朝、やついフェスのチケットを受け渡すために、渋谷に10時30分につかなければならない。
シャワーを浴び、しっかりと荷造りをし、ホテルを出て、
電車で渋谷。待ち合わせ場所に集合し、ポケットに手を入れた瞬間、自分は、ゾッとした。
サクラホステル神保町のカードキーが、
渋谷のハチ公前に存在しているのである。
これには焦った。
確か、11時までにカードキーを返却しなければ、追加料金を取られる。
やついフェスのチケットを無事に交換できたのだが、それどころではない。
ゆっくりと積もる話もしたかったが、それどころではない。
このカードキーを、来た道をそっくりそのまま巻き戻り、
返却しなければ、自分のやついフェスティバルは永遠に始まらない。
「逆に、ここまで来ると、ツイているんじゃないか。」と思った。
半蔵門線に揺られながら、何度も時間をチェックしつつ、
ダッシュでサクラホステル神保町へ。時間は…
10時50分。
何事?と思われながら、汗だくになりながら、
「これ・・・カードキー・そのまま・・・渋谷行っちゃって」
「あら~」
セーフ!波乱の幕開けである。
再び渋谷へ。
もう、高鳴る鼓動を抑えることができない。
今考えたら、道玄坂の急な上り坂が、心臓を鼓動を早くさせていたのかもしれない。
会場には、人人人。やついフェスの看板を見た瞬間。この日のために、生まれて来た。
大げさかと思うが、自分にとってはそれぐらい大きな出来事である。
すると、待機列の最後尾に向かおうとした時、知り合いのフォロワーさんと出会う。
その人は、新潟にエレキコミック映像ツアーで来た時に、会った人だ。
「全て話のネタになる」
その人の何気ないツイッターでのリプライ、今でも、心に残っている。
「あ!くわばらくん!」
「あ!!(東京03)フロリックアホリック見た?」
「いや見てない!遠路はるばる~」その一言だけだったが、会話ができた。
幸先が良いスタートだ。
「最後尾、もっと後ろですよ!」
そう呼びかけてくれたのは、10時半にチケットを受け渡した人だった。
女性と一緒に居たのだがお構いなしに、
「いやぁ~もっと話したいんだけど!!
もっと話したいんだけど!!(チョコ好きなんだけど!!のイントネーションで)」
本当に、会いたい人に会う。これ以上の幸せな時間はない。
待ち時間。
あまりにも暇すぎたので、後ろに居た女性二人組と話しかけた。
「今回、やついフェス初めてなんですか?」
女性「「いや、何度か来てるよ~。」」
「僕初めてなんですよ~」
女性「「いやぁ~、なんか、フェス慣れしてます。って、感じだけど(笑)」」
思えば、2010年の7月3日なんて、フェスに来るとは、思いもしなかった。
人生とは、思いもよらない事を楽しむものである。
エレ片の話をしても二人には、響かなかったので、
思いっきり、DJやついいちろうで、このフェスを知ったのだと知った。
茨城から来たので、はるばる遠くからわざわざ~。と言ったら、
「あんた新潟でしょ!」
と、和気あいあいな雰囲気になった。
年齢のことが話題に上る。
女性「「私って、何歳だと思う?」」
永遠に答えの出ない、この質問に、南海キャンディーズの山里さんの技で切り返す。
「えっ、初めて買ったCDって何ですか?」
「(自分と同じ年代のCDを言う)」
「えっ!じゃあ、同世代じゃないですか!
と、お茶を濁す。
「私って、何歳だと思う?」
この質問には、質問で切り返す。
飛ぶ鳥跡を濁す作戦である。
「名前なんて書くんですか~。」
と、タブレットに名前を入力してもらう。
それは、フェイスブックの検索ページなのだ!!!
それに気づいた二人は、
「てめー!やりやがったな~!(笑)」
「じゃあ、教えて下さいよ!」
「ぜってーやだ!友だち申請も受けない!」
「えーー!どうしたら、いいんすか!!」
「来年の、やついフェスの交通費、チケット代、ホテル代、全部出したら、友だち申請・・・」
「受けてくれるんですか?」
「う~ん、どうしよう…ね~?」
完全に向こうのペースである。
連絡先を交換するのは失敗したが、これにめげては、男がすたる。
コートニーの写真を見せた。
女性「「コートニー、めっちゃかわいいじゃん!」」
鼻高々である。
ついに入場。
リストバンドを巻いてもらう。
千円払う。
あ、ドリンクチケットというやつか!!
