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ゆかりが飛び降りた!
温泉旅館に泊、早朝に温泉に入って部屋に戻り、まだ朝食まで時間があったので、私は布団の上でゴロゴロし、うとうとしている時だった。突然、部屋のドアをドンドンドン!と激しく叩く音。そして、「おとうさんおかあさん!ゆかりが飛びおりた!」姉の旦那だった。ゆかりというのは私の姉だ。私はとっさに飛び起き、すぐに部屋から出た。姉の旦那が私を見ている姿が視界に入る。
私はとにかく姉の所へ早く行く事しか頭になく、下に行くエレベーターに乗り込んだ。エレベーターのドアが閉まる時、一瞬、何故旦那は来ないのか、というより、父も母も居たのに誰一人来ない事に疑問を持ったがそんなのはどうでもよく、ただ震えてきたのを覚えている。
エレベーターがフロントに付いた。また飛び出したものの、姉がどこにいるのか分からない。すごく焦る。フロントにスタッフが一人いたが、電話をしていた。そのスタッフの形相や様子から、電話の内容が姉の事だと思った。しかし、声を掛けようとする私を避けるので、どう声かけすればいいのか分からない。そこであたふたする自分が情けなくなってきた。
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