top of page

15/7/17

『営業職』が何よりも素晴らしいと思うに至った深夜3時のSTORY ~1~

Image by Olia Gozha


この話は前回書かせていただいました、『学歴コンプレックスの私が大手企業で新人賞を受賞した話』の続きになります。

もしお時間ありましたらそちらも読んで頂けますと光栄です。





ところで、みなさま

営業と聞いて何を思い浮かべますか?

営業に対してあまりいいイメージを持っていない方もいるかと思います。

よく行くcafeで本を読んでいると、隣の席で就活中の学生さんが、

「営業なんて嫌だよ~。ノルマきついだろうし。何よりうまく喋れないから俺には向いてないよ。。」

なんて言っているのを何度も聞いたことがあります。

よく行く飲食店のオーナーは、


「営業なんて大変だよね。。潰しきかないし、経験積んでも営業でしょ?」


なんて言ってます。(私が営業をしているのを知っているのに。。)


私も初めはそうでした。実際に色々と経験し、やはり営業は大変な仕事だと思います。

ただ、私は今までの営業で、何度か「体の奥底から震えがくる」ような喜びを経験しております。

この喜びが忘れられず辛い時も苦しい時も自分を支えることが出来ました。

今回はそんな「体の奥底から震えがくる」経験を一つ思い出して書いてみました。




自信過剰

入社初年度、あるお客様との出会いを機に、3ヶ月で5件の契約を手にし新人賞を受賞した私は、次年度成績が思う様に伸びず苦しい思いをしていた。

理由は簡単。自信過剰、慢心、おごり。

新人賞を受賞し、周囲から褒め称えられ小言を言われなくなった。

人間は弱いもの。勘違いをし始めるのにはまたとない状況だった。


この頃の私は嫌な奴だった。

お客様と対峙しても、

「お客様が家を建てない理由」

を探す達人になっていた。

平均成績は何とかクリアするものの、期末が近付いた時点ではメッキは剥げかけ。


前年度あれだけ悔しい思いをし、『お客様の為に』頑張ると決めたのに、思う様に結果が出ない日々にいつの間にか責任転嫁をして


「俺の営業が悪いのではない。客がだめなんだ。。」

他の先輩と同じように、そんなことを口にし始めていた。



T様との出会い

住宅の営業という仕事は、まずお客様を観察することから始まる。

少々嫌らしい話だが、お客様の身なり、住まい、話し方や態度などを観察し、本当に家を建てるのかどうか、建てる理由があるのか、資力はあるのかを判断していく。

年配の営業になればなるほど、経験があるだけに顕著だ。


期末の一か月前、私はT様と出会った。

ご主人は地方出身で奥様と結婚されて1年程。

市街地中心部からだいぶ離れたアパートお住まいであった。

ご主人も仕事を変えたばかりで、まだまだ家づくりは難しいかと思ったが、あまりに熱心に話を聞いてくださるので、こちらも熱が入り事細かに説明をした。

年齢が近いこともあり、話は脱線気味であったが、終始笑顔のまま気づいたら一時間以上経過していた。

お客様がお帰りになられ、事務所へ戻ると、




先輩社員「どーやった?あの感じだとお金ないやろ?」

「そうですね。すごくいい人なんですが厳しいかもしれません。」

先輩社員「あんなん長く話し込まんでええねん。お前も結果出したいんやろ?」

「そうですね。わかりました。」



ごく当たり前のようにそんな会話をするようになっていた私。。



ただ、なんとなく心に引っかかりがあった。と言うよりこの時は純粋に、

「あーゆーご夫婦と一緒に家づくりをするのは楽しいだろうなぁ」


と思ったのだ。

事務所に戻り、T様にお礼のお手紙と資料を同封し、ポストに投函し家路についた。


翌日、携帯に見知らぬ番号から電話。

出てみるとTさん。

Tさん「昨日はお手紙頂き有難うございました。家を見に行ったことを妻の両親に話したら、妻の両親の家は、あなたの会社で建てた家の様なのです。とても良い家だと太鼓判でした。」

「有難うございます!それはとても良かったです。で、何かありましたか?(この時も傲り高ぶった私は、どーせ建てないだろうな、、なんて思っていた。)」

Tさん「実は前向きに家づくりを進めようと妻と話し、あなたの会社で相談に乗って頂けるかなと思いまして。。」


なんていいお客様。

というかなんてダメな私。。



完全に偶然に助けられ、T様との家づくりの計画が始まった。

家づくりの打ち合わせは順調だった。



急展開

期末を目前に控え、社内は追い込みムード。


T様との商談についても社内の圧力は凄まじく、


『絶対に落とせない商談』


として周囲の目が厳しくなり始めた。





ところが期末一週間前のある日、携帯にT様からの着信。

ちょうど打ち合わせ中で電話に出ることは出来なかったが、


「嫌な予感」がした。



打ち合わせを中座して電話をかけなおした。

すると、、



Tさん「すみません。今回の家づくりを中止したいのです。色々とご相談させて頂きましたのに、申し訳ありませんでした。。有難うございます。」

「えっ!ちょっ。。どうしたんですか。。」

Tさん「本当にすみません。有難うございます。またこちらからご連絡させて頂きます。失礼します。。。」


「ガシャリ・・ツーツー」



「・・・・」








つづく






←前の物語
つづきの物語→

PODCAST

​あなたも物語を
話してみませんか?

Image by Jukka Aalho

フリークアウトのミッション「人に人らしい仕事を」

情報革命の「仕事の収奪」という側面が、ここ最近、大きく取り上げられています。実際、テクノロジーによる「仕事」の自動化は、工場だけでなく、一般...

大嫌いで顔も見たくなかった父にどうしても今伝えたいこと。

今日は父の日です。この、STORYS.JPさんの場をお借りして、私から父にプレゼントをしたいと思います。その前に、少し私たち家族をご紹介させ...

受験に失敗した引きこもりが、ケンブリッジ大学合格に至った話 パート1

僕は、ケンブリッジ大学トリニティ・カレッジ、政治社会科学部(Social and Political Sciences) 出身です。18歳で...

あいりん地区で元ヤクザ幹部に教わった、「○○がない仕事だけはしたらあかん」という話。

「どんな仕事を選んでもええ。ただ、○○がない仕事だけはしたらあかんで!」こんにちは!個人でWEBサイトをつくりながら世界を旅している、阪口と...

あのとき、伝えられなかったけど。

受託Web制作会社でWebディレクターとして毎日働いている僕ですが、ほんの一瞬、数年前に1~2年ほど、学校の先生をやっていたことがある。自分...

ピクシブでの開発 - 金髪の神エンジニア、kamipoさんに開発の全てを教わった話

爆速で成長していた、ベンチャー企業ピクシブ面接の時の話はこちら=>ピクシブに入るときの話そんな訳で、ピクシブでアルバイトとして働くこと...

bottom of page