コーラに500円払えるオトナになるのも、フェスの醍醐味。
観客はほぼ満席で、やついさんが、神谷明さんを呼び込んでいた。
冴羽獠をやるわ、北斗の拳やるわ、キン肉マンやるわ、もう、サービス精神の塊!
そして、開会宣言。
神谷明「「これより、やついフェスティバルを始める・・・。お前はもう、楽しんでいる。」」
「胸に、7つの傷を負われた~!!」
やついさんの軽妙なMCで、会場のボルテージは、一気に上る。
自分のボルテージも、めちゃくちゃに上がる。
次にどこ行こうかな~。そんなことをしていると、思いもよらない奇跡に出会う。
どこに行こうか、迷っていたので、とりあえず、O-EAST前のローソンへ。
ここで、グッズの物販と、抽選会を行う。
「グッズ、全部ください!!」
これから生きて行く中で、このセリフを言う機会を、僕は何回得られるだろうか。至福の時である。
「えっと、ちょっと待って下さいね~」
と、あたふたしながらも、Tシャツ3枚に、タオル2枚、歴代のロゴマーク缶バッジ。
「合計で、11,800円になりま~す。」
取っ払いだ。
至福のとき。
そして、DJやついいちろうのMIX CDについてきた、抽選券を引き換える。
A賞を当てると、タワレコの優先入場券をもらえるとのこと。
自分は、祈るような気持ちで、くじを引いた。
のっそりと出てきた自分の手には、赤い球が握られていた。A賞だった。
「どこまでもツイてるじゃねえか!!」
やついさんに会える!嬉しいよ。本当に。嬉しい。カランコロンカラ~ン。カンパネラが鳴り響く。
物販担当女性「「おめでとうございます!A賞です!」」
Tシャツが選ぶことができる。
もう、リュックの中がパンパンだった。
自分は、ゴールデン・ヒッツの時のTシャツを選んだ。
町田でデートをした時に、女性が着ていたシャツで、ずっと欲しかった。
「どこまでもツイてるじゃねえか!!」
ブルーに輝くそのシャツは、自分の中で、やついフェスのシンボルとなった。
そのシャツをすぐに着替えて、麺屋マンモスへ行く。
腹は減っては戦ができぬ。
と言わんばかりに、大盛りを注文した。
やついフェスのリストバンドのお陰で、味玉が追加されていた。
「どこまでも・・・(以下略)」
腹は満タン。気持ちも充足。自分のやついフェスは、これからだ。
とりあえず、トゥインクル・コーポレーションの若手ネタを見ようと思い、
Gladへ。入場するやいなや、美女が二人居て、スタッフに、促されていた。
「あそこに、やついさんいるよ!!」
タイムテーブルで確認すると、「Bitter&Sweet」という、女性デュオと、やつい信者のファン一人。
行く先には、やついさんと、アメリカザリガニの柳原さん!
「わ!!」
やついいちろう「「アメザリの柳原くんです。」」
アメザリ柳原「「本番終わったんで!」」
やついいちろう「「本番終わると、暗いんですよ~。」」
アメザリ柳原「「やっつんこそ、暗いやん!」」
二人で手をたたき、
二人同時で、
「明るいよ!!」
キャーーーー!!生の明るいよが出たー!
略さず言うよ。
どこまでもツイてやがる!!
