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15/5/25

Love the way you are★つづき

Image by Olia Gozha

第3章


登場人物

1、四季

2、腹の出っ張った女

3、リン



次の日の夜8時、四季は言われた通り田端駅へ向かった。

時間通りだ。

改札の前にはすでにあの女が立っていた。


無言で近くに行くと、女は

「こっち」

とだけ言い、四季は言われるがまま近くの喫茶店につれていかれた。

喫茶店に入ると、客の少ない中、不自然なくらい奥の席にスーツをバシッと着た男が座っていた。身長は高めそうで、短髪で、まー"普通"だ。


女はその男の席へ向かって歩いた。

そして男の前に座った。

四季にニコリと微笑みかけ、隣に座るように即した。


四季は様子を伺っていた。

だいたいの状況は誰でも想像できるが。


男は四季を無視し、口を開いた

「おろしてなかったんだ、本当にいろいろ申し訳なかった」


こういう時に男性から出る「いろいろ」という言葉の意味は大概本人が一番わかっていない。

考えようともしていないと言う方が正しいのか。


すると女は返した

「下ろす気はないって言ったでしょ。私は産みます。それから、会うのも今日限りにしましょう」


男は困った顔をしている。どうしようもできない。男にとってはゲームオーバーだ。


次に男は四季を見て聞いた

「君は?」


四季はとっさに言った。

「この女の知り合いです。事情はよく知らないけど、この女ぬ雇われました」


男は、なんなんだ?という顔をしている。

女は、四季の隣で少し笑っていた。


女が言った

「そう、ちょっと手伝ってもらおうと思って。ほら、こんなお腹だし、不便なことも多いでしょう。だから、、」と。


女は続けた

「とにかく、もうあなたとは会わないし、この子にも会わせないし、本当に終わり。それでいいでしょ?」


男は何か言いたげだったが、四季がいる手前、言葉を飲み込んだんだろう

「わかった、いろいろありがとう」


と言って、席を立って伝票を持ち、お会計を済まして店を出て行った。


するとともなく、女は四季に言った。

「行こう」


何をするかと思いきや、さっきの男の後を尾行し始めた。

15分ほど歩いた所で、あの男はある大きな家に入って行った。


まーまーまーまー。

という程キレイなお家で。庭も広く、その庭には沢山の植木鉢に花が植えられている。

家と道路をさえぎる壁にも花の鉢が吊り下げられていた。


誰がどう見ても、一見素敵な家庭を想像する。


一見ね。


女はその家を見て何か考えているようだ。

そして

その家から少し離れたところから女は言った。

「よしっ決めた!!」


四季が

「なにを?」

と聞くと


女は

「だってなんだか気持ち悪い。すっきりしないの。こういうの私嫌いだし、胎児にも良くないでしょ。だから。。」


女は続けた

「幸せな復讐、思いついた」


さらに続けた

「あなたには重労働をお願いするかも。その名も、盗っ人大作戦!」

と言って振り返り、来た道を引き返し始めた。


四季は女の後ろ姿を少し眺めていた。

盗っ人大作戦。。。

「なんだ、やっぱり面白そう」

と心の中で思っていた。


喫茶店にいるときは、なんだかよくある話だなぁと思い、このバイト下りようかなと思っていたが、明らかに違うのだ。


喫茶店に入る前と、後のその女の後ろ姿が。

人の表情は秒毎に変わるが、その変わりようが昨日の夜考えても考えてもわからなかった、四季のつっかかりを和らげたのだ。


面白い。


この女はあの男を憎んでいるんだろうか、人の心は後ろ姿を見ればなんとなくわかる。




四季は思った。

見届けてやろうじゃないの。


「マリア様になりたい」なんて言う、

あんたの言う幸せな復讐の先に、何があるのかを。

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