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15/3/24

「お受験は、親の受験!?」という話  職人パパが、娘と難関私立小受験に挑戦した話 第5話

Image by Olia Gozha

小学校受験は親の受験!と言われたりする。

確かに、メディアでは、スポーツ選手や芸能人の子どもが

○○小学校入学、お受験に成功!といった記事が

載ることがあるし、事実通学しているだろう。


聞くところによれば、

医師や会社社長、弁護士といったパパが多い学校、

もちろん、ママは専業主婦で、子育て&家事に専念というのを

望まれている校風も多いらしい。


そういう噂のような、イメージのなかで、

もう、はじめから諦め半分の気持ちで、

でも、もしかしたら、合格するかも?という

なかば、宝くじを買うかのように、受験する人もいるようだ。

いわゆる「記念受験」。


両親の出身校だったり、

すでに兄弟姉妹が通っていれば、

すでに「ご縁」がある、ご家庭ということで、

ポイントがあるかもしれないし、ないかもしれない(謎)。


代々、その学校に通う一族には、

看板もない、ご紹介がある方だけが入れる「お教室」があったりもするらしい。


我が家は、だれでも、ウェルカムな開かれたお教室に通いはじめた。

そこでは、いろいろなお話が飛び込んでくる。

私立小での、いい話、悪い話。

真偽のほどは定かではなく、その噂で、

ライバルのママたちを霍乱させたいのだという、こわい話も聞く。

すごいな、お受験ママ、と、遠い目をしたくなる。


受験する以上、子どもに「がんばった」ご褒美をあげたい。

合格させてあげたい。

でも、子どもの「がんばり」だけではなく、

親のもつ、

資産、家系図、準備態勢、かき集められた情報量の多さが

問われるとしたら、


そもそも、我が家は、勝負の土俵にのっているのだろうか?


と、心がざわついたりする。


あ~ちゃんが寝てから、

パパに、弱気をぶつけてみた。

「がんばってるからって、合格をいただける保証はないよね・・・」

「やると決めて、始めたことだ。最後まで、やるしかない。俺は、結構、いけるんじゃないかと思うよ」

「親バカ、になってるよ。きっと。これくらい、できる子は、いっぱいいるし。」

「親バカで、いいんだ!親がバカにならなかったら、だれが、この子のためにバカになってやれるんだ?」

それは、そうなんだけど。

本人に不合格を告げる場面を想像するだけで、

もう涙が湧き上がってくる。

その時、わたしは、今までの母親としての自信を失ってしまわないか、

これまで通りの母親でいられるのか、

その覚悟を問われているような気もしてきた。


「結果はどうあれ、ゴールまで、手をつないだまま、走り続けるんだ!もう、スタートしたんだから」


お教室の、よくおできになる子どもたちを思い浮かべてみたり、

ネットで調べた、同じ年に受験の有名人の子どもを調べてみたり。

それを数えたら、もう募集定員を超えていて、

頭がフリーズしてしまった。

あ~ちゃんの席は、あるの?


そんなネガティブな気分のときに、

「できなかったプリントの復習は30枚は、繰り返すから、

結局、1日に100枚くらいプリントをやることになるの」

という、ママの話を聞いて、ドキドキ焦ったり。

でも、うちでは、1日15枚くらいが、めいっぱいだ。



求めなければ、
手に入ることはない。
尋ねなければ答えが、
得られることはない。
前に進まなければ、
ずっと同じ場所に
とどまるだけだ。
              ノラ・ロバーツ




親は、子どものためにみっともなくなってなんぼ!

できるだけのことをして、いっしょに前に進むしかない。

進んだ先にしか、見えない景色を見てみようじゃないか。


何度も何度も、「もう、止めよう・・・」という気持ちに負けそうになりながら、

パパや、あ~ちゃんのまっすぐに前を向く姿勢に、

励まされて、走り続けた。


そして、いよいよ、受験の本番。


先生に引率されて列をなし、

子どもだけの考査空間へ。


あ~ちゃんは、わたしの顔をまっすぐに見て、

口をきゅっと結んで、無言で、「うん」とうなづいた。


その顔は、初陣を飾る若武者のよう。

決然としてすがすがしい表情で、

それを見たら、涙が出そうになったけど、ぐっとこらえて、

大きな温かい気持ちで、うなづき返した。


そして、迷いなく、

あ~ちゃんは、きちんとした姿勢で、

先生の引率と、指示に従って出ていった。


古い古い校舎は、木の階段は磨り減って、

壁も古い、柱も、まるくなるほどになでられたもの。

決して華美ではないけれど、伝統と誇りのある小さな小さな校舎。


11月だというのに、

秋晴れの暑いくらいの陽気。

長く長く感じられる、待ち時間。

紺色の父兄たちは、静かに、身じろぎもしない。


あ~ちゃんは、力を出し切ったのか、

すがすがしい顔でもどってきた。


結果は、わかりません。

ものすごい倍率だし。


だけど、あ~ちゃんの顔は、

大きな山を自分の力で越えようと向かった人だけが、

獲得できる顔になっていたと思う。


たかだか5~6歳の子どもに、
受験をさせるかどうかについては、賛否両論がある。


が、我が家の結論は、

家族でひとつの目標に向かって力を合わせる経験によってしか味わえない、

充実感と、あ~ちゃんの成長をとても至近距離で感じられたことは、

かけがえのない、いい時間だったと思えた。


一次試験のあと、合格していれば、
ついにやってくる、
親子面接という、「全員野球」的な勝負の場。









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