top of page

15/5/6

偏差値37の工業高校でビリだったボクが、社会人を3年やりながら夜は予備校で勉強し、学費を250万貯めて国立大学に合格した話 その②

Image by Olia Gozha

18歳の夏。大手予備校の夏期講習を受講して衝撃を受ける。


3年社会人として働いた後、大学に進学した話を周囲にすると、必ず聞かれることがある。「何がキミをそうさせたのか?」と。無論、「夢」であったからだ。付け加えると、社会人として零細企業に勤めているから小バカにされることが多かったから、バカにしてきた連中を見返したいという気持ちがあったのは事実である。


さて、ボクは塾に通いはじめてから猛勉強に猛勉強を重ねた。風邪を引いても、友人に遊びに誘われても断り、毎日机に向かった。もちろん、机に向かわずに勉強するスマートな方法だっていくらでもある。ただ、当時のボクが恐れていたことは「慢心」であった。時間が無いのは百も承知である。効率を求めるのは当然であるが、効率を求めると、余裕が生まれ、余裕が生まれると自分に甘くなってしまうと考えた。何が何でも合格を勝ち取ってやるという気概があり、そのために毎日死ぬ気で過ごそうと決めていたのである。勉強はまさしく、自分との戦いだったのだ。


日々の努力もあり、順調に成果が出始めた頃、大手予備校の夏期講習に行った。そこで、衝撃的な内容を目にする。それは現代文・小論文の講義であった。テーマは「親の所得と子どもの学力は比例する」といった内容であった。「まさしくボクのことじゃないか」思わずつぶやいた。所得が低い家庭は、子どもが早くから労働する必要があり、学業に専念できない。普通に考えればそうだ。そうだけれども、文章で書かれるとまた違った感想を持ってしまう。やりきれない気持ちだった。


当時の日記にボクはこう記してある。「確かに、ボクの世帯は年収100万以下の低所得だ。正直に言えば、高所得な世帯が羨ましい。しかし、そんなこといっても不毛だ。この世に生んでくれたお母さんに合格通知と一緒に「ありがとう」を届けよう。それがボクが生まれた意味だ。」ボクは、その日からより一層受験勉強に精を出すことが出来た。辛いことが続いても、このことを振り返って元気をもらうことができた。


勉強を続けるうちに、色々なことが見えてきた。将来のお金のことだ。いくら「夢」である大学に進学したとしても、投資分を回収できなければ意味がない。そして、学費もかかる。前述の通り、学費を出してもらえるような家庭状況ではなかったため、全額自腹である。(ちなみに、高校の学費も自分で支払った。)


つまり、受験だけにお金を全額使ってしまうと、入学後支障がでてしまうのである。この時点で、私立大学に進学するという選択肢は消えた。自宅から通えて、学費の安い国立大学に進学する必要があるという判断になった。


考えれば考えるほど、受験に失敗できないという思いが強くなってきていた。受験もただではない。そして、時間も有限である。仕事も、いつ忙しくなるかわからない。ズルズル受験を続けるよりも、一番見込みがある時に、勝負を決めようと決心した。


決心した次の日、ボクは自衛隊の一般曹候補生の願書をもらいに、大阪・梅田の自衛隊支部に出向いた。そこで、30分足らずで願書が完成し、提出の手続きまで行ってもらった。ボクが志願したのは航空自衛隊だった。万が一、受験に失敗したら、自衛隊に行き、母親に全額仕送りする腹決めをその時した。漠然とした不安がそのときから、自然となくなり、期待と焦燥感が入り混じった何とも言えない気持ちを抱くようになった。初夏にはいり、街行く人々は半袖になり、夜空を見上げれば満点の星空であった。

国立大学合格まで残り1年






PODCAST

​あなたも物語を
話してみませんか?

Image by Jukka Aalho

高校進学を言葉がさっぱりわからない国でしてみたら思ってたよりも遥かに波乱万丈な3年間になった話【その0:プロローグ】

2009年末、当時中学3年生。受験シーズンも真っ只中に差し掛かったというとき、私は父の母国であるスペインに旅立つことを決意しました。理由は語...

paperboy&co.創業記 VOL.1: ペパボ創業からバイアウトまで

12年前、22歳の時に福岡の片田舎で、ペパボことpaperboy&co.を立ち上げた。その時は別に会社を大きくしたいとか全く考えてな...

社長が逮捕されて上場廃止になっても会社はつぶれず、意志は継続するという話(1)

※諸説、色々あると思いますが、1平社員の目から見たお話として御覧ください。(2014/8/20 宝島社より書籍化されました!ありがとうござい...

【バカヤン】もし元とび職の不良が世界の名門大学に入学したら・・・こうなった。カルフォルニア大学バークレー校、通称UCバークレーでの「ぼくのやったこと」

初めて警察に捕まったのは13歳の時だった。神奈川県川崎市の宮前警察署に連行され、やたら長い調書をとった。「朝起きたところから捕まるまでの過程...

ハイスクール・ドロップアウト・トラベリング 高校さぼって旅にでた。

旅、前日なんでもない日常のなんでもないある日。寝る前、明日の朝に旅立つことを決めた。高校2年生の梅雨の季節。明日、突然いなくなる。親も先生も...

急に旦那が死ぬことになった!その時の私の心情と行動のまとめ1(発生事実・前編)

暗い話ですいません。最初に謝っておきます。暗い話です。嫌な話です。ですが死は誰にでも訪れ、それはどのタイミングでやってくるのかわかりません。...

bottom of page