人生の醍醐味294
かかりつけの医者と私
ホノルルに来てはや4年が過ぎた。 偶然、地元の方の紹介で、2年目に家庭医を決める事ができた。
日系人移民が始まって以来、150年の月日が流れ、ホノルルには有難いことに日本生まれの人間が住みやすい環境が整っている。
人生の最後は生まれ育った国の言葉で、医療関係者と意思疎通ができる事が重要だと思い、米国の医学学校で教育を受けた日本生まれのお医者さんを選んだ。
先生のお年は分からないが、 どうも70代らしい印象を受けた。
常識的に、医師を選択する場合、患者が高齢者の場合、自分より若い先生を選ぶのが賢明であるが、 メールで紹介された先生は、いつ退職してもおかしくないような年齢の方だった。
医者と患者が、どちらが長生きするか競争するような結果になりそうだ。
引っ越してきたばかりの時、家庭医を決める事が重要と、盲滅法場当たり的に診察を受けた女医さんは、素人が見ても太り過ぎな方で、けんもほろろな態度にびっくり、一年近く医者と遠のいていた。
やっと、人生の最後を診ていただくと決めた先生は、私と同様高齢者です。 これも運命、医者と患者が長生き競走をするのも、「乙なもの」と、考える事にした。
人生はある意味でゲームみたいな物、心の中でこっそり人生最後の徒競走で、天国へのゴールへどちらが早く入るのか競走してみるのも良い。
今の所、2年に一回の診療にすぎない。 咳がなかなか退散しないので、医者の勧めるレントゲン写真も撮って、今は結果待ちだ。
小児結核の経験があり、しかも、冷房に弱い。 でも、現実に生きている。
医者の診断でも、高血圧ではないし、 糖尿病でもないとの事。 食欲もあり、夜は8時間寝ている。
「人生の最後はホスピスで」と、私が言うと先生は「まだまだだいぶ先の話ですよ。」との事。
「人生をもう少し楽しみなさい。」と言う天の采配らしい。 謹んでお受けして、粘土を使って自分の好きな器を作るように、人生と言う限られた時間を自分と相談しながら有意義に過ごす工夫を続けたい。
レントゲンの結果は異常なし。 どうも、長生きの遺伝子が私を守っているようだ。


