top of page

15/7/4

初めてのボスニアサッカー旅で出会った、バルーンアーティスト・リマノビッチさん一家との話①

Image by Olia Gozha

 リマノビッチさんとの出会いは、、、
ボスニア・ヘルツェゴビナ はゼニツァのバスターミナルに隣接した、古びたカフェであった…。


 ゼニツァは、サラエボからバスで2時間ほどの、美しい丘陵に囲まれた鉄鋼業が盛んな都市である。近年、この都市にある18000人収容のNKチェリクのホームスタジアムで、多くのボスニア代表の試合が行われる。

 


 2011年11月、ボクは初めて、ボスニア・ヘルツェゴビナに降り立った。

“EURO2012 プレーオフ” ボスニア代表vsポルトガル代表を観戦するために。

ホーム(11日)&アウェイ(15日)の戦いを制すれば、内戦以降、初の国際大会出場が決まる大一番な一週間。

約20万人が命を落とした、悲劇という言葉では納まりきらない暗い過去を乗り越え、国際舞台に立てるチャンスが目の前にある。

ボスニアにとってもサッカー界にとっても、歴史的な瞬間に立ち会えるかもしれない。そんな思いに駆り立てられ、彼の地にやって来たのだった。





 その日、ボクは、サラエボ旧市街の観光名所バシチャルシアで購入した、ボスニア代表エースNo.11エディン・ジェコ(マンチェスター・シティ所属)のユニフォームを身にまとい、さらに、カバンの中には、日本から持参したボスニアの英雄イビツァ・オシム氏が表紙の本を忍ばせ、サラエボから正午発のゼニツァ行きバスに乗り込んだ。



 道中、ボスニア国旗を掲出したサポーターの車が、次々とボクらのバスを追い越していく。その度に、バスの中ではボスニアコールが連呼され、車はそれに応じるようにクラクションを鳴らし、意気揚々と一路スタジアムへと先を急ぐ。



 ボクたちのバスも、20分遅れで、ようやくゼニツァのバスステーションに到着した。

まずは手始めに、情報収集のため、隣のカフェに入ることにした。

じつはその時、まだチケットはおろか宿泊先すらも準備していなかったからだ。


 カフェに入るなり、10人くらいの一団が、好奇な眼差しとともに、ボクのコトを手招きで呼んでいるのが分かった。ボクが、その集団に近づいていくと、“オー、ヤパーナ(日本人)! オシム!!!”と歓待の叫びをあげた男がいた。

 

その人物が、リマノビッチさんであった。

 

 ボクはみんなと握手やハイタッチを交わしたあと、“オシム!!!”と叫ばれてはアレを出すしかないと、忍ばせていたオシムさんの本を、さっそくバッグの中から取り出して見せた。

彼らは、目を真ん丸に見開き、縦書き日本語で記された母国の英雄の本に、嬉々として興味津々な表情を浮かべながら、

“オレ達は初めて日本人を見たよ。シュワーボ(オシムさんの愛称)のおかげで、オレ達も日本のことが好きだったのさ。”と、テンション高めに、再度、ハイタッチを求めてきた。

”サッカーを通じて民族や国境を超えたつながり”が生まれた瞬間であった。


 すると、、、

“何か飲むかい?”とリマノビッチさんが聞いてきた。

“ようこそ、ボスニアへ。オレ達は友達だ。ごちそうするよ。”と。

お言葉に甘えて、“Beer”と頼んだ。

数分後、ボスニアのNo.1Beer “SARAEVSKO”とシカ肉の燻製を、このカフェのボスが持って来てくれた。燻製はボスのサービスらしい。



 そんなこんなで、みなさんと乾杯で盛り上がった後、試合開始まで5時間以上あったので、

Beerをご馳走になったリマノビッチさんと、お話しをするコトにした。


←前の物語

PODCAST

​あなたも物語を
話してみませんか?

Image by Jukka Aalho

高校進学を言葉がさっぱりわからない国でしてみたら思ってたよりも遥かに波乱万丈な3年間になった話【その0:プロローグ】

2009年末、当時中学3年生。受験シーズンも真っ只中に差し掛かったというとき、私は父の母国であるスペインに旅立つことを決意しました。理由は語...

paperboy&co.創業記 VOL.1: ペパボ創業からバイアウトまで

12年前、22歳の時に福岡の片田舎で、ペパボことpaperboy&co.を立ち上げた。その時は別に会社を大きくしたいとか全く考えてな...

社長が逮捕されて上場廃止になっても会社はつぶれず、意志は継続するという話(1)

※諸説、色々あると思いますが、1平社員の目から見たお話として御覧ください。(2014/8/20 宝島社より書籍化されました!ありがとうござい...

【バカヤン】もし元とび職の不良が世界の名門大学に入学したら・・・こうなった。カルフォルニア大学バークレー校、通称UCバークレーでの「ぼくのやったこと」

初めて警察に捕まったのは13歳の時だった。神奈川県川崎市の宮前警察署に連行され、やたら長い調書をとった。「朝起きたところから捕まるまでの過程...

ハイスクール・ドロップアウト・トラベリング 高校さぼって旅にでた。

旅、前日なんでもない日常のなんでもないある日。寝る前、明日の朝に旅立つことを決めた。高校2年生の梅雨の季節。明日、突然いなくなる。親も先生も...

急に旦那が死ぬことになった!その時の私の心情と行動のまとめ1(発生事実・前編)

暗い話ですいません。最初に謝っておきます。暗い話です。嫌な話です。ですが死は誰にでも訪れ、それはどのタイミングでやってくるのかわかりません。...

bottom of page