<知らない番号の正体>
お待たせしました。
最終話の後編、ラストです。
最終審査の結果がいつまでたっても郵送されて来ず、
もうすっかり落ちたものと思い込んでどんよりしていた私のところに、
突然かかってきた知らない番号からの電話。
コール音が鳴り続ける中、しばらくその番号を凝視していましたが、
相手が誰(何)なのか一向に思い当たらない。
何かの勧誘か?
それとも借金の取り立て?いや借金はしてないよ。
携帯料金はこないだ払ったばっかだし、
家賃だって滞納はしてないはず...云々。
一瞬の間に色々考えて、結局私は、
その電話を思い切って取ってみることにしました。
ヒグチ「はい.....(怪)もしもし......?」
知らない人「あっ、ヒグチさんの携帯でしょうか?俳協ですけれども〜。おめでとうございます〜」
.......ファ?俳.....?
おめ.......?( ゚д゚)
....ぉおお
....おおおお!
お お お お お お っ っ !!
そ、そうだったのかーーーーっ!!!
...そう。
実は、郵送で知らされていたのは全て不合格通知だったということを、
私はこの時、初めて知ったのです。
合格の通知は、直接電話で知らされたんですね〜(驚)
てか
な ん だ よ !!
(ドンッ/叩
それならそうと事前に言ってくれよ!!
私がどんな思いでこの数日を過ごしたと思ってんだよ!!!
人生リセットしようと思ってたんだぞ!!
クソッ!クソッ!クソッ!!(ドンッ、ドンッ、ドンッッ
...れ、連絡ありがとう〜〜〜〜〜っ!!!
(じゅわぁぁ〜/涙
Na「 僥倖!!圧倒的 僥倖!!!」
さらに驚いたことに、この期の合格者はなんと、
私、ただ1人。
12人中、たった1人だったのです。
最初の受験者数から考えれば、相当な倍率を勝ち抜いたことになります。
ここでふと蘇る、入所試験の時の自分の受験番号。
「1」
この偶然。
この奇跡。
最後に生き残ったのは、1番最初に受験申し込みをしたこの1番の人、
たった1人だったわけです。
その1人が、自分だったわけです。
ここまでの人生の中で、自分の身にこんなミラクルなことが起こったのは、
この時が初めてでした。
「自分はダメじゃない」という、ほのかな自信のようなものが、
この時初めて、少しだけ持てたように思います。
生まれてからこれまでずっと、とことん自分に自信が持てなくて俯いていた私が、
初めて自分から顔を上げることができた日だったように思います。
上京してからしばらくの間は、親に多少の金銭援助はしてもらっていたものの、
それ以外は全て、自分の力で勝ち取ったわけです。
幼少期の泣いてばかりいた自分に、今の自分の姿を見せてやりたいと思いました。
「あんたはダメじゃない」と、
その小さな肩を抱いてやりたいと思いました。
といっても、周りには、私がそんな弱い人間には見えていなかったみたいですが(笑)
でも、心の中にいる「もう一人の私」は、
昔となんら変わらない、クソ弱い人間なのです(´・ω:;.:...
その弱い自分を助けるために、今の強い自分が形成されたように思います。
でも、その強い自分をコツコツつくっていったのは、
結局その弱い自分なんですけどね(笑)
あ。
なんだか心理的な話に逸れてきてしまいましたね(´゚д゚`)
すみません。
さて、ここでN君の話題を。
N君もね、結構私と似ているタイプだったのです。
自分に自信が持てない(笑)
審査前も、私とほとんど同じ思いを抱えていたようです。
以下、ついこの間もらったメールの文面を
そのまま掲載します↓
(※ 本人了承澄み)
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最終審査の時は、「自分の人生をガラリと変える」という強い意識と、
「やはり自分の人生は変わらないのだろう」という弱い意識の
戦いがずっとありましたかな
「受かりたい、プロになる」
「受かるわけ無い、所詮は素人」
そんな心持ちの繰り返しでしたね^_^
当日は「やってやる~!」って行ったのは良いけど、受かりたい気持ちに持っていかれて、
緊張に飲まれ無難にこなしてしまったという現実(笑)
弱さに負けましたな~^_^
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やはりN君も、一生懸命自分と闘っていたんですね(´・ω:;.:...
