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15/6/30

学歴コンプレックスの男が大手企業で新人賞を受賞した話 ~3~

Image by Olia Gozha

〇〇〇の家への訪問。。


配属先へ出社し、とてもさわやかな教育担当の先輩や気の良さそうな営業部のメンバーとも仲良くなりはじめたが、研修でも悪名高かった営業部長とはほぼ会話がなかった。

ある日、たまたま教育担当のK先輩が不在をするとき、一日部長に同行することに。

「本日は一日宜しくお願い致します。」

部長「はいよ。」

二人で外車に乗り込み部長の商談に同席することに。道中の車内では会話はなし。部長は当然のようにタバコを吸い続ける。

緊張感で生きた心地がしなかった。

同席した部長の商談は独特。全く営業マンらしくない。ただ低い小さな声でぼそぼそとしゃべり、決断をはっきりと迫る。

数件の商談に同行し、夜も遅くなってきた時に、


部長「後一件行ってから戻るから。」


「はい。わかりました。」

ついたところは町はずれの田んぼの中にある古い民家。家に明かりはついていないし、仰々しい門構え。

部長「お前あそこ行ってインターホン押してきて。ちょっと離れたところで待っているから。」

今日は終始部長の横に座っているだけだったのだが、ついに出番か、、と言われるがまま車から降りる。おもむろに車を遠くに動かす部長。

門の前に立ち、いやな雰囲気だなぁと思いながらもインターホンを鳴らす。

1回。

2回。

出ない。

3回目を押して反応がない事を確かめ車に戻ろうとすると、門の中に1台の車が駐車されている。

黒いフルスモークの高級外車。ナンバーは1桁。

ただならぬ気配に怯え慌てて部長の車へ戻る。

部長「どうだった?」

「3回インターホンを鳴らしましたが不在の様でした。」

部長「そっか。あの家どう思う?」

「はい。立地もそうですが、門構えも立派すぎますし、何より門の中にあった車が外車でナンバーが1桁でした。少し怖い感じがしました。」

部長「だよな。なんかおかしいと思ってたんだがやっぱりな。あの家893の家なんだ。あー怖かった。。あはは、緊張したな!笑」

さらっととんでもないことを言い出した。どこの世界に入社して数日の新入社員に893の家に訪問させる上司がいるのだろうか。。

帰りの車内はまたも無言。私も不信感をぬぐえずにいたので無言でいると、部長が突然話しかけてきた

部長「お前はなんでうちの会社を選んだんだ?そしてなんで営業をやろうと思ったのか?」


私は半ば自棄になっていたので素直に答えた。自分がどこまでやれるか確かめたいからだと。

すると部長は言った。


部長「俺は今まで何の会社でも必ずナンバー1だった。他の先輩はいいから、俺のやることを常に気にしていろ。そしたら結果が出せるはずだ。それで出なかったらお前は向いていない。自分の力を証明するつもりなら、常に仕事のことを考えろ。」

部長「1日10時間以上仕事に奪われているんだ。その時間を少しでも快適にするためには成果を出すしかないんだ。わかったな。」


その日を境に私に対する上司の厳しさが急激に激しくなった。

罵声は当たり前。残業?何ソレ?

激動の日々の中私は感じていた。


「もう無理です。。」

と。。




つづく

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