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15/4/16

原因不明の肝疾患で肝移植してから約10年, 闘いは今も続く その④ ERCP再び~肝移植へ

Image by Olia Gozha

ERCP再び

ERCPから約1年間は目立った症状もなく、安定した状態で過ごせていました。こういうときは自覚症状もありません。

気まぐれで受けた健康診断からは約4年半経っています。

これまでと同じように大学病院への通院・検査を続けていましたが、また日が経つにつれ、血液検査データの悪化や画像診断での狭窄の進行がみられるようになってきたということです。

そこでまた、1年前と同じようにERCPのために入院することになりました。

前回の入院前の状態よりも悪化しているとのことで、今度は有無をいわさず即決です。

しかも、今回は初めから複数回検査することも考えているようです。1回目で様子をみて、その後の治療方針を決めるということでしょうか。


この状態だと、おそらく身体のだるさなども相当あったと思うのですが、その辺の記憶は曖昧です。


失敗2回

ERCPは前年に2回やっているので、準備なんかで特に困ることもなく。

前年の入院では予定より期間が延びたこともあり、髪がぼさぼさになり洗髪もできず困ったので、このときは前日に丸刈りにするなど、準備万端です。

同じ病院・同じ病棟でスタッフも前年とほとんど変わらず、環境面はとても良く、安心して挑めました。


検査・処置は入院して数日後に行いました。

結果は、またしても失敗です。

MRCPでの画像診断で考えられていたより、はるかに胆管狭窄は進んでいて、内視鏡を進めることができず、中断したとのことでした。

鎮静剤を多めに使ったのか終了後も頭がボーッとしていましたが、このことと、日を改め、高精度の検査器具類を用意し医師(技師?)も交代して再度施行するという説明を受けました。


そして中1日空けて、再チャレンジです。

ここで上手くいければその後も随分違ったのでしょうが・・またまた失敗です。

鎮静剤もかなり多く使ったのか、検査中から意識は朦朧としていましたが、雰囲気からなんとなく上手くいかなかったのかな, と分かりました。

かかった時間もかなり短かったように思います。

検査終了後は、点滴などつながれた状態でベッドに寝た状態のまま部屋に戻されるのですが、その道中で、

「失敗ですか?」

とか、聞いたりもしました。


後で聞いた説明によると、前回突っかかったのと同じところから内視鏡を進めることができず、逆に無理に進めようとして胆管を傷つけた可能性もあるということです。

もうこの状態でERCPを繰り返し行うこともできないそうです。


治療の行方

ERCPは内科的な処置としては最後の手のようなもので、治療としてできることがなくなってしまいました。

2回目のERCPの後日、このことを踏まえて諸々の説明をまとめて受けることになります。


こちらは本人含めて身内数名。相手さんは主治医をはじめズラ~ッと10人近くは並んでいます。

この時点ですこし異様な雰囲気です。

実際にERCPで撮影した胆管の写真を見ながら、ここで狭窄が・・とか言うのですが、相変わらず画像の見方はあまりよく分からず。


結論として出てきたのが、この言葉です。

「残す可能性は肝移植のみ, それがなかったら余命は1年あるかないかです。」

「????!!??」

確かに昨年から肝移植の話もしてはいましたが、それは『近い将来、いずれそういう時期が来る』という前提で、いきなり突きつけられるとは思ってもみませんでした。


段取りとしては、この入院期間中に時間を取って『そういう時期が来た』ときにどうするかを医師と話し合って、こころづもりしておくつもりでした。

色々と頭の中を駆け巡って出てきたのが、

「もし1年もったらどうなりますか?」

この聞き方もなんだかおかしな気もしますが、それに対する返事が、

「万一、1年もったとしても、2年は絶対にありません。」

これです。


中途半端に濁されるよりかは余程良いんでしょうが、こちらは心の準備も何にもない状態ですから、混乱は続きます。


説明はもうすこし付け加えられました。

・肝移植そのものは、国内累計で約3,000例, 年間400~500例あり(2005年時点)、そこまで特別な手術でもない

・これ以上良くなることはないので、症状がさらに進行してしまうより前に肝移植した方が、その後の経過も良いだろう

・PSCは免疫異常が原因として考えられており、肝移植後は免疫抑制剤を使うので、相性は良い

とはいえ、簡単にやりますと返事ができるようなことではありません。


結局この日は、今後どうするかはこちらサイドで話し合う, 医師側はいつでも相談は受けるし説明もする, ということでお開きに。

その間は、肝移植『する』前提で、必要な検査などやっていきましょう, となりました。


簡単に決められない

おさらいです。

《原発性硬化性胆管炎(PSC)》は、免疫異常が原因と考えられる肝疾患で、今のところ効果的な治療法はなく、悪化した場合は肝移植しか延命の方法がありません。


特に回答を急かされるようなことはありませんでしたが、するのかしないのか、早く決めた方が良いに決まっています。

これが大手術であっても、自分ひとりの問題であれば考える要素も少ないのでしょうが、移植には肝臓に限らず臓器を提供してもらうためのドナーの協力が不可欠です。生体移植の場合は続柄の範囲が決められています。脳死移植はこのときは現実的ではありませんでした。

ドナーの条件にあてはまるのは一人だけ, 仮に快くドナーを引き受けてもらえたとしても、上手くいくのか, 手術後もまともな日常生活はできるのかなど、問題は山積みです。かかる費用だってどのぐらいになるのか, 出せるのかどうかも分かりません。

また、大学病院の医師。難しい症例や数少ない手術にチャレンジしたくて、『する』方向に誘導しているのかもしれません。


幸いにも体は動く状態だったので、自力で色々調べ始めました。

肝移植のガイドブックといって、手術の方法や退院までの過ごし方, 退院後の生活についてまとめた資料もあり、またちょうどこの頃から一般化してきたSNSでは実際に肝移植をされた方とやりとりすることもできました。

同じ病気で同じように闘っている方が他に居るのも分かりました。

ただ、自分でもいったいどうしたらいいのか, どうしたいのかはっきりしない状況は変わりません。自覚症状がほとんどなく、まだしっくりこないというか現実味がないというか・・そんな状況だから余計にでしょうか。


そんな中ですが、できる限り時間を有効に使いたいという医師側の意向とドナー候補の協力もあり、ドナーに適合するかの検査を先行することになりました。これがダメなら生体移植はどう転んでも無理になります。


やります, という回答までは約一ヶ月。フィクションではないので、そんなにドラマチックな展開はなく、粛々と事が進んでいきます。

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