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12/12/20

磁石

Image by Olia Gozha

自分はデザイナーになる前、英会話講師・通訳を10年以上やっていました(キャリア転向については別のストーリーで)。今でもはっきりと覚えていますが、英語講師をしていた一番最初の会社で上司に質問されました。

「たくさん穴の空いた、水の入ったバケツがある。水が漏れていかないようにするには、どうしたらいい?手は2本しかないよ。」

お察しの通り、仕事上の問題解決方を抽象的に聞いたんだな、ということは分かりました。皆さんだったらどう答えますか?並の回答はしたくなかった私は一晩考え、自分らしさが出る答えを考えつき、次の日上司に言ってみました。

「水を引きつける磁石をバケツの上にかかげればいいと思います。」

自信はあったものの反応が気になっていた私に、上司はすぐに鼻で笑って小さく言いました。

「いや、そりゃ無理。そうじゃなくてね。。」

その後のことは覚えていません。たぶん、自分なりに素晴らしいと思った回答を理解してもらえなかった悔しさが相当残ったような気がします。でもそれから20年近く経った今も、「水を引きつける磁石」の考え方は変わっていません。水は穴から出て行ってしまうけれど、その力に勝る引力を持つ「何か」を作れば、問題を完璧に解決しないまでも、そこから離すことができる。自分はその「何か」を作る人になろうと。例えて言うと(ちょっと違うかもしれませんが)、乗り心地の悪くなった国産車に不満を持った人が、全く購入対象として考えていなかった、ものすごくカッコいい、高い外車を一目惚れして買い、実際は以前より乗り心地が悪くなっているけれど、心は満足したまま10年乗り続ける、みたいな。授業がものすごく下手な講師も、人を引きつけるその魅力で何故か学校一人気がある、とか。

「何か」とは「格好良さ」や「優しさ」などたくさんありますが、自分が特に必要だと考えているのは「楽しさ」です。楽しければ、目的が何だか分からなくてもやってみたくなるし、すごく不便だけど楽しいから続けている、とか。用途が同じ2つの商品でも、片方は使っていると楽しくなるようなデザインであるなら、絶対にそれを買ってもらえると信じています。そしてそのプロダクトを作る人になる、という夢は今でも持ち続けています。

<追記>

パーフェクトな例を見つけました。

http://s703.beta.photobucket.com/user/projectvan/media/new/Umbrourinal_preview.jpg.html

つまり、こういうことです。

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