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15/3/20

「やってみせ、いって聞かせて、させてみて・・・」というお話 職人パパが、娘と難関私立小受験に挑戦した話 第4話

Image by Olia Gozha

小学校受験の科目に、

「ペーパー」というジャンルがある。

つまり、プリントを使ったテスト。


小学生以上だと、ふつうに受けているテストにいちばん近いので、

親にとっては、指導しやすい印象を受ける。


ところが、どっこい!!

その内容の広さは、無限大!


算数的な数のあつかい、図形的な知能(立体もふくむ)、

理科的な知識

季節の一般常識

昔話の常識 などなど。


●お日様がここにあると、どの陰が正しいでしょう?

●これは、海の魚でしょうか? 川の魚でしょうか?

●「かぐや姫」は何から生まれたでしょう?

・・・「簡単だな!」とパパ。


だけど


●「親ゆび姫」に出てくる動物は?

●この花は 大きくなったら、どの野菜ができるでしょう?

●この幼虫は、”さなぎ”になると、どれでしょう?

・・・となると、「むむ、どっちだ?!」という顔のまま、トイレに行くパパ。


算数的な数のあつかいも、

数字は、使わない、というか、使えない。

幼稚園児は、数字を知らない前提なので。


なので、3+2、みたいなことを・・・


「うさぎさんが、みかん3個持っていました。

りすさんに、みかん2個をもらうと、全部で何個ですか?

合ってている絵に、○をつけましょう。」


とお話で伝えて、

5個のみかんが並んでいる絵に○をつけたら、正解になる。

単純な足し算は、序の口。



「りんご1個は、みかん2個と同じ重さです。

メロン1個は、りんご3個と同じ重さです。

メロン1個は、みかん何個分ですか?」


と、ふつう、小学3~4年生あたりで習うような「比」の問題を、

6個を導き出さなければ、ならない。

ヒアリングだけで理解して、答えるのは、

大人でも、「ええ?」となるような感覚になる。


ちょっとでも、「ポケ・・」っとしていたら、

「???」となるのだ。

理解力ももちろんだが、集中力も試されている。


図形の問題といえば、

「やかん」のような絵を見せて、

「上から見た絵を描きましょう」とか、

「鏡に映した絵を描きましょう」とかというのもあれば、

「四方からの観察」とも呼ばれるテーマだ。


重ね図形といって、

ふたつの図形を重ねるとどうなるのか?

を見極める問題もある。

一見、簡単そうに聞える内容だけど、

よく似た複雑な図形同士が重なっていると、もう、全部同じに見えてしまい、

大人のほうが、ギブアップしてしまうことも。


「これ、ミスプリなんじゃないかぁ~?」と、首をかしげるパパ。
「これだよぉ~。ほら、ここが違うよ!」と、あ~ちゃん。

・・・というのは、よくあること。


「回転推理」というのは、

いわゆる線対称、点対称の理解。


ただ、この概念を幼稚園児に伝えるには、

具体的に話さなければならないわけで・・・。

折り紙のように、折ったら、どうなる?

ハンコのように、押したらどうなる?

時計の針のように、ぐるりとまわったら、どうなる?


「観覧車」というのも、定番のテーマ。

たぬきさんの2つ前に、うさぎさんが乗っていて、

たぬきさんの3つ後ろに、くまさんが乗ります。

観覧車のかごは、全部10個です。

くまさんと、うさぎさんの間は、いくつのかごがありますか?


みたいな。


こういう問題は、

もう、実際にやってみるのが、いちばん速い。

パパは、実際に観覧車を作ったり、

時計を作ってやってみせて、「ほら、なぁ~!」と。





やってみせ、

いって聞かせて、

させてみて・・・

褒めてやらねば  人は動かじ    

山本五十六 (元帥・海軍大将・連合艦隊司令長官)


もう、リビングには、空き箱で作られた、工作物があふれた。

空き箱を捨てようとすると、

「取っておいて!」と、パパにもあ~ちゃんにも、止められ、

空き箱の山も廊下の端にできあがった。


本番試験の当日。

あ~ちゃんは、「パパとやった折り紙を折って考える問題が、出たんだよ。

たぶん、合っていると思うんだよね~。うふふ」と。


試験は、放送される問題を聞きながら、答えるので、

あ~ちゃんが言っていることの真偽がわからない。

問題用紙も解答用紙も、配られるわけではないので、永遠の謎。


翌年の「過去問」問題集が出るのを待って、

真偽を確かめるしかないのだが、

それすら、学校は問題を公表しないところも多いので、

入学試験を受けた子どもから聞き出したことを統合して、出版されるのだとか。


その出版は、翌年の夏ごろなので、

その時には、あ~ちゃんは、小学1年生の夏休みなわけで、

もう、入学試験のことなど、すっかり忘れていた。だから、謎のまま。


まだ、合格発表の前に、


「理解を作るために、

いっしょに、作ったり、実験したのは、

ほんとうに、いい時間だった。

それだけで、

充分に、受験に挑戦した意味がある」とパパ。


すでに、満足げな様子に、

「いやいや、そうだけど。そうなんだけど、

わたしは、やっぱり、合格がほしい・・・」と心のなかで、つぶやいた。



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