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24歳の頃の私は
枕元にカッターナイフを置いて
「これで、いつでも死ねる」と
自分を安心させなければ、眠りにつくことができなかった。
毎日、どうして自分なんかが生きているのか、わからなかった。
そんな暗闇の中、私はある記憶を思い出した。
あたたかい、黄金の光の中。
母のお腹の中にいた時のキオク。
温もりに包まれている、小さな小さな私が思ったこと。
「お母さんと仲良くなりたい。お母さんを安心させたい。私は元気だから、心配しなくていいよって伝えたい。そしてお母さんはそのままで、ありのままで素敵だよ、産んでくれてありがとうって伝えたい。」
ああ、そうだ。思い出した。
私、そう決意して生まれてきたのに。
このあり様はなんだ。
涙が、溢れた。
母は、私を産む前に一度流産していた。そして、統合失調症だった。
お腹の中にいた私は、母の不安な気持ちを常に察知していた。だからこそ、母を励ましたいと思ったのだった。
しかしながら。
産み落とされた瞬間に、その決意はすっかり忘れてしまった。
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