初めての海外はNY(アメリカのニューヨークのマンハッタン)だった。

そう聞くといかにも海外慣れした人間の様に聞こえるかもしれない。
でも実は全くそんなことはないだ。
もし「海外には興味あるけどちょっと不安だ」
という人がいたらこれを読んだら少しは楽に考えられるようになるかもしれない。
では、ワタシがもともとたいして海外に縁もなく初心者だったかちょっぴりお見せしましょう。
恥ずかしくて本当は紹介したくないこともあるけどネ。
ワタシが初めて海外に飛び立ったのは2009年9月のことだった。
バンドマンだったワタシは頑張っていたバンドが解散し、悶々としていた。
すでに年齢は23歳となっていた。
自分なりにストイックにバンド活動していた反動もあり、もがいていた。
表現者としての自分の中からは「なにかしたい」という思いが浮かぶ。
でもその「なに」がしたいのかそのころはっきりとはつかめなかった。
生活費を稼ぐ「仕事」の毎日の中で、次の音楽活動の居場所を探していた。
そんななか、ワタシの心にはもう一つの想いがあった。
「今しかできないことは何か」
未来の計画は当然必要。
しかしその上で”嫌でも忙しくなる”前に今できることはないか。
そう考えていた。
「そういえば、まだ海外に行った事無いな」
今思えばなんとなく浮かんだちょっとした気持ちが出発点だった。
もともと海外に興味だけはあった。
例えばハワイ。
ちょっとお金持ちの友達なんかは夏休みとかに家族で行ってたりする。
単純にうらやましい。
あとイタリア。
中学生の時サッカーをしていたワタシはその頃イタリア代表が好きだった。
なんて単純なんだ。
それからイギリス。
ワタシはパブロックというジャンルに触れたかった。
それ以上にブリティッシュなロックの空気に触れてみたかった。
でも
行き先は違った。
ワタシが選択した行き先
それは
ニューヨーク
ただの観光にしたくなかった。
別に観光が悪いわけじゃないんだけど、
その時の自分の心境もあってバカンスじゃしっくりこない。
セントラルパークの路上ミュージシャン達の生の空気、
体にリズムがあって、街に音楽がある空気、
そんな空気を感じるためにNYに「散歩」しに行こうと考えた。
「旅費」という現実もあった。
思い立ったが吉日。
行くなら早く行きたかった。
航空券は格安の経由便。
旅費はトータル10万円。
荷物は肩がけバック1個。
まさに「散歩」だった。
「思い立ったが吉日」
良い言葉だね。
海外旅行に対する概念がなかったので考え方が自由だった。
いまじゃ自分でも信じられないほどの軽装備だった。
服とか着替えは必要であれば向こうで安いの買えばいいや。
そんな風に思ってた。
ネットで調べた
幾つかの英単語を印刷。
カメラ。
準備といえばそれくらいのもんだった。
スーツケースなし。
肩がけのちっさい鞄1個
鞄はこんな感じ。

なんかね、
なめられたらあかん!
そんなふうに本気でで思ってた。
初海外なんだけど
NYまで一緒に行こうなんて友達はいなかったので
旅行者に見られないようにしようって思ってた。
スーツケースは旅行者まるだしやな。
あかん。
いや、あかんことないんですけどね。
そう思って自分が守れる範囲の荷物がこの肩がけバックだったんだ。
そんなこんなで旅立ちの日は近づいた。
出発前夜。
ワタシは正直眠れなかった。
ワクワクではない。
恐怖だった。
考えれば考えるほど不安要素は湧き上がる。
英語もしゃべれない。
誰もしらない。
嗚呼。
考えるのやめた。
寝た。
起きた。
飛んだ。
結構あっさり最初はそう思っていた。
でもね。
やっぱ面白い事が色々起きるね。
アメリカは遠いゼ。
映画3本見て10時間経ってようやくサンフランシスコに辿り着いた。
今では笑話だけど
正直サンフランシスコで1回諦めたね。
疲れ切ってたもん。

サンフランシスコからは6時間程度だった。
現地の夜遅めの時間に到着。
事前にマンハッタンまでのバスがあることを調べてたワタシは乗り場に向かった。
が
営業時間は終わっていた。
もう一度言おう。
営業時間は終わっていた。

ええー。
自業自得ですけどね。
外は暗いし。
人も少ない。
Oh。
でも仕方が無い。
とりあえず宿泊予定のゲストハウスに遅れることを電話しようと思い、公衆電話を探す。
小銭を入れたんだよ。
確かに入れた。
反応なし。
受話器を下ろすも小銭は返ってこない。
電話ボックスがワタシのコインを食べちゃった。
バカ。
そう。
公衆電話は壊れていたんだ。
うん。
あっちこっちで結構壊れている。
こ、これがアメリカか。
お、面白い事ばかりだ。
結局TAXI乗ったよ。

何とか宿泊先に着いた。
日本人専用のゲストハウスだった。
深夜だったのでみんな寝てた。
「おなかが空いた」と言ったら
管理人が「ハンバーガーショップまで行こうか」
と言ってくれた。
暗い夜道を2人であるいた。
道にある壊れた公衆電話に1人の黒人がいた。
電話機の台に腰掛けながらフードかぶって下向いていた。
なんだかスリリングな気分になった。
が、しかし
管理人は普通だったのでなんか恥ずかしかった。
女の子だったからなおさら。
ま、とりあえずお腹が空いたのでハンバーガーを食べる。

