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15/11/27

下心バリバリでSTORYS.JPに投稿したら本当に書籍化されちゃった話 その3

Image by Olia Gozha

えっ……書き直し?

とにかく締め切りまでに間に合わせようと、記憶を掘り返しながら原稿を書いていった。本当に、文字数を増やすためだけに、文章を書いている感じだった。第1章〜第5章まで、それぞれ20〜40ページほど埋めて、それにプラス、コラムを5本ほど書いた。

なんとか締め切りまでに間に合わせて原稿を送り、やれやれこれでひと段落と思ってはいたけれど、事実を羅列しただけだな、という感じはしていた。

1カ月ほどして返事が来た。確か、最初は2カ月後くらいには出版という話だったはずなのに、随分返事が遅いな、と思っていたら、出版社の中で時間をかけて作っていく作品にしよう、という話になったようだった。短期間で本を作るのではなく、じっくりと時間をかけて作っていくのだという。

担当編集者からの返事がなかなか来なかったのは、どうやらそれが理由だったようだ。

私が送った原稿に目を通してくれて、それからまた打ち合わせをすることになった。

その打ち合わせで担当編集者から言われたのは、数ページの長い文章の単位よりも、コラムのような短めの文章で構成していったほうが向いている、ということだった。

私がダラダラと書いた原稿の中から、ここをもっと詳しく知りたいという部分を拾い上げて、再構成されていた。例えば、「出会いの場面をもっと具体的に」とか、「告白のシーンを台詞などを入れて」とか。そして、その代わりに、第1稿のほとんどの文章は削られてしまった。

もう少し最初の原稿を残して、不足分を書けばいいのかとおもいきや、やはりそれでは文章としてつながらず、結局ほぼ書き直しという事態になった。

事実を羅列していた前回とは違って、どんな会話をしたか、そのときの心情はどうだったか、ということを思い出さなければならず、奥のほうに眠っていた記憶をとにかく引っ張りだして書いていった。そして、書いているうちに、「あれ? これは時系列が違うぞ」と気づくこともあった。

STORYS.JPに投稿したときは勢いで書いてしまっていたので、正確ではない部分もあると思う。書籍化する際には、より正確に記憶をたどって書いたのでいくつか時系列が違っている箇所がある。

親に反対されたり、親の気持ちを理解できずに勝手に振る舞っていた場面なんかは、今でも冷や汗が出る。胃がキリキリするような気分で書いていた。「ああ、バカだったなあ」と反省しながら。

夫についての部分は、以前に聞いた話を膨らませて書いていたけれど、より深く正確に書かなくてはならないということで、改めて夫に話を聞いていった。

「『一生歩けない』と宣告されたけど、ひと晩泣いて吹っ切れた」と聞いていた。けれど、そのひと晩というのは、具体的にどんな様子だったのか。

泣くって、どんなふうに泣いたのか。

「あれもできないんだ、これもできないんだなって思ってたら、気づいたら涙が流れてた感じかな」

それを聞いて、私の中にあった「泣く」というイメージと違って、少なからず衝撃を受けた。

「オレはもう歩けないんだー。えーん」という、勝手なイメージを描いていたけれど、そうか、涙は、もっと深いところから出ていたのかと思った。

こうして、第2稿の執筆作業が始まった。でも確かに、20〜40ページという単位で書くよりも、短くまとめるほうが書きやすかった。よさを引き出してくれるのだから、やっぱり編集者ってプロなんだなーと思った。

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