女性デュオさんが、挨拶をした後に、自分も、やついさんに握手をしてもらう。
「やついさん、やっと、来れました!」
すると、自分を見てすぐさま、
やついいちろう「「Tシャツこぼしまくっとるやん!」」
そうだ。
麺屋マンモスのつけ麺の汁が、ゴールデン・ヒッツのTシャツにでろんでろんに付きまくっていた。
「あ!!つけ麺食ってたんで!!」
やついいちろう「「あ、そうなの(笑)楽しんでってね~」」
飾らないやついさん、本当に好きだ。
その後、ライブハウス Gladに戻り、トゥインクル若手ネタを見る。
レッスン祐輝(れっすんゆうき)は、「私メリーさん」の電話のピンネタ。
東京アヴァンギャルドは、普通のところに、異常に食いつく幼稚園児。
二組とも、見たかった芸人さんだったので、楽しかった。
どこに行こうかな~と、ぶらついていたら、
なんとなく、リストバンドを交換した隣にある、
「duo MUSIC EXCHANGE(以下:duo)」に行く。
ほぼ満席で、大盛況の中に、篠原ともえ。
完璧な世界観で、圧倒された。美声、衣装、照明、目に映る全てが、キラッキラだった。
そして、セットチェンジのために、サブステージに、司会のカオポイント登場。
名前を見ただけでは、なんのネタをやったか、思い出せなかったが、検索して、一発で思い出した。というか、思い出させられた芸人、「ドドん」。
本物のお坊さんと、ギターが上手い元ミュージシャンという異色のコンビ。
お坊さんは、読経しているとき、お葬式の時でも、エロい女性がいると、見がちとか、
ギターだけかなと思ったら、お坊さんのハープが鳴り響く!!これは度肝抜かれた!
「お葬式の時にお会いいたしましょう!」
決めゼリフも完璧だった、
続いてやってきたのは、「ルシファー吉岡」
わかりますよ。皆さんのルシファー感がないなって感情。
というつかみで、アウェイから乗り切る、ピン芸人。
「カチカチ山のたぬきさん」を、急いでやらなきゃいけない時って、ありますよね?
と言って、3バージョンの「カチカチ山のたぬきさん」を披露するルシファー吉岡。
ルシファー感、あふれるネタだった。
そして、このパート、トリを務める、「カオポイント」
自分は初めて二人の漫才を見るのだが、とても面白かった。
王王王王王・・・・。から始まり、話がずれた、ズレータ。ズレータといえば!の繰り返し、
とても面白い!
さすが、トゥインクルライブの夜の部を任せられる、一軍の芸人さん。
自分のモテの師匠である。
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やついフェスとは、話が逸れるが、カオポイントの石橋さんの話をもう一つ。
自分が石橋師匠を知ったのは、2009年だった。「カオポイント石橋のモテ講座」というエレ片のポッドキャストが配信され、それを、90回以上聴いた。
(2009年1月14日42分・同年1月28日43分)
自分は、本人に会いたいと思い、単独ライブに単身向かう。
置きチケットをしてもらい、出会って一言目がこれだ。
「あ、くわばらかずやです~。あの、一言目で言うことではないと思うんですけど、
僕、モテたいです。」
石橋師匠の目が変わった。
ライブ終了後にも関わらず、熱心に話をしてくれる石橋氏。
帰ろうかな~と思い、駅に向かうと、声が。
チャラペラ石橋「「く~わばらさん!」」
振り返ると、石橋師匠の姿が!
こ、これが、師匠のやり方か!!それから、親身に話をしてくれる師匠、やさしいです。
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その後、O-nest 6階のゲッターズ飯田さんの占いブースを見る。
非常階段を6階登らなくてはいけなくて、
途中で、「こりゃキツイっすね~。」と、また、女子に話しかけた。
占いブースでは、先着で50名に整理券を配り、
飯田さんが、くじを引き、同じ番号の整理券を持っていた人が、占ってもらえる。と言うシステム。
自分が行った時には、整理券は配り終わっていて、占ってもらえない感じだった。
開始から15分頃、飯田さんが、
ゲッターズ飯田「「遠くから来た人~?」」
と、呼びかけた。
これこれ!!!と思い、「新潟!!」と答えた。
「新潟かぁ~。」と、占って貰えそうな雰囲気。その刹那、女子が、
「山形!!!!!」
負けた!!!!
