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15/9/5

④「ドラマみたいな人生」と言われるけど実際はそうでもない。-14歳借金取りに追いかけられる-

Image by Olia Gozha

一家心中が未遂に終わり私の中学受験も見事に桜が散り地元の中学に入学しました。


昔から父は帰宅するのが明け方だったので母が退院している時以外はほとんど祖母と二人で生活をしていました。

「や」のつく職業の方のような父は本物の「や」の方たちと毎日麻雀に明け暮れていたようです。

家にも時々どこかの組の組長さんが遊びにきたりしてましたがどうやら父は借金の相談をしていたようでした。

中学生になった私は特にグレることもなくごく普通に夜中まで遊び回ったり先輩にぶっ飛ばされたりしていましたが14歳の時に父の借金取りに追いかけられる目に遇いました。

その日私はいつものように友達と遊び回わり夜中に帰宅しました。

自宅のすぐ近くに車が停まっていました。

気にすることなく家に入りくつろいでいると夜中にも関わらず電話がなりました。

父かと思い電話にでると「お父さんいる?」といきなり訊ねられました。

「今居ません」と言うとどこにいるのか?など聞かれましたがどこにいるかもわからないのでそう伝えるとすんなり電話が切られました。

不思議に思ったものの特に気にせず小腹が空いたのでコンビニに買い物に行こうと家を出ると停まっていた車からいかにもな二人組が降りてこちらに近づいてきました。

すると先程と同じ電話の声で「お父さんいる?」と再び聞かれました。

私はあまりにも恐ろしすぎて無言でコンビニに向かって走りました。

あの時「居ません」とはっきり言えばよかったのかも知れませんがあの頃の私は兎に角、恐怖で必死に走りました。

たった一言野太い声で「待て!」と聞こえましたが待てと言われて待つはずもなく私は逃げました。

特に悪いことをしているわけでもないのになぜ追われなければいけないのか、恐怖と疑問で涙を流しながら走りました。

コンビニに入れば大丈夫だと思っていたので全力で逃げ切りコンビニに辿り着きました。

涙と鼻水でめちゃくちゃになった私の顔をみてコンビニの店員は驚いていましたが一応買い物を済ませて外に出ました。

二人組は待ち伏せしていることもなかったので安心して帰路につきましたが家がバレているということに気付き再び恐怖を感じました。

案の定車の前で二人組が携帯電話で電話をしながら待っていたので裏から回って家に帰りました。

家に帰ると祖母が電話をしていましたがどうやら外の二人組のようでした。

しかし、祖母は少しボケていたので会話にならずに電話は切れました。

私は電話線を抜いて電気も付けず怯えながら朝が来るのを待っていました。

結婚父は朝になっても帰ってくることはありませんでした。

次の日は土曜日だったので母が一時退院してくる日でした。

母に心配かけぬよう私は帰宅した母に何も言わずにいました。

あまりお見舞いに行かず遊び呆けていた私は母に逢うのが久しぶりだったのでその日は母と過ごしていましたが夜に再びあの二人組がやって来ました。

ドンドンッと乱暴に家のドアを叩きながら父の名前を叫ぶ二人組。

仕方なく母に昨夜のことを伝えると母は静かに一階の玄関に向かいました。

その様子を見てヤバいキレてると私は母に怯えました。

以前スーパーファミコンで頭をかち割られた時のことが思い出されました。

バカ二人は相変わらず外で喚き散らしていましたが母がドアを開けると大人しくなり何故か玄関に入ってきました。

そして、名刺を1枚母に渡すと小太りのおっさんの方のバカが母に「奥さん、旦那さんいます?お金返してもらいにきたんだけど!」と半笑いで言いました。

母は「昨日から帰ってきてません。迷惑なので帰って下さい」と冷静に返します。

しかし、バカデブが「利息だけでも返して貰えないなら帰れませんよ」みたいなお決まりの台詞をまた半笑いで言いました。

すると母は二階に上がりすぐに戻ってきてかぶっていたニット帽を取り、一万円をブタに投げ付け「私はいつ死ぬかわからない、この一万円は薬を買うお金だ!死ねってことだろ!」と言うと流石にブタとバカは一瞬怯んでいるのがわかりました。

母は癌の治療で髪の毛が抜けてしまってるので普段ニット帽をかぶっていました。

私はその迫力に唖然としボケている祖母は自分の部屋から出てきてバカ二人を父の友達だと思い「上がってもらったら」と言いました。

それに更に怒った母は「これしかないから領収書置いて帰れ!」とバカ二人に言いました。

バカ二人はとりあえず幾らかもらえればよかったのか母の迫力に参ったのかわかりませんが大人しく領収書を置いて帰りました。

それからしばらくしてやっと父が帰宅すると母は鬼神の如く父を責めていました。

二人のやり取りを見ていていつか離婚するんじゃないかと思っていましたがまさか私が二人の離婚届けを提出することになるとは思ってもいませんでした。

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Image by Jukka Aalho

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