ここにきて
やっとひと段落
コンドミニアム式の部屋の2段ベッドの上で
「来たんだな、NY」
と独り考えていた。
日本との距離
今までの思いで
これからの自分
一通り考えて
寝た
朝がきた。
あまりにも無計画だったので具体的な予定はなかった。
まぁお金もなかった。
日本人専用ゲストハウスで出会う日本人からも少なからず刺激を受ける。
世界を廻ってる途中の人。
サンフランシスコにホームステイ中だけど休暇でNYに遊びにきた人。
ダンスの学校に行くために長期滞在している人。
みんなそれぞれ行動を始める時間が来た。
ワタシも出かけてみた。
着いた時暗くてよくわからなかったけど、ドアとか道路とか幅が大きいんだよね。
道路も平じゃなくてでこぼこしてるし。
公衆電話もそうだけど
手すりとか街灯とか結構壊れてる。
スーパーに行ったら店員がモップ片手にBGMをバックに大熱唱。
しかもナスビでかい!

コンビニ店員はゲームしてる。
地下鉄の座席がカラフルでなんかいい。

通勤ラッシュ。
人種のるつぼだった。


薄暗い駅はちょっと怖かった。
トイレどうしたら良いかわからず、お腹痛くなって
冗談ぬきで1度は
「嗚呼、NYでもらすのか」
と、本気であきらめたけどギリギリでレストランが貸してくれた。
チップがいるのかと思って差し出してみたらいらないってさ。
ライブハウスを廻ってみた。
途中、街で道を聞かれた。
知りたがっていたのは近くの公園。
場所を知っていたが説明できないので知らないふりをした。
「I don't know...」
ごめん。ほんとにSorry。
でもワタシに聞くってことは観光客に見られないようにする作戦は成功のようだ。
でもでもぼったくりタクシーはワタシを盛んに呼び続けていた。
あいつらにはバレてたらしい。
場所によっては駅構内に路上ミュージシャンがいた。

彼はどこかでプロデューサーをやっているらしい。
いや、英語がわからないから多分だけど。
お目当てのセントラルパークに行こう。
路上ミュージシャンが奏でるJAZZを聴こう。
と、向かうまではよかった。
改札を出て地上に出たら。
霧だった。
公園が閑散としていた。
だれもいなかった。
なんでやねん!
でもま、しゃーない。
スターバックスに行ってコーヒーたのんだら
女性の店員さんがワタシのイニシャル聞くから
ドキっとしたけど
ただたんにできた時にイニシャル読んでくれるだけだった。

だよねー。
まぁ色々あったけど特に大きな問題もなく、
ぶらーっとして無事日本に帰ってこれた。
やや風邪気味だったけど、、

NYへの散歩は出発して帰ってくるまでで5日間だった。
現地で行動していたのは3日間程度だった。
ほんとうに「散歩」程度。
でもそれでもよかった。
初めての海外への冒険だったから。
たいしたことはしてないけど
なんかテキトーに工事したんじゃないかってくらいボコボコの道路とか
そういう現地の人にとっては普通の街なんだけど
そんな普通の街に触れただけでも自分にとってはすごく感じることもあって
大熱唱のスーパーの店員さんとか全部含めて
「あぁ、別にいいんだなこれで」
って思ったんだよね。
何かが体からスーっと抜けてった。
心が軽くなった気がした。
今まで狭い事ばっかり考えすぎていた気がした。
体に力が入りすぎていたかもしれない。
ガチガチだった自分が少し自然体の自分に戻れた気がした。
日本に戻った時NYに行く前とは全然違って見えた。
NYに行ってからの自分は
心が開けたように思う。
それまでの自分は
自分で自分の枠を決めていて
窮屈な中で生きていたように思う。
良くも悪くも色んな人が世の中にはいるんだけど、
この時思い切ってNYに行った事がきっかけで
自分が少しオープンになった。
オープンになると人とつながりやすくなった。
つながっているなかには意見の合わない人もいるけど
出会うから合う合わないを発見できるわけで
出会わなければそれもわからない
この時もしNYに行っていなかったら
自分自身がオープンになれなくて
今、自分の周りにいる仲間も
出会っていない人もいるんじゃないかなって思う。
心をオープンにすればするほど良いかというとそれは違うと思うけど。
だけど他人の個性とぶつかった時に1度その個性を受け入れようとしてみる力。
そんな能力と心のオープンは関係していると思うし、
それをワタシはこのNYへの散歩を通して触れてきたのかなと思ってる。
海外に興味はあるけどどうしようって迷ってる人がいたら
まずは計画だけでもしたらいいと思う。
計画することってすっごく楽しくって、
むしろ行く事より計画することの方が楽しいんじゃないかってくらい。
計画するだけならタダだしね!
べつに絶対行かなきゃいけないわけじゃないし、
もし絶対行かなきゃ行けないところがあるなら
そのひとはもう行ってるな。きっと。笑。
個人的には「海外旅行してみたい」という考え方より、
行きたい場所とか好きな国とかあればそこに行く計画をする方が良いと思うな。
お金とか時間の都合は人それぞれ。
ガチガチに仕事している人であれば例えば
いつごろ(時期)どのくらいまとまった休みとれるのか。
行きたい場所までの飛行機のチケットの空き状況と費用。
行ってなにしよう。
あれして、これして、そうして、ほんでもって。
あー楽し。
そこまで考えたらもう行っちゃうね。
格安貧乏旅行も色々あって楽しかったけど
今度行く時は自分が成長したところをNYの街に見せたいんだよね。
もう少し余裕のある旅にしようと思う。笑。
世界中が笑顔であふれますように。
ありがとう。

TAMBE

