top of page

15/8/21

我が心の中のみで、どんどんとふくらむ理想の彼女に恋をする『遠距離恋愛ごっこ』②

Image by Olia Gozha

恋に恋焦がれ恋に泣く


東京でSちゃんに会い色んなところを案内してもらった。


俺のシミュレーション中では二人は電話のようにお互いの話をして、ラブソングのようなデートをする。と思っていた。しかし何か違う。いや絶対に違う!


気づけばSちゃんは俺に一生懸命話かけてくれるのだが俺ときたら、また緊張のあまり地蔵になってしまい情けないことに俺の頭の中は「Sちゃんは俺と付き合ってくれたけど本当に俺のことが好きで付き合ってくれたんだろうか。」など、その場では関係ないことばかり考えてまったくデートを楽しんでいない。


当然Sちゃんも自分ばかり一方的に話かけて反応が薄いのではさぞかしつまらないデートであったろう。


CDショップに入りSちゃんはGLAYの『BEAT OUT』のアルバムを手にして「私GLAYがすごく好きなの」という話をしていた。


シングルコーナーのランキングにはパフィーのデビュー曲〚アジアの純真〛があった。



俺は当時GLAYというバンドがあまり好きではなかった。というのも高校時代カラオケによく行ったのだが友達の不良少年が歌うのは(もちろんGLAYも)ルナシー、布袋、xJAPAN、バクチク、ラルクなど、耳にタコさんウインナーができるほど歌い(しかも下手)原曲をあまり聴かなかった俺はGLAYもその手のバンドだと思っていた。


今考えるとアホらしい話なのだが俺はそれがショックだった。純粋だと思ってたSちゃんがあんな系統のバンドのファンとは!!


俺の中でのSちゃんはドリカムや竹内まりやを聴くような女の子だった。


着ている服も少し派手で俺はそれに少しショックを受けていた。(今考えるととても彼女に失礼な話なのはよくわかる)


結局俺はSちゃんを自分の理想の型にはめて、それと違うとショックを受ける恋愛をするにはまだまだ幼すぎる考えの持ち主であった。


その日、俺はほとんど自分から話かけることもなく駅のホームまで見送ってくれたSちゃんと別れて

家に帰った。


その日の夜にSちゃんからポケベルで〚付き合うのやめよう〛とメッセージがきた。


俺はその後Sちゃんに電話した。Sちゃんは俺の言葉に消え入りそうな声で「ごめんね」とだけ言った。


こうして俺の最初で最後の遠距離恋愛は幕を閉じたのであった。










←前の物語
つづきの物語→

PODCAST

​あなたも物語を
話してみませんか?

Image by Jukka Aalho

フリークアウトのミッション「人に人らしい仕事を」

情報革命の「仕事の収奪」という側面が、ここ最近、大きく取り上げられています。実際、テクノロジーによる「仕事」の自動化は、工場だけでなく、一般...

大嫌いで顔も見たくなかった父にどうしても今伝えたいこと。

今日は父の日です。この、STORYS.JPさんの場をお借りして、私から父にプレゼントをしたいと思います。その前に、少し私たち家族をご紹介させ...

受験に失敗した引きこもりが、ケンブリッジ大学合格に至った話 パート1

僕は、ケンブリッジ大学トリニティ・カレッジ、政治社会科学部(Social and Political Sciences) 出身です。18歳で...

あいりん地区で元ヤクザ幹部に教わった、「○○がない仕事だけはしたらあかん」という話。

「どんな仕事を選んでもええ。ただ、○○がない仕事だけはしたらあかんで!」こんにちは!個人でWEBサイトをつくりながら世界を旅している、阪口と...

あのとき、伝えられなかったけど。

受託Web制作会社でWebディレクターとして毎日働いている僕ですが、ほんの一瞬、数年前に1~2年ほど、学校の先生をやっていたことがある。自分...

ピクシブでの開発 - 金髪の神エンジニア、kamipoさんに開発の全てを教わった話

爆速で成長していた、ベンチャー企業ピクシブ面接の時の話はこちら=>ピクシブに入るときの話そんな訳で、ピクシブでアルバイトとして働くこと...

bottom of page