わたしがこの世に生まれてきた意味
よく語られるこんな壮大なテーマ
一体どんな意味があるんだろうね?
私が見た夢の中ではこんな「答え」があった。
この世に生まれてきた時は誰もが赤ちゃん。
身体もまだ自分の意志で動かすことができない。目もまだぼんやりとしか見えない。できることは泣くことだけ…
ある時ふと右手の存在に気づく。どうやらこれは自分で動かせる…舐めてどんな形なのか確認してみる。ごつごつしてる。細いものが5本ある。どうやらこの5本は別々に動かせる…
目を開けると見えるのは…これはどうもあの舐めるとごつごつするアレだな。そして生まれた時からいつも近くにいてくれるらしい、優しくて低い声(この声はあったかいプールに浮かんでいた時によく聞いた声だ)で話す大きな人…顔をいつもとても近づけてくれるからよく見える。これは…大好きなおかあさん。
そしてたまに、大きな手で恐る恐る抱き上げてくれるもう一人のよく聞いた声の人。これは…大好きなおとうさん。
毎日はまるで次々に現れる新しい扉を開いているよう。右手しかないと思っていたら反対側に左手もあった。身体の下のほうには足もあった。どれも自分で動かせる!首を動かしてみたら見える世界がまるで変わる。どんどん広がっていく世界。
さわりたい。見えるものみんなさわって確かめてみたい。わたしがやって来たのは一体どんな世界?
寝返りを覚えた。今までの世界が全部ひっくり返る。おもしろい!
あれは何?さわりたい。そしてなめてみたい。これはツルツル、これはざらざら、ふわふわ、ぷにぷに…夢中になっていたら身体がどんどん動くようになった。ここにギュッと力を入れたら身体が後ろに進んだ!ここに力を入れたらどうなる?こうしたら?
また新しい扉が開いた!どうやら私は自分でこの身体を動かせる!見えるものがどんどん変わる。力を入れて行けるところまで行ってやろう。
知りたい。さわりたい。私がやって来たこの世界はどんなところなの?
知りたい。ぜんぶ見たい。さわりたい。この世界がどんなところか知りたいの!
大好きなはずのおかあさんは時々邪魔をしてくる。そんな時は大きな声を出す。目から水がぽろぽろ溢れ出す。そんな感覚もおもしろい。
大好きなおかあさんがほおずりをしてくれる。あったかい。いいにおい。嬉しくてつい出てしまう声。この声を出す時はいつもとっても素敵な気持ちになる。おかあさんもとてもいい顔を見せてくれる。
笑っているおかあさんはとてもきれい。
おとうさんはどうもわたし専用の魔法使い?どこにだってビューン!と抱き上げて連れて行ってくれる。おとうさんの頭より高く抱き上げてこの世界の全体を見せてくれることもある。
なのにおとうさんも時々「あぶない!」ってわたしを止める。
どうして!私はこの世界がどんなところか知りたいだけなのに。
ねえ、おとうさん、おかあさん、おしえて?
わたしがやって来たのはどんな世界?
だっこしてくれるとあったかくて、おかあさんが口に入れてくれるものはおいしくて(時々べぇっと出したくなるものもあるけど)、ぎゅっとタオルで口のまわりを拭ってくれる。
おとうさんの背中はおおきくてたくましい。大きな手で抱き上げてくれたり、手をつないで一緒に歩いて、いろんなものを見せてくれる。
次第に言葉も覚えて、わたしは色々なヒントを探し出す。
これ、なぁに?
これは?
朝起きたら大好きなおかあさんが目の前にいるから、ふふって笑いたくなるの。
ごはんを食べるの大好き。美味しいって楽しい。食べ物をさわるのも楽しい。
ぐるぐる、ペンで紙に線を描くのは面白い。
お外はあったかかったり、まぶしかったり、寒かったり、ぽつぽつ雨が降ってたり、真っ暗だったり、いつも違うの。
走ると身体がビューンって軽くなってとっても面白い。
おかあさんに抱き付くとあったかい。「だーいすき」って言ってくれる。わたしはその言葉がとても好き。お返しに何回も「だーいすき」って言う。
お風呂で頭にお湯をかけられるのは嫌い。
夜になってお外に行くときらきらしたものが空にある。「おつきさま」もある。それを見るのがとても好き。
おかあさんがかけてくれるお布団はふわっと軽くて気持ちいい。
おかあさんとおとうさんが私の邪魔をする回数がどんどん増えてきたけど、じぶんで、ぜんぶ、ぜんぶ、したいの!
だってわたしは、わたしがやって来たこの世界がどんなところか知りたくてたまらないの。
毎日毎日、ヒントを探しているの。
ねえここはどこ?
どんなところ?
だって、ねぇ、わたしはここに遊びに来たんだよ。
大好きな人に会いに来たんだよ。
神様が、ここで遊んできなさいって言うから、はーい!って勇気を出して、息を止めて、こっちにやって来たんだよ。
神様が、
「最初は身体も動かせないところから始まるからね。
でも、「感覚」を頼りに進めば大丈夫。
そしてヒントがたくさんあるから、よく目を凝らしていくんだよ。」
って言ったんだよ。
だから、生まれてきたんだよ。
さあこれは私が見た夢。
「本当」かどうかわからないけど、
私のふたりの娘たちをよーく見ていると、全身で私にそう語り掛けてくるような気がするのです。