はじまりは
1月だった。
当時、僕は
男同士の青春を求めていた。
日々のいろんなことを忘れ
ただ童心に返り
冒険したい。
そのワクワク感を
分かち合いたい。
その想いから
「風俗行ってラーメン食べいこうぜ!」
というしょーもない投稿をした。
僕の持論として
「男が一緒に風俗に行くと、謎の絆が生まれる」
というのがある。
その投稿を見て
全く知らない男、いや漢が
メッセージをくれた。
「4月に出張で東京に行きます。
もしよかったら一緒にどうですか?」
マジかと。
いくら僕でも
その展開は
予想していなかった。
2015年1月
「見ず知らずの男同士が
風俗に行くためだけに出逢う」
という奇跡の約束が生まれた。
そして昨日
僕は
リサーチに入った。
ひとりの漢が
わざわざ時間を創って
見ず知らずの僕の投稿に応えてくれた。
その心意気に
応えないわけにはいかない。
最高の店で
最高の思い出を持ち帰ってもらいたい。
そこは私もプロフェッショナルとして
仕事をしたい。
リサーチは続いた。
なかなかいい店が見つからない。
これには頭を抱えた。
やはり私も
写真家である前に
エンターテイナーであるわけだから。
ゲストを感動させること。
そこに妥協はしたくない。
そう
いうなればディ○ニーよね。
やっぱりこちらも
マウンテンをスプラッシュさせにいくわけだから。
ビックサンダーな衝撃で
スペースという宇宙を感じるわけだから。
なんて
そんなことを考えているうちに
見つけてしまうわけですよ。
ここしかないという店名を。
その名も
「進撃の巨乳」。
マジかと。
かつて
こんなにもキャッチーで
心躍る店名があっただろうか。
もうなんなら
この名前の風俗に行ったってだけで
ひとつネタになるレベルだ。
ここしかないと思い
メッセージを送信した。
そして
約束の日が訪れた。
私は
年甲斐もなくワクワクしていた。
昼はトークライブが1件あり
そこでおっぱいマスターと奉られ
いい気になった僕は
「今日「進撃の巨乳」って店に行くんですよ」
なんつって宣言しちゃったもんだから
レポートよろしくと言われ
今こうして
赤裸々に語るはめになっている。
いや、まあ
どちらかというと
自分が書きたいだけだw
そして夜
漢達は
出逢う。
あいさつもそこそこに
相手が何の仕事をしているかすら話さず
たんたんとお店へと向かう。
出逢ってから10分ほどで
もうそれぞれの戦場へと別れていた。
試合前の
心地いい緊張感。
何も言わずとも
分かり合えるものがある。
「おいおい。
Fカップ級の巨乳じゃ相手にならんぜ。
駆逐してやる!」
みたいなおこちゃまな会話もないわけ。
そこはお互い剛の者。
もうベテランな空気を纏うわけ。
リヴァイ兵長のごとしなわけ。
たんたんと部屋に入り
嬢を待つ間
立体機動装置(お洋服)を脱いで
歯磨きをして
正座で精神統一をしていく。
身体を最高のコンディションに仕上げていく。
そう、プロは準備を怠らない。
ちなみに
その日のトークライブの打ち上げで
具現化の話になって
今日かみくんは
理想のおっぱいを引き寄せるのかと話題になった。
加美大輔の具現化能力は
どの程度のもんなのかと
いささか挑発的な問いをもらった。
おいおい待ってくれよと。
こちとら
これだけおっぱいおっぱい言ってるんだぜ。
巨乳ひとつ引き寄せられないで
何がかみかとw
店名が「進撃の巨乳」だという安心感から
僕も大きくでていた。
「いや、今日はいきますよ」と。
携帯の待ち受けも
安定のロリ巨乳
佐野ひなこ氏に変えた。
その後
電車で隣の女の子に見られて
少し恥ずかしかった。
とにかく
今日は確信しているぜと言わんばかりだった。
なんなら
その後の話の展開で
人生で何かを選択するときに
確信があるかって大事だと思うんですよ。
なんて饒舌に語った。
そんなことを回想している間に
扉がノックされた。
毎回思うけど
あの瞬間ほど
心臓がバクバクするときはないと思う。
現れた子は
巨乳ではなかった。
・・・僕は
かみの座を降りようと決意した。
「おれは怒ったぞーーーーーー!!!!!!!
フリーザーーーーーー!!!!!!!」
怒れること
どこぞのサイヤ人のごとし。
とはならなかった。
かみの座から降りた
28歳の全裸のおっさんは
シャワーを浴びながら
この無慈悲な所業に
ただただ呆然としていた。
この瞬間
僕は
間違いなく何か一線を越えた。
ただ
今にあった。
大切なのは
おっぱいの大きさじゃない。
ただ
目の前の子と
愛し合おう。
たとえひとときでもいい。
この出逢いの奇跡に
心から感謝しよう。
鏡に映るその表情たるや
仏のごとし。
煩悩も
エゴも消えた。
これを
世間では
マインドフルネスというらしい。
今日限定で
僕はかみから仏にジョブチェンジした。
そして
そのマインドフルネスで
ナウヒアーってると(今ここにいると)
ふと気づいた。
「この子、めっちゃすげえ」
その子の仕事っぷりに
僕は感動を覚えた。
一生懸命な健気さ。
決して技術が特別秀でているわけではない。
聞けば新人さんらしい。
だけど
間違いなく
心に響く仕事だった。
プレイが終わった後
まだ時間があるからと
マッサージまでしてくれた。
彼女が帰る時
僕は心からありがとうと言った。
お金を払った方が
感謝に満たされる。
それはなんて素晴らしい仕事だろう。
姫ブームな時代だけども
男が目覚めるのは
女の子の一生懸命な健気さを見たときだと
僕は本気で思った。
シンデレラも
あれだけ健気に一生懸命に生きたからこそ
魔法使いが手を差し伸べたくなったのだろう。
僕は今回
理想のおっぱいは手に入らなかったが
理想のあり方を魅せてもらった。
そして
そんな幸せな余韻に浸り
戦友と合流し
ラーメンを食べて帰った。
彼とは
最後まで
言葉は少なかった。
だが最後に
「これから末永くよろしく」
と言って別れた。
こんな出逢い方は
生まれて初めてだった。
僕はこの出逢いを
絶対に忘れないだろう。
あの嬢のことも
絶対に忘れないだろう。
そして
どんな女の子がいいですかと
お店の人に
電話で言われたときに
「おっぱいの大きい子で、、、
いやもっというと美乳の子で!」
と欲を出してしまった
あのときの僕を
僕は絶対に忘れないだろう。
間違いなく原因はあれだ。
このよこしまな想いは
駆逐していくと決めた。
おあとがよろしいようでw


