激を求めてしまう。

この感情は幸せなんだろうか?


無いものを手に入れた瞬間に

今まであったものが無くなってしまう

恐怖をあなたはご存知だろうか?



会社ではこんなやりとりがされている。

A『給料が安くてこまってんだよね』

B『休みが少ない。疲れが取れない』


宝くじが当たった人が

人間不信になりやすいのを知らないのだろうか?


1年もずっと休みを取れば

休みが鬱になることを知らないんだろうか?


今となっては

こんな事も考えれる。


だから

会社に行くのが楽しい。


知らないことがたくさんあることが

とても幸せ。


変わらない日常を

過ごさしてくれてて感謝できる。



そして今日もまた

朝焼けを見ながら出勤して

夜空を見上げながら退社する。


夜勤があれば

隣の駅の喫煙室でタバコを吸いながら

『可愛い子がいっぱいいるなー。』

って思っている。


もしかして

声をかけられたらと期待もするし

何もなくても変わらない日常。



帰ってから眠りにつく…。

今日も疲れたなぁ…



何もないことは不幸せではない。


1番の不幸は

失ってはいけないものを失うこと。


1番の幸せは

失ってはいけないものを作ること。


失ってはいけないもの以外の

あったりなかったりなんて

実際たいした問題じゃないんだなぁ。



そんな日常のお話。




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