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15/6/7

35年ラブ

Image by Olia Gozha


不思議な女性に出会った。正確にいうと35年ぶりぐらいに再会した。



鹿児島の高校時代の同窓会にふらふらと参加してみた。そこで彼女と再会した。

不思議な女性は私の高校の同学年。クラスは一度も一緒じゃなかった。

彼女とは、あまり面識がない。温厚そうな印象。でも、話してみて驚いた。


彼女は、高校時代の私の天敵?ははははは。の奥さんになってた。

彼女だけ同窓会には参加してた。天敵は不在。



歴史をサカノボル。そして私の所在場所の地図は、現在の東京から南の国。鹿児島に飛ぶ。


むかしむかし。私は鹿児島で青春時代を過ごしていた。いろんなことをやってた。


美術クラブでは、油絵を描いてた。好きなのは意外に静物画。


そこに天敵のヤツがいた。一度もクラスが一緒じゃなかったのに、ナゼカ私にカラム。

メンドクセーヤツ。オンコー?な私もキレてた。まあ。はっきり言えば、仲が悪かった。



不思議な彼女はそのメンドクセ—ヤツ。の奥さん。になっていた。

同級生同士で結婚してたのだ。


私は「飲み放題」といふことばに弱い。

それに、東京のど真ん中で繰り広げられる懐かしい鹿児島弁オンリーの会話もここちよい。

シャンパン。ワイン。ジントニック。ワイン。ワイン。と次々と飲んだので、彼女に絡んでミタ。


復讐??。ははははは。笑いながら絡んでミル。


でも。彼女から出て来たコトバとモノガタリは、意外にも感動的だった。

私がジツは大きな誤解をしてたのかもしれん。そんな気持ちになっていった。



コレからイイ話しをする。皆さんはアタマの中で平井堅の「瞳を閉じて」をBGMにして聴いて欲しい。


それを希望する。じゃ。スタート。




(回想シーン)





昔。九州の地方都市。主人公の私はセーラー服の女子高校生。

ノーマルな昔のセーラー服。をノーマルに着てる。

高校は地方では有名な進学校。

家が遠くて学校まではバス通学。


但し、きのうは、真面目な私が雨の日の渋滞にハマって遅刻してしまった。

家遠いからな。そんな言われたのがなんだかムカつく。


だから、いい天気だったけれど、今日は、やたら早い時間のバスに乗ってみた。


バスが学校の近くに着いた。澄んだ空気を吸ったアト。校門に一礼してハイル。

まだ、ヒトケがない。で。まだ、暗い教室に入る。






だれもいない教室。

あける。


ん?ひとりいた。痩せた同級生。

彼は暗い教室で勉強してる。びっくりした。沈黙の時間。

その日はそれで終った。

時間の経過とともにいつも通りの教室に戻っていく。



次の日。さらに早いバスに乗った。

なんかヤツに勝ちたい。

今日こそ一番乗りだ。教室のドアをガラガラと開けた。


ん。ん。また、アイツがいる。こんなに早く。


更に次の日。今日は勝つ。更に、もう一本早いバスに乗った。

今日こそ私がいちばん。ドアをあける。


え。アイツがいた。



そうしてるうちに、アイツと話しをするようになった。

アイツは性格は偏屈。皮肉屋。でも勉強はデキル。


次第に早朝の教室は毎日毎日勉強を教えて貰う場所になった。

でも、そのまま変わったことはなかった。


但し、帰り道。なんとなく私を待ってるトキがあるのは、ワカッテタ。


そして受験。


なんとアイツは、現役で東大に行った。私は地元の大学に通った。



そして、普通の大学生活を送っていた。


ヤツからは、年賀状となぜか暑中見舞いが届く。年に2回だけ。そんな関係。


これは、大学を卒業しても同じペース。年に2回の年賀状となぜか暑中見舞い。


ヤツは、大学を卒業してあるメーカーに就職した。



26歳になった時だった。いろんなことを考えてた夏。

ヤツからの暑中見舞いが届いた。

なぜか、その時だけ、あいたいね。と返事を書いてしまった。

そしたら、スグにヤツから連絡が来た。会うことになった。





そのうち、ヤツは毎月東京から鹿児島に飛行機で来るようになった。

オカネの負担もたいへんだろうな。と思ってたトキ。

たまたま、いい条件のお見合いの話しがキタ。


それをヤツに伝えた。



「「はっきりして。」」



そしたら、ヤツは、今までにない。はっきりした声で言った。







ヤツ=痩せたオトコ「「一緒に東京に来てくれ。」」




・・・

ふたりは、高校1年で同じクラスになった。そして、3年生で、また、同じクラスだった。


ヤツは高校1年から彼女をずっと好きだったらしい。

彼女に教える為に勉強したようだ。で、その結果。現役で東大に合格した。凄い。


いろんなラブがある。情熱がある。

愛はいろんなエネルギーを発生させる。そしてパワーを増幅させる。



私は、天敵だったヤツの現在の姿を見たくなった。


で、彼女の携帯の中にあるヤツの写真を見せてもらった。

なるほど。こんな感じか。天敵の面影はアル。


でも若干、ヤサシげにもミエル。

まあ。今の話しを聴いたからだな。錯覚かもしれん。ははははは。




彼女は写真を私に見せながらこう言った。


「これは海岸で撮ったので風が強かった。もうちょっと髪はこんなかんじ」


「天敵(笑)。そうだったのね。」

「でも、ヤツは、偏屈で皮肉屋なのですごくワカル。」


堂々と彼女は続けた。穏やかな印象の彼女の雰囲気とは違う言葉だった。


「私以外、ヤツと結婚して上手くやれる女性はいなかったと思ってる。」


そんな彼女は、とってもまぶしかった。アルコールの影響を割り引いても。



天敵よ。ヨカッタな。イイヒトと結婚したな。


じゃ。そのうちいつかまた会おうぜ。

闘わないで。和やかに。スマイルで。


でも、ありがとう。おめでとう。

よかったな。



天野功一@35年ラブ(完)



人はどこからでもいつからでもヒーローになれる。

ヒーローになれるのは、若いヤツだけの特権ではない。

私は、人生を賭けてそれを証明する。


□■□■byプロフェッサーアマノ□■□■□■□■

100%を150%に変えるコンサルタント。

「感情」×「論理」⇒感情営業スーパープロデューサー。


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