山形ガールが占ってもらっていた。
「僕、ホームレスにタバコ代の代わりに占ったりしたことあるんですよね~。」
とか、
「背中にホクロありますよね?」
「あなた、盗撮が趣味じゃないですか?」
会場がどよめく。
ゲッターズ飯田「「僕の占い、だいたい当たりすぎるから、テレビでカットされちゃうんですよね~。」」
生のゲッターズ飯田さんは、すごかった。
飯田さんの著作の中に、
『「占いはいいことだけ信じる」女は浮気される! !』
に、こんな一文があった。
ゲッターズ飯田「「トイレは真ん中を使ってください。金運が上がりますよ」」
それ以来、自分は、3つ便器があったら、必ず中央にするようになった。
そうすると、自分では得たことがないような金額が突然入ってきた。
ゲッターズ飯田、恐るべき…。
その後、ライブハウス難民に。
どこにいけばいいのか、どこで何をやっているのか、皆目見当がつかず、あたふたしていた。
あ~~~!あの時、メイン会場のO-EASTの「チャラン・ポ・ランタンと愉快なカンカンバルカン」見とけばな~!!と、悔やんだり、ダンスユニットの「梅棒」を、見られたり、しかし、昨日からの体力の限界で、一度、カプセルホテルへ戻ることに。
そこで、ぐっすりと寝ることに。
しかし、カプセルホテルへ行くこと自体、初めてだったので、
靴のキーをカウンターに持って行ったり、すぐ2階が、ロッカーになっていて、
そこに荷物を入れておくんだ!!と、2日目でやっと分かった。
カプセルホテルの小さな一室に、荷物をすべてと夢を詰め込んでいた。
着替えも用意されていたのだが、グッズのTシャツを着ていた。
「ほほう、これが2チャンネルか…」
今立さんが、
「2チャンネル熟女モノって、チャンネル一個潰れてんじゃねえか!!」
と、ツッコミを入れている映像を見たことがあり、これかー。と思った。
仮眠を取り、
抽選で当たった、
DJやついいちろう、渋谷タワレコイベントへ。
舞台下手のスピーカー真ん前。
鼓膜大丈夫か…。
そんなことを思いながら、
やついさん登場!
2013年のリバーサイド千秋の時と同じ、
諸葛亮孔明の格好だ!!
トロピカル源氏、トロピカル源氏、夏祭り、
YAH YAH YAH、TRF,トロピカル源氏。
トロピカル源氏は、自分と目があって、
ノリノリで踊っていたら、
やついいちろう「「あれ?振りちがくない?」」
と、言われて、恥ずかしくなった。
最後の粉雪は、
自分:「豚ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!」
やつい:「うるせー!!帰れよ!!」
自分:「帰ってやるよ!!(ちょっとブースから離れる)」
やつい:「おう!帰れよ!」
サビ
(みんな、ブース前に戻ってくる。みんな笑顔)
みんな「こなーーーーーーーーーーーゆきーーーーーーー!!」
(全員で大合唱)
やつい:「やっぱ好きなんじゃんwww」
の件で終わる。
自分は、同じやついファンから、「すごいディスってましたねっw」と言われた。
ディスリスペクトです。と答えておいた。
自分は、足早に、コートニーとおばあちゃんのいる、
新宿の京王プラザホテルへ向かった。
コートニーと、おばあちゃんとの食事へ。
コートニーと、おばあちゃんとの食事へ。
Courtney「「Keio plaza hotelで食事をしましょう!」」
と、言われたんだけど、
「京王プラザホテルで、食事?……………金は?」
はて?
そう思いながら、うきうき半分、ドキドキ半分で、新宿へ向かう。
一日ぶりのコートニー、相変わらずかわいい。
エレベーターで迷いつつ、南館のレストランに行き、
「ココニシマショウ」
言われたお店の看板には、
一人前「一一、五〇〇円」の文字が。
財布の中には、五〇〇〇円しかなかった。
高い高い高い!!!!So エクスペンシブ!!!
自分は、駄々をこねた。そうすると、奇跡の一言に出会った。
Courtney「「ワタシタチが、ダシマス。」」
へっ?!お、お、お金を?!?
昨日、本をプレゼントした時、コートニーが感じた時と同じ気持ち…。
「アーユーオーライ?OK?OK?really?」
たくさん問いかけたが、
「大丈夫よ」
その一言で、解消された。
Courtney「「あ、ソノ、海鮮が、タベタイ…」」
一一、五〇〇円よりも安くて、海鮮…。
「あ、鉄板焼きがあるよ!アワビ、伊勢海老だって!(高い高い高い!!)」
「じゃあ、そこにしましょう」
一ドル一二四円。ドル高に感謝。
連れて行ってくれた店を指さし、ラスボス!と、精一杯のふざけをした。
そのふざけも、矮小化されるぐらい、思い切り雰囲気があるお店だった。
ドラマでしか見たことないような、「ザ・夜景」。ピチっとしたスーツのボーイさん。
中国人の家族、コック帽を被ったコックさん、着物を着た女中さん…。
「俺、完全に場違いじゃん!!!」
唯一フォーマルアイテム、おじいちゃんのループタイも、
ここまで運ばれてくるとは思わなかっただろう。ハットを脱ぎ、まだ、
「Are You ALL RIGHT?」
と、何度も確認をする。
「好きなモノを選びな~」
尊敬するやついいちろうは、こういうとき、どうするだろうか。
胸の奥のリトルやついに聴いてみた。
僕は覚悟を決めた。
「This One!」
その指の先には、
「アワビ 14,000円」の文字が。
大勝負だった。
果たして、出会って二回目の人に、
14,000円のものをごちそうしてもらうのは、本当に許される行為?
