みんな、
私の着ているものを見て笑ったわ。
でもそれが私の成功の鍵。
みんなと同じ格好をしなかったからよ。
- ココ・シャネル -(1883年~1971年)
フランスの女性ファッションデザイナー。

よく晴れた土曜日。
そう、今日は週末恒例のシューズ洗いの日だ。
一年生になった娘様は、週末になると学校で履くシューズを、小さな手でゴシゴシ洗っていた。
娘様「ママーーー」
お。仕上げかな?
わたし「はいはーい」
娘様「ママ、これ見てー」
あれま。
まるで虫さんにパクりんちょされたように、ポッカリ穴が開いていた。
これは、いけませんな。
わたし「うし。明日買いに行こうー」
娘様「わーい♪」
ー日曜日ー
私は、バタンキューしていた。
しかし、そんなとき母上からお電話リンリンリン。
母上「今日、予定あるー?」
なんというベストなタイミングなのでしょう。
母上が、母上様になった瞬間だった。
わたし「母上様よ。カクカクシカジカで、娘様のシューズ穴パクりんちょなので、シューズを一緒に買いに行ってはくれませんでしょうか?申し訳。」
母上様「ガッテン承知の助!」
ありがたやー
ということで、娘様は母上様とお出かけ。
いってらっしゃいませ。
ー夕方ー
娘様「ただいまー」
わたし「おかえりーシューズは買えたかい?」
娘様「うん♪」
ルンルン娘様に、キュンキュンな母。
じゃあ、名前書こっかね。
ガサガサ、、、
・・・・!?!?
わたし「え?」
袋から出てきたのは、青いシューズだった。
わたし「えっと、赤じゃないの?」
母上様「私も聞いたんだけど、娘様が青がいいって言って。」
娘様「・・・・・・。」
娘様「・・・・。赤にする。。穴開いたやつ、明日履いていく。今日買ったやつは返す。」
気付くと娘様は、目に涙をいっぱい浮かべていた。
私は、はっとした。
私は、一瞬にして娘様の好きを否定してしまったのである。
わたし「ごめんね。ママの言い方が悪かったねっ。青でいいんだよ。」
娘様「・・・。ううん。赤がいい。赤にする。」
私は、激しく後悔した。
そして続けて、こう言った。
わたし「・・本当にごめん。少しママの話を聞いてくれる?」
娘様「・・・うん。」
目に涙をいっぱい浮かべて、頷く娘様。
わたし「あのね。ママね昔から人と違うものが好きだったの。皆とおんなじが嫌でね、いつも自分が好きって思うものを好きでいた。でも、それって皆と違うこともよくあって、変って言われることもあったの。でも、ママねそうゆう時、こう思ったの。【だから何?って】だって自分が好きなものを好きって言えるのって、とっても素敵なことだとママは思うの。むしろ、かっこいいって。個性って知ってる?」
娘様「ううん。」
わたし「個性っていうのはね、その人それぞれの好きなものだったり、素敵なところ。その人にしか、持ってないとくべつなもの。娘様は、なんで青を選んだの?」
娘様「青が好きだから。でも、誰も女の子で青いシューズ履いてる子いないから、笑われるかもって思って。」
わたし「大丈夫。もし誰かに何か言われても、だから何?って思って。娘様が好きって思う気持ちを大事にしていれば、それが当たり前になるから。ママは娘様の個性大好きだよ。かっこいいものが好きな娘様をママはとってもかっこいいって思う。ママはそんな娘様が大好きだよ。ただ、どうしても赤いシューズが良ければ明日また買いに行こう。それは、娘様が決めていいよ。赤にする?青にする?」
娘様「わたし、青いシューズにする!明日から青いシューズ履く!」
そう言ってニッコリ笑った娘様。
わたし「よし!ご飯にしよっか。今日はなんにしようっかなー」
娘様「わたしも手伝うー♪♪」
昔から、私が住む田舎では男の子は青、女の子は赤って決まってた。
私もそうやって育った。
個性を大事にと言いながら、自然と出てしまった言葉。
わたし「えっと、赤じゃないの?」
何気ない一言で、人は迷い後ろへ引き返す。
きっと娘様は、シューズを買う時ただ好きという、理由で青を選んだ。
それを、母親の一言で一瞬で学校の皆のシューズの色を思い浮かべたのだと思う。
人は後悔する生き物。
私も自分の一言を激しく後悔した。
しかし、後悔もあればその後悔を成長に変えることも出来る。
好きなものを選ぶ。
好きなことをする。
好きな人と一緒にいる。
娘様には、そうやって生きていってもらいたい。
もしかすると、後悔することもあるかもしれない。
でも、後悔して成長してほしい。
この世に産まれてまだ7年しか経っていない娘様。
しかし娘様から学ぶことは、私の27年の人生より多くのことを日々学んでいる。
女の子が青。
男の子が赤。
それでもいいじゃないか。
そんなふうに思える日々に幸せを感じる日なのであった。