審査が終わった後の飲み会では、びっくりするくらい落ち込んでました。
というか、落ち込みすぎて逆にハイになってましたね(笑)
私とN君だけでなく、
おそらくあの最終審査に挑んだ12人全員が、
必死で自分と闘っていたのではないかと思います。
私がTwitterでよく言っていることなのですが、
そんな風に、自分との闘いを永久に(仕事を辞めるその時まで)続けていくことが、=声優(というか芸能)の仕事なのではないのかな、と。
今の私はそう認識しています。
だがしかし。
この時の私は、そんなことなど知る由もなく(笑)
「 未来は僕らの手の中ーーーヽ(`▽´)/ 」的な、
うかれポンチ状態だったのでした。
(これで全ての運を使い果たしてしまった....orz という思いもありましたがw)
<そして新たなるステージへ>
さて。
合格の連絡をもらったその後日。
改めて登録手続きをしに、事務所へ挨拶に行った時のこと。
そこで偶然、審査を見に来てくれていたという先輩とお会いしました。
「初めまして!ボイス21期から上がってきました、樋口あかりと申します!」
事務所の一員としての初めての挨拶ということもあり、
かなり緊張した面持ちで挨拶してからフッと顔を上げると、
その先輩は満面の笑みを浮かべながら「あぁ、あの時の♪ 」と立ち止まり、
そしてその後、こう言いました。
「どうも。地獄の一丁目へようこそ(ハァト
よろしくね♪」
.......ファ?( ゚д゚)
ジゴ...?
その後、会う人会う人が「地獄へようこそ(ハァト」と、
まるで慣用句のように口にするではないですか。
地獄...だと....?
ぇそれどういう....(; ゚д゚)
「ざわ..... ざわ.....ざわ〜〜.....!」
ー こ こ か ら 数 年 後 。
その「地獄」の意味を、ヒグチは嫌というほど知ることになるのだが......
それはまた、
別のお話。
〜終わり〜
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<あとがき>
この記事で書かれた内容(養成所での試験や通知方法等)は、
今(2015年)から10年以上前のものです。
業界自体も刻々と変化していますので、
現在も同じことが行われているとは限りません。
ちなみに現在はクラスも増え、教える先生も増えている?模様。
そして、現在の試験内容などについては、一切分かりません。
よって、参考になさる際はほどほどに...(´・ω・`)
他人を参考にしすぎる(助けを求めすぎる)と、
後々詰むことになる可能性大ですよ(笑)
「自分をなんとかしてくれるのは、自分しかいない」
これに尽きると思います。
福本伸行氏の漫画「無頼伝 涯」を読むと、
きっとよく分かるぉ。
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さて。
続き.....というか、
新章ですかね〜... (゜-゜)
書こうかどうしようか。
んー。
悩んでます。
どうですかね。
読みたい人いるのかな?
といっても、ここから先の話は業界の性質上、
書けることと書けないことがあったりするので、
正直あんまり開けっぴろげには語れないのですよね(´・ω:;.:...
ひとつ考えたのは、
登場人物や事務所名などは全て架空の名前を使って(作って)、
物語風に書いてみるということ。
そうなると、私の体験談をかなり脚色することになり、
「真実とウソが入り混じってんだろ?これ」的な表現が多少なりとも出てきます。
まぁ、ウソは書かないようにしますが(笑)
もしくは、
忠実に書いても全く問題ないと判断できるエピソードだけをいくつかピックアップして、なるべく事実をそのまま書くか。
(そうなるとただの「日記」みたい(超無難)になってしまうかな、と。というか、
良いことしか書けない( ´゚д゚`))
あるいは、
「逆境無頼カイジ」(ギャンブル漫画)の世界をパロって書いてみるのもいいかなと。
(今回の記事にはナレーションとざわざわだけ登場しましたが)
ヒグチ:「今月のギャラがたった◯◯◯◯ペリカ....だとっっ....!?ふざけろっ...!」
先輩A:「ところがどっこい!夢じゃありません、現実です...!!」
マネージャーS:「(オーディションに)勝たなければ、ゴミだ!!」
みたいなね(笑)
この業界(特に俳優・声優・アーティスト等の立場)は、
ギャンブルの世界と非常によく似ています。
声優生活というのはまさに「逆境無頼」、鉄骨渡りな毎日。
養成所時代なんかよりもはるかに厳しい生存競争が繰り広げられます。
そんな世界を、この基本コミュ障のヒグチがどうやって生き抜いてきたのか(笑)
面白おかしくお届けできるといいなと思ってはおりますが.....
う ー ん
ど う し よ う 。
難しい(+_+)
何か他に、書いてみて欲しいものなど、
もしご要望があれば、メッセージをどうぞ。
〜END〜