それとも、最初の「一階のほうが安かったじゃないの!!」って、キレられちゃうじゃないか!?!
To AWABI or Not To Awabi.
一か八か、言ってみた。
コートニーのおばあちゃんの回答は…。
「Yes, All right.」
超訳すると、
「お前の雪見だいふく、一個もらっていい?」
「いいよ~。」
ぐらいのテンションで、アワビ14,000円を注文できた。
心臓が飛び出る勢いで、ドキドキした。
人生で一番緊張した瞬間だった。
その後、シャーベット、野菜の盛り合わせ、あと、前菜を注文した。
もう、怖いものはない。
逆に遠慮している方が、相手に迷惑だ。
アワビが目の前に現れる。
「う、う、動いているじゃねえか!!!」
本当に「ゴチになります!」でしか見たことないような、「ザ・アワビ!!!!」
途中、小さなスープを頂いのだが、
それが美味しすぎて、びっくりしたオーバーリアクションをしたら、取り上げられた。
「あのぉ~。まだ、飲みたいんですけど~…」
鉄板焼きホールの女性「「大変申し訳ございません!お客様のお口に合わなかったのかと思いまして、すいません!」」
こちらこそすいませんだよ!(笑)
なんだよ!あの謎スープ!ウマ過ぎだろ!
その後も、熱々の鉄板で踊るアワビ。
自分の作業所の時給が一五〇円なので、
約一〇〇時間働いて、やっとこのアワビ一個を食べられる。
自分は、改めてゾッとした。
料理の鉄人で、鹿賀丈史が今日の食材をオープンするときに使う、
「銅の蓋」で、酒蒸しにされるアワビ。
その後、剥いた殻で蒸されるアワビ。
切り分けられるアワビ。
目の前に現れる、アワビ。
緊張しながら、一口目を頬張る。
「なんなんだ!!!!この旨さは!!!プリッとした食感と、重厚な甘み、旨味、どれを取っても、自分にとって一番うまい食材だ!!!」
おばあちゃんに、
「May I Take hear your name?」(お名前を伺ってもいいですか?)と聞き、
「I’m June」
私はジューンよ。と言ったので、体全体を揺らしながら、
「グッドテイスト!!!!」
とサムズアップしたら、
「Yeah!」と、喜んでくれた!
コートニーは、箸の使い方が上手だ。
日本人より日本のことを愛しているのだなと感心した。
すると、おもむろにコートニーが、
Courtney「「コレに、Messageください…。」」
昨日プレゼントした、英語で日本をガイドするガイドブックだ。
「あ、いいよ~。もちろん!日本語で大丈夫?」
Courtney「「はい。いいです!」」
自分が書いた内容の覚えている部分を書く。
「Dear コートニー ジョーン
自分は、二人に出会えて、世界で一番の幸せものです。
コートニーは、とても日本語が上手で、とても驚きました。自分にもっともっと英語のスキルさえあれば、たくさん話せるのに、ちょっと後悔。また、絶対遊ぼうね!!!!!
