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13/3/18

博士課程進学希望だったけど一般企業に就職した時の話

Image by Olia Gozha

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2018/12/5追記

こちらの記事は「アカリク アドベントカレンダー2018」に掲載されました。

(記事の一番下にちょっとした追記があります。)

リンクURL:https://adventcalendar.acaric.jp

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概略

就職なんて考えていなかった文系修士一年生。

しかし進学先は思いもよらず国際色と夢に溢れる活気溢れた大学院。

そんな私が就職を考えたのは、外の世界に飛び出す先輩たちとの出会いがきっかけでした。博士課程には一度就職しても戻ってこれる。でも、新卒で就職できるのは今しかない。

その気持ちが、私を就活に向かわせました。

ちょっと変な大学院

本編に入る前に、私の在籍していた大学院の紹介が必要でしょう。

私が在籍した大学院は、学部を持たない独立の大学院でした。

その中でも学科が3つありました。

・国際開発専攻(途上国支援等の研究)

・国際協力専攻(国際政治、経済関連の研究)

・国際コミュニケーション専攻(言語教育関連の研究)

私の在籍していた国際コミュニケーション専攻は、実は国際協力とは全く関係なく、いわゆる応用言語学の範疇にある専攻でした。

私は他の2専攻の事を全く知らずに入学したのですが、

実はこの2つの専攻こそがパワフルな人々に溢れた専攻だったんです。

(後から考えれば国際開発研究科、ですから当然なんですがね。。)

留学生が多数派。日本人学生もパワフル

さらに、私の大学院は在学生の半分以上が留学生という特徴がありました。

アフリカや東南アジアから、自分の国の貧困と向きあうためにやってきた国費留学生。

自国の日本語教育に興味を持ってやってきた中国人留学生。

変わった所だと、アゼルバイジャンからの留学生なんかもいました。

留学生だけではありません。

日本人の学生も、将来は国際協力を本気で行っていきたいと思うような学生が集まっており、

国際協力隊帰りの方や、国連関連の機関に務めたいという方も多く集まっていたのです。

学内の院生室は専攻学年関係なく机が並んだ大部屋で、私の周りも他の専攻の方だらけ。

各フロアにはフリースペースがあり、お茶をしてる人もあれば餃子パーティをしている人々、更にはタイカレーを作って振舞われる会なんてのも催されました。

その横でイラクの留学生とアフリカの留学生が「平和とは何か」について熱い議論。

公用語はほぼ英語。なんとも賑やかな大学院でした。

まっとうな文系修士として研究をしようと思っていた私はえらいびっくりしました。

だって、私が知っている大学院は、もっと静かで皆黙々と本を読み続けているような所でしたから。

就活生の先輩たち

私の席の周りには当時就職活動で大忙しの先輩たちがいました。

その中でも特に関わりの多かった先輩が、毎日「お茶しよーよー」と私を呼びつけてお茶をしていました。

彼は大学院の中でも特に変わり種で、妙な音楽のライブやイベントを見つけてきては行ってみたり、大きな家に住みたいと思ってなんと1000畳もある一軒家を見つけてきて一人暮らししていたりするような人でした。

そんな彼が、またいろんな業界に就活しているのです。

特に熱心なのが、玩具業界とゲーム業界でした。

楽しそうな会社に入っておしゃれメガネを作るのはどうだろー、等と言っていたのをよく覚えています。

とにかくいろんなモノを実現してしまう人で、結局のところ彼はゲーム業界の会社に就職しました。

就職すると、思ったより色んなことができるんだ

今まで全く企業就職に興味のなかった私ですが、そんな彼の就活の話を聞いていると、何だか面白そうなのです。

何が、というと、企業は私の想像以上に色んなことをやっていた所です。

玩具会社を例にとれば、玩具の企画はもちろん、アニメやゲームとのメディアミックスをやってのけたり、玩具というよりはガジェットに近いようなものを生み出したりして、新しい遊びの形を創造していたりするんです。

社会人になってみればイノベーションだの何だのという価値観が無ければやっていけない厳しい世の中だと判るのですが、その頃の私にとっては目からウロコでした。

新しいものや、新しい価値観を創造する。

研究と同じではないですか。

しかも、もっと速いサイクルで、直接的に社会にインパクトを与えられる。

私が就職に興味がなかったのは、企業が何が出来るのかということを全く知らなかったからだったのです。

選択肢の決め手

それが修士1年生の春の出来事。

入学式も終わったところ、自分の研究テーマも固まっていない。

さて、どうするか。と思いましたが、よく考えれば、

博士課程は試験さえ通ればいつでも戻ってこれます。

博士卒での一般企業就職は修士よりももっともっと難しいことを知っていました。

(そもそもESに「大学院」の選択肢が無い企業だってありましたし。。)

先輩たちの就職状況を見ていると、新卒バリューがギリギリ活かせるのは修士卒までのようだ、という事で、私は就職活動に乗り出したのです。

欲張りに生きてみたい

人生において一つの事を貫き通すこともとても大切ですが、これだ!と思った時に方向転換のできる思い切りの良さも大事なのかな、と思います。

個人的には欲張りに生きてみたいので、ある程度のリスクヘッジが可能なのであれば、少し足を伸ばして新しい大地に踏み入れるのも選択肢が広がるものだと感じています。

ある程度の地点で自分が得た選択肢を収束させていく事は必要でしょうが、とりあえず新卒の就活はしてみてもいいなあ、というところが今の結論です。

10年前の私には想像のつかなかった人生になりつつありますが、その時々の最高の選択をしていると感じているので、今のところ満足しています。

欲張りに生きてみると思いもよらない成果に出会える、そんないい意味でのフラフラ人生をこれからも歩んでいくのかしら、とワクワクしています。


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ということで、卒業年度の大学院生のみなさん、修論(や博論)でお忙しい時期かと思います。また、卒業年度でない方も、就職課進学か…と悩むこともあるかと思います。この記事は、随分前に書かれたものです。この記事を書いた時から、病気になったり、転職したり、いっぱい失恋したりと、びっくりするぐらいたくさんのことがありました。それでも今、胸を張ってとても幸せな人生だなあ、良い決断をしたな、と思っています。

それは、「正しい選択をした」からではなく、「選択したものを正しいものにした」からです。

どういうことかというと、その時々の最善の選択をして、選択肢に対して全力で取り組んできたということなんです。

失敗も間違いもたくさんあります。でも、自分の中で嘘偽りなく「全力出した」と言えるから、わたしの中では「これで良かった」と心から言えるんです。そのことは、この記事を書いた時から変わっていません。いろんな迷いや心配、不安があるかもしれませんが、自信を持って選んで、そして選んだものを最高にしてください。お互いにがんばりましょうね。


最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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