私は、プロとして家庭教師をしています。
これまで、女子専門で指導をしてきまして、
男子の指導についてはお断りをしてきました。
にも関わらず、昨年ある男子の指導をすることになりました。
忘れもしない、2013年8月のある日、
一件のメールが届きました。
家庭教師の仕事の公募のメールです。
家庭教師派遣のメールマガジンに登録しているので
毎日のように公募メールが来ているのですが、
ほとんど見ていませんでした。
指導も終わって疲れた帰りの駅のホーム。
仕事のメールを見る元気はない。
電車の中では少し目を閉じたい。
そのくらい、疲れていました。
なぜかはわかりませんが、
その日はメールの中身がどうしても気になり、メールを開きました。
中身は以下のような内容でした。
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■要望:
・療育手帳B2を所持(軽度知的発達障害)
・小中と特別支援学級に通い、その後、サポート校通信制高校に通う現在3年生の男児
・社会に出て行くまでにはもう少し時間がほしいとの思いから、大学進学を希望。
・基礎から学び直し、最長2浪くらいまでを目標に一般入試での大学受験に取り組むほうが本人の将来にとっても良いのではと考えた
・中学初級レベルの基礎から長期的にご指導いただける先生を希望
■特記事項:
・手帳所持者だが発作を起こしたり、暴れたり、することは一切なく、人との会話も通常にできる。
・小中と特別支援学級で過ごしていたため、勉強の基礎学力がない。
・今のところ自ら机に向かい勉強する習慣はない。
(プライバシー保護のため内容を一部変更しています)
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私はこう思いました。
「男の子の指導か。
じゃあ、私の範疇じゃない。
私の仕事じゃない。」
そう思って携帯を閉じるも、
なぜか、気になる。
もう一度メールを開く。
「時給が比較的高いので、
たくさんの応募があるだろう。
多分、すぐに決まるだろう。
大丈夫、大丈夫
私の出る幕ではない」
「…いや、待て待て。
この子、軽度とはいえ知的障害があるのか。」
「知的障害の指導はしたことがないけれど、
学習障害の子は数名指導したことがあるし、
どういう感じか、気をつけるべきことは知っている。」
「この案件は時給がわりと高いから、お金目当ての先生だったり、
知識のない学生さんがうっかり応募しちゃったら、
生徒さんも先生もツライんじゃないの!?」
(家庭教師業界は資格がいらないため、玉石混交なのです)
「ってことは…
私がやるしかない?」
「私がやるしかない・・・」
「うん、やっぱり私がやるしかない。」
そう思って、その思いをそのまま応募文を書きました。
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はじめまして。
現在、中学生・高校生を中心に15名を指導しているプロ家庭教師です。
もともと文系大学受験が専門ですが、現在は勉強があまり得意でない人や時間をかけて教えてほしい方の指導も行なっております。学習障害がある方の指導経験もございます。
掲示板を拝見し、「自分がやらなければ」という使命感に駆られました。
どうぞよろしくお願い申し上げます。
(原文ママ)
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メールを見た時の気持ちをそのまま書きました。
応募文にこんなことを書いたのは初めてです。
完全に、見えない力に動かされている感覚でした。
こんなことがあるのかと、自分自身に驚きつつ、
結果を待つことに。
こんな短い文章では、無理かな~
ま、私よりいい人が見つかったら、それはそれかな~。
と思って、あまり考えないことにしました。
続きます。


