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15/9/16

元気を失くした子供の笑顔を取り戻す方法

Image by Olia Gozha

子供が「悲しい」と口にした……

ワケあって現在私は子供と離れて住んでいます。小学校2年生の息子Tちゃんは最近までパパと、お姉さんと、祖父母と楽しく暮らしていた。

ところが、パパは仕事の都合でここ何ヶ月か週末しか家に帰れなくなってしまった。そして、最近Tちゃんが大好きだったTちゃんの叔母さんも、最近彼氏と同居のために家を出た。

Tちゃんとは毎日スカイプで話すのだが、最近様子がおかしかった。色々と質問したところTちゃんは、「学校の授業が分からない……。ついていけなくて悲しい」と言った。

Tちゃんは今まで勉強で困ったことなどなかったので、私は動揺した。子供の前では元気付けようとしたけど、「まだ小学校2年生なのに、すでに学力に問題があるなんて」と、不安になった。

「パパが仕事で家を空けるのが悪いんだ。パパももっとTちゃんのために色々するべきだ」私はそう考え、パパはTちゃんと毎日電話していないようなので、そのせいでTちゃんが寂しくなったことを私は少し怒っていた。パパにも電話して色々と文句を言った。

私はTちゃんに家庭教師をつけようとか、塾に行かせようとか色々悶々と考えた。そのための費用捻出のためにサイドワークでも始めようかと悩んだ。

悶々として苦しくなったので、ある人生の先輩とも言える女性Yに久々に電話した。

「Tのことがとても心配です。家庭教師でもつけたらいいのでしょうか……。」

Yさん「複雑だし難しい問題だね。でも、私が思いついたのは、Tちゃんにもっと自信をつけてもらうことだと思う。「パパはTちゃんや一家のために今遠くでがんばって働いてるんだよ。そして、今おうちでがんばっているTちゃんは、パパをちゃんと応援してあげてることになるんだよ。えらいね」そうんな風にTちゃんと話してみたらどうかな」

私はそのYさんの発言に驚かされました。

「パパはがんばってるんだよ。そして、Tちゃんはそれを応援してることになる。立派だ」

そんな考え方はしたことがありませんでした。


ふとYさんの言葉によって思い出したのが、私はパパを非難するような発言をTちゃんの前でも時々していたことでした。

「パパはまたいないの」「また電話しなかったんだ」「困ったものだね」

そんなことばかりを言っていました。

だから、もちろん「パパはがんばってるんだよ」なんてTちゃんに向かって言うことは考えもしませんでした。


連鎖する不幸

昔から私の母は父の悪口を言って聞かせてました。私は母から聞いた父の悪行を信じて、父はひどい人物なのだと思い、父のことを理由もなしに嫌いになりました。確かに、父は思いやりに欠けることがあるし、感情的になることもあるし、良い夫ではないと思います。しかし、子供である私のために、勉強を手伝ってくれたり、遠くに家族で出かけたり、周りの反対を押し切ってガチガチの歯並びの私に歯科矯正をさせたり、今でも感謝することが沢山あります。

しかし、それでも父は家では「悪者」です。それは全て、母の悪口のせいだったと思います。幼少のころからの父の悪口はネガティブな植え付けをしてしまいます。

高校生になるころから、父と家族は関係が悪くなったし、父は愛人を作って出て行ってしまいました。

これによって、父は完全な悪者になってしまいました。


Tちゃんを妊娠中していたころ、一冊の育児本を買って読んでいました。うる覚えですが、たしか、以下のような内容が書いてありました。

あなたは父親と母親の遺伝子を半分ずつ継いで生まれてきました。だから、あなたは半分はお父さんで、半分はお母さんなのです。だから、親に対する気持ちは自分の気持ちです。親のことが嫌いな人は自分のことを嫌いになるのです。
そして、もし母親が父親のことを嫌いで悪口を言ったら、どうなりますか?自分の半分が、もう半分を罵っているのです。親の悪口を聞くというのは、自分が罵られているのを聞くのと同じものなのです。親は子供を一個人として見ているため、まさか、「子供自身が非難されていると感じるだろう」と思うことはありません。そして、子ども自身も、その場では「自分が怒られている」とは思いませんが、無意識の上では、大変なことが怒っています。
子供は自分が怒られ、そして「自分を嫌いになれ」と大好きな親が言っている、そう理解するのです。だから、子供の前でパートナーの悪口を言ってはいけません。子供を褒めるより、子供の前でパートナーを褒めると、子供は自信を持ちます。

これを読んだとき、私は愕然としました。私は自分自身が嫌いだったのですが、その原因がこれだったのかと理解できたのです。

私は生まれてくる子供の前では夫の悪口を絶対言わないと誓ったのです。


しかし、その記憶は薄れていきます。子供が成長すると同時に、「この子の半分はパパなんだ」そんなことを忘れて一個人として見るようになります。

だから、パパの悪口を言うことも時々あるし、子供が問題を抱えているときに、それをパパの責任にしてパパを非難するような態度を取ることもありました。直接的な悪口を言わなくても、態度で怒りが垣間見れるようなことはあったでしょう。

Yさん「Tちゃんは自信をなくしている。「パパはがんばってるんだよ」ということで、Tちゃんもがんばれる。」

Yさんのこの言葉から、私はあやうく我が家の悲しみを連鎖させるところだったんだ、とハッとしました。


子供のために親ができること

Tちゃんのことはいつも褒めているのだが、パパのことを褒めたことは一度もなかった。「子供は親の半分ずつからできた」そのことを忘れていた。

当人を褒めてダメなら、パパを褒めよう。少なくとも、パパの悪口や敵意のある態度はTちゃんの前ではやめよう。これが、この度の問題から学んだことです。

さらにYさんは言いました。

Yさん「人は問題が起こって、悩みのど壷にはまると、本当の解決策はすぐ傍にあるものなに、それを見失ってします。大抵は何か物質的なものに助けを求めようと右往左往とする。でも、大切なのは意識を変えること。問題の解決は視点を変えることから始まる。」

その通りなのです。Tちゃんを元気付けるそんな簡単な方法があったなんて、私一人では思いつかなかっただろう。私は大切なものを学んだ。



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