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15/7/17

届かぬ思い

Image by Olia Gozha

10年前、、、

(今回は少しサイドストーリーになるが)

高校2年の時に、沖縄に修学旅行に行った。


その時に沖縄がとても好きになってしまい

「何か、残せるものがほしいな」

と思い、お土産屋を巡っていると

琉球ガラスを使ったネックレスが売っていた。


当時の俺には結構高い4,000円だっただが

また沖縄に来れたら良いな、なんて思いながら

そのネックレスを購入した。


旅行から帰った時にそのネックレスを

「俺らの分はないの?」

なんて弟に言われていたのだが、

自分のを買うので、お小遣いが精一杯だった。


数年後、そのお店が関東にも進出していて

ショッピングモールでたまたま発見した。


その時は大学生でバイトもしていたので

弟2人に色違いのものをプレゼントした。


こういうのは、なんだかキモいとか思われるかもしれないが、

どうやら俺は、周りに比べると弟の事がだいぶ好きな兄貴だったようだ。


どんな事をしていたか全く覚えていないが

一番下の弟が生まれた時に、兄弟3人で

ほっぺたをくっつけて笑顔で撮った写真がある。

(もちろん、生まれたての弟は笑顔ではなく、仏頂面だったが)


その写真の自分の顔が本当に幸せそうで

自分でも「弟の事が大好きだったんだな」と

実感させられる写真だった。


「兄弟3人がそれぞれの道で人生の幸せを手にいれる」


それが俺にとっての最高の夢であり

実現したい事だった。


なんとなく兄弟で同じものを1つくらい持ってても

良いのではないかと思って買ったのが、そのネックレスだ。


高校2年で買ってから、これを書いている現在は

28歳になるが、今もずっと俺の首元にある。


実家へ帰る電車の中、俺はそのネックレスを

握りしめながら、

「俺の残りの人生の天運の全てを捧げてもいいから頼むから、弟を生きさせてくれ」

と、ずっと祈っていた。


まだ弟が死んだと決まったわけではない。


それなのに、涙が溢れそうでたまらなかった。

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