From桑原和也」
「ワタシ、アソビ、イキタイ…」
コートニーが、真っ直ぐな目で、訴えてくる。
ホテルのペンだと思い、ボーイさんにペンを返したら、
Courtney「「ソレ、ワタシノ…」」
「あ!!ごめん!!!コートニーのだったの!!素敵なボールペンだね!」
Courtney「「うん!ここのホテルで買ったの!」」
純真無垢な少女だ。コートニーは。
二人で鉄板焼きのお店を抜けだそうと思った時、
謎の旨みスープを取り上げて頂いた女性に、
「自分、もう、二度とこんな所、来られないと思います。
でも、もし、来られたら、一番大切な人と来ます。」
そうしたら、
鉄板焼きのホールの女性「「はい!必ずいらっしゃられますよ!その時は、今日のことを思いっきり自慢してくださいね!」」
店員さんのGood Luckをもらい、二人で店を抜け出す。
しかし、支払いをどうするか、コートニーは手間取っていた。
日本語で一生懸命説明しようとしている。
「店に残っているおばあちゃんの支払いにしてください」
これが言えずに、もどかしくなっていた。
「English OK!」
そう言うと、ペラペラと英語を話すコートニー。
自分は、オーーー。と思った。
あれ?…逆じゃない?
そう思いながら、二人で、京王プラザホテルを抜け出す。
二人は、自然と、手をつないでいた。
でも、デートではない。
これから話すのは、ノロケではない。
初めて触れる、コートニーの手は、貝殻細工のような、繊細なものだった。
ペンシルベニアからやってきたシンデラは、
本当に、12時までに京王プラザホテルという家に帰らねばならない。
昨日、ブックファースト新宿店に入るときに使った、階段を使う。
実は、昨日の時点で、雨が降っていたため、「Take care」
と言いながら、シンデレラ扱いをして、手を触れていたのだ。
「昨日と一緒だね!」
と言ったら、コートニーは、はにかんでいた。
「Let’s go to Kabukichou! for the tube!」
地下通路を使って、歌舞伎町へ行こう。
自分一人でも恐ろしい街なのに、シゲキが強すぎのではないか。
でも、コートニーには、見て欲しかった。
「龍が如く」シリーズの舞台となった街を。
「ダンジョン!ラビリンス!!」
と、勝手に盛り上げながら、手をつなぎながら歩く。
これ以上に幸せなことはない。
新宿サブナードという、地下街に出た。
久しぶりにやってきたので、本格的に、
「ラビリンス…デンジャー…」
と、おどけつつも冷静に歩く、二人。
「ライク・ア・RPG!」
RPGみたいだね!と言うと、彼女は微笑んでくれた。
5番出口。多分、ここかな~と思った。
予想はドンピシャ!
一本出た所に、歌舞伎町を象徴する、赤い門がどんと構えていた。
Courtney「「Wao!!!」」
と、おもむろにシャッターを切るコートニー。
この日本の凱旋門は、ぜひ、生で見て欲しかったのだ。
歌舞伎町の赤い門をかいくぐる。
Courtney「「コレハ、イッタイ、何ですか~?」」
ネオン・ネオン・ネオン。
海外には、多分、ブロードウェイか、ラスベガスにまで行かないと、こういうのはないのだろう。
「イザカヤ、カラオケ、レストラン!」
と答えておいた。
二人の目的地は、あまり決めていなかったが、
とりあえず、東口のコマ劇場跡地にできた、「ゴジラビル」に言ってみることにした。
到着。
「す、す、すげー!!!」
等身大のゴジラが首を出している。
コートニーも、シャッターを一生懸命切る。
自分は、テンション上がりながら、
ゴジラホテルへ行ってみることにした。
初めて入る場所なので、緊張していたが、外国人ばかりだった。
より一層に緊張したが、こっちには、
ペンシルベニアから来たコートニーも一緒だ。心強い。
8階のロビーで、外には出られなかったが、
ロビーの中から、ゴジラの後ろを写真で撮った。
ここだ!!
と思い、
「Can I take a picture?」
一緒に写真を撮らない?と、促す。
「OK!」
嬉しいコートニーの返答だった。
自分は、これ以上、鼻の下が伸びるか!!っていうぐらい、
人生で一番のぼせ上がっていた。
コートニーも笑顔だった。
自分は、一生の記念に残る写真を撮った。
さて、どうしようか。
サクッと遊べて、コートニーも満足できる場所。
そんな、新宿の中心で愛を叫びながら、ゴジラビルを降りた時、新宿LOFTが見えた。
やついいちろうさんが、
よく、オールナイトイベントやる場所じゃん!!
やついさん、見守っててくれてるんですね。
ありがとうございます!
