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15/3/29

【第五話】『限界を探しに…』〜死に場所を探して11日間歩き続けたら、どんなものよりも大切な宝物を見付けた話〜

Image by Olia Gozha

本当の気持ち…


「生きたいのか?」

「死にたいのか?」


「生きたくないのか?」

「死にたくないのか?」



しばらく僕は、そんなことを考えていた。





僕の人生を変えた人物の一人に、最も熱い男がいる。





「松岡修造」


そう、この男だ。



僕は、答えの出ない質問を繰り返し、繰り返し、自分自身にしていた。


そんなある日、テレビで炎の体育会TVという番組を見た。


元プロテニスプレイヤーの松岡修造さんが、子どもたちに3日間の合宿でテニスを通して、

「弱い自分を変える」という企画だった。






僕はこの番組で、

日本一熱い男、松岡修造から今後の人生を左右するメッセージを受け取る事になる…。



小学生の、まだまだ幼い子どもたちに、本気で、全力でぶつかる。


「子ども」「大人」ではなく、


「人」「人」として、全力で思いを伝える。


大人げないと思う人もいるだろう。

でも、大人が真剣に、全力で子どもにぶつからないで、

どうやって子どもが、本気や、真剣に取り組むことを学ぶだろう?

どうやって子どもが、全力で一所懸命になれるだろうか?


修造は、子ども達に、何も言わない、何も言えない親に代わって、

「人として」

真剣に、本気で、全力で、子ども達と接する。




練習中、ミスをして


「すみません…」


と謝る子ども。


修造はこう言う。



「一生懸命やってる中で、失敗することは良くあるんだ!」


「そこから、どう悔しがって、どう直していくかが一番だろ!」



楽しく、そして厳しく、真剣に子どもたちに接する。



そして3日目、最終日。


子どもたちの両親が見守る中、最後の試練を与える。


「修造との対決」


子どもたちは皆、弱い自分を変えるためにこの合宿に参加している。


最後の試練…


「強くなった自分」


を両親の目の前で証明する。



勝負は身体がキツくなってから。



修造は、「ここまでするの…?」という程、子どもたちにプレッシャーを与える。


子どもたちを追い詰める。



失敗する子ども、


ボールを追うのを諦めてしまう子ども、


上手くやろうとする子ども、


親に褒めて欲しい子ども、



修造は追い詰め続ける。


体力の限界まで、心が折れそうになるまで。


泣き出す子どもに、こう言う。



「絶対に諦めんな!」


「今まで全部乗り越えてきただろ!」


「強くなれ!」


「君なら絶対に出来る!」


「自分を信じろ!」


「諦めんな!」



そして子どもたちは変わり始める。


今までの自分の殻を破り、


「強い自分」


になる。




幼い子どもたちが一所懸命に頑張る姿に涙が出た。


「あなたなら絶対に出来る!」


と我が子を見守る親の姿に涙が出た。



何より、修造の言葉に涙が止まらなかった。


「こんな小さな子どもだって全力で頑張ってるのに…」


「僕は一体、何をやってるんだろう…」


そう思った。


限界を探しに…



「今まで全部乗り越えて来ただろ!」





僕は、今まで様々なことから逃げてきた。


辛くなったら、嫌になったら逃げてきた。

でも、必ず次のことを見つけた。

逃げたことよりも、もっともっとやりたいことを見つけ続けてきた。



僕はこう思う。


「逃げる」


ということだって、一つの選択なんだ。


多くの人は、


「辞める」=「逃げる」


と思っているかもしれない。


僕もずっとそう思ってきた。


でも、自分が輝ける場所が他にあると思うなら、


辞めてもいい。

逃げてもいい。


と思う。



次のステージに行くためには、必ず何かを辞めなければならない。

「辞める」ということは、新しい選択をするということだ。

そして、「逃げる」ということは、新しい自分を見付けるための、

立派な選択肢の一つだと思う。



その選択は、決して、「諦める」ということではない。


新しい道を前に進むための立派な選択なんだ。



我慢すればいいってもんじゃない。


大切なのは、前へ進むこと。


自分の可能性を信じ、諦めないことだ。





僕は、全てに逃げてきたと思っていた。


たくさん失敗もしてきた。


でもいつだって、辞めたことに後悔はしていない。


自分が思う最良の道を選んできた。


僕だって、


「全て乗り越えて来たんだ!」



そう思った。




しかし、今僕は、また壁にぶつかっている。


そして、「死」を選ぼうとした。


今度は


「逃げる」

ではなく、


「諦める」

という選択をしようとしている。



「強くなれ!」


「絶対に諦めんな!」



修造の言葉が胸に突き刺さる。


胸を突き動かされるというのは、こういうことを言うのだろう。


心臓が急に前に飛び出るような、


背中から胸を撃ち抜かれたような、


そんな感覚がした。



「強くなりたい…」


「弱い自分に勝たなきゃダメだ…」



そう思った。



しかし僕は、いつも最良の選択をして来たつもりだが、

たった一つだけ気になることがある。


それは、何かを辞めた後、

縛られていたものから解放され、気持ちが楽になった時に思う、


「もう少し出来たかもな。」


という感覚だ。


辞めたことへの達成感はあるのだが、

完全燃焼したという感覚は無かった。


僕は、次の選択のためにいつも余力を残していたのだ。


全力を出し尽くして、ダメだった時のこと考え、自分を守っていたのだ。



「限界は自分が決めている。」



本当はもっと出来るはずなのに、傷付くのが嫌で、いつも自分を守っていた。



テニスの子どもたちも、走っても追いつけないボールは取りに行かなかった。


自分で「無理だ」と決め付けて、動かなかった。


でも、あの子たちが強くなったのは、どんなに辛くても、


「絶対に打ち返してやる!」


と思った時だった。


体と心の限界に達した時だった。



強くなるためには、自分の思い込みで固めた殻を破らないといけない。


自分を守っていた殻を、ぶち壊さなきゃいけない。


その殻をぶち壊す力は、限界に達した時じゃないと出てこない。



「限界に挑戦しよう。」



自分の殻を破るために。



「限界を見に行こう。」


自分が、どこまでやれるのか。


自分には、どんな力があるのか。


今の自分は、本当は何を望んでいるのか。



「確かめにいこう。」



そう決めた。



勝負はキツくなってから…


限界に達した時、


極限の状態になった時、


死に直面した時、


「生きたい」


と思うのか、

それとも、


「やっと死ねる」


と思うのか。


「逃げたい」


と思うのか、


「絶対に諦めない」


と思うのか、


自分の本当の気持ちを…


自分の本当の強さを…


自分の手で、自分の足で、自分の身体で確かめに行こう。


そう決めた。



弱い自分に勝つために。


強くなるために。


前へ進むために。




つづく…


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