と、誠に勝手ながら、思った。
そんな、やついさんのご加護を受けて、
行った場所は、ゲームセンター。
途中、ラーメン二郎や、ラーメン屋さんに並ぶ行列を撮っていたり、
そっか、外国の人は、ここまで行列に並ぶことはないんだな。
とカルチャーショックを受けた。
ゲームセンターに入ると、本日二度目の
「WaO!!」
コートニーも自分も、Otakuなので、
こういうゲームが沢山ある場所は、テンションが上がる。
自分たちは、2階に登り、
音楽シミュレーションゲームのコーナーへ行った。
Jubeat(ユビート)という、タッチパネル型音楽ゲームがあったので、
それをやった。
その日の渋谷タワレコ、DJやついいちろうが流した曲で、
Whiteberryの「夏祭り」を選択し、パーフェクト!ノーミスクリアした!
コートニーは、初めて見るゲームに戸惑っていたが、
辛抱強く待っていてくれた。ありがとう。
その後、きゃりーぱみゅぱみゅの「にんじゃりばんばん」をやると、
「コレ、シッテマス!」
と、目を輝かせていた。
最後にやった曲は、ゲスの極み乙女。「キラーボール」
難易度9/10と、レベルが高くて、いいところを見せられなかったが、
コートーにが喜んでくれた。それだけでよかった。
次にどうしようか。そればっかり考え、出た結論が、
「Shall we “プリクラ”?」
プリクラ、一緒に撮らない?
そう言うと、今までの緊張していた
コートニーの顔が、だいぶ綻んだ。
よかった!記念にもなるし、コートニーも喜んでくれる!
入ったプリクラに、400円入れる。
14,000円のアワビの恩返しだ。安いものだ。
というか、費用対効果が多すぎて、本当に申し訳ない。
しかし、ふたりとも、プリクラの落書きに不慣れだ。
こんな二人にも、落書きは子供にしてくれる。
スタンプを押したり、唇の色を変えたり、あらゆることをした。
落書きの時間が、77秒でストップされているのに、気づいて喜んだ。
二人で、携帯のアドレスを入力するが、間に合わなかった。
二人のプリクラは、ふたりとも、チャーム(お守り)になって、かばんに忍ばせてある。
その後、コートニーは、UFOキャッチャーの写真を撮ったり、
マリオカートで、ぶっ放しで勝ったりしてしまった。
真剣勝負は、本気でやらなければ、意味が無い。
二人は、どこに行こうか、自分は途方に暮れていた。
コートニーの好奇心は、とどまるところを知らない。
時間は、そろそろ、11時に差し掛かる。
不夜城、ドン・キホーテに身を寄せることになる。
こんなに緊張した、ドン・キホーテはない。
新宿の不夜城のシンボル。ドン・キホーテ。
「龍が如く2」をやっていたときには、
こんな国際色豊かな付き合いができる人材になれるとは、思わなかった。
まず、一階が激混み。
身動きがとれない状態だった。
そして、ほとんどが外国の方だった。
ちゃんと、コートニーと離れ離れにならないようにならなければ。
コートニーは、るんるんだった。
二階に移動し、なんとな~く、店をさらっと回る。
コートニーは、しきりに、「ヤスイ!!」と、言っていた。
「これ、ワタシもツカッテマス。」と言って、つけまつげを指さしていた。
おしゃれに気を使っているんだな~と、感心していた。
電動歯ブラシを指さし、
「This is awabi place same!」
これ、アワビと同じ値段だよ!と言うと、
Courtney「「Wao!」」
と、びっくりしていた。
ペンシルベニアからやってきたシンデレラは、
京王プラザホテルへ戻らなければならない。
そんな寂しい思いをしていたら、シンデレラはこう言った。
Courtney「「アシタ、アキハバラ、イキタイです・・・。」」
僕は、二つ返事で、快諾した。
秋葉原は、コートニーにとっても、
自分にとっても、聖地である。
二人は手を繋ぎながら、明日への楽しみを語っていた。
ドン・キホーテから、京王プラザホテルまでの道のりの中で、
「コートニーの、卒業の試験は、何だったの?」と聞いた。
そうしたら、「数学!」と答えていた。
後日、スカイプのチャットで分かったが、
自主学習で、数学の知識を吸収していったとのこと。
本当にコートニーは、努力家で、自分の自慢の友だちである。
コートニーを、送った後、渋谷のカプセルホテルへ戻る。
今日は疲れた。
楽しい高揚感と、疲労感のうちに、床に就く。