☆滅ぼし物語☆2期
第3章
ソルはハルトを学園に残し、フィリニアとともに地震を起こしたモンスターを退治するべくマルーナ街の地下水道の奥地へと足を進める。その途中、小型のモンスターたちがソルとフィリニアの前に現れた。
この物語は不思議な世界に再び入りこんだソルが過去を旅するストーリーである。
1話(久々の戦い)
ソルとフィリニアの前に現れたモンスターは戦かったことがあるバットデビィだった。
ソル「行くぜっ!」
ソルはバットデビィに近づき剣を振り下ろす。だが、剣はバットデビィの横を通りすぎた。
ソル「くっ。」
フィリニア「力任せにしてはだめ。よくモンスターをみて」
バットデビィ「キュエエ!」
バットデビィはフィリニアに噛みつこうと素早く近づいた。
フィリニア「えい!」
フィリニアは火の魔法を唱えた。杖の先から火の玉が発射され、バットデビィに命中する。
バットデビィ「キィキィ...」
火がバットデビィを包み、地面に転がり苦しんでいる。
フィリニア「とどめをお願いします。」
ソル「は、はい」
ソルは剣をバットデビィに突き刺した。そうすると、鳴き声をあげつつ動かなくなった。
1話 完
☆バットデビィ☆再説明❗️
説明、洞窟の少し奥で群れている人型の黒い悪魔。背中に小さい翼が生えていて飛行することができるが長時間は飛び続けることはできない。主な攻撃は体当たりや噛みついて攻撃をしかけてくる。バットデビィは生き物の血を吸い取って成長する。長い年月を経て成長するとバットデビルになる。
2話(バットデビィの群れ)
ソルはバットデビィから剣を引き離した。地下水道は異常に静かで、外は雪が降っているため寒気まで感じる。
ソル「焦りすぎたか・・・」
フィリニア「あの、大丈夫?まるで戦ったことのない人みたいに感じたんですが・・・」
ソル「いやいや、久々に戦ったから仕方ないよ....ハハハ」
ソルとフィリニアは再び奥へと進む。その途中、奥から翼で羽ばたく音がすごい速さでこちらに向かってくる。
(バサッバサバサッ....)
ソルは剣を再び構える。奥からやってきたのはバットデビィが8匹。どうやら先程倒したのが仲間を呼んでいたみたいだった。
バットデビィA「キィキィ!!」
バットデビィB「キュエエ!!」
ソル「面倒だな」
フィリニア「そうね」
ソルはバットデビィに斬りかかる。振り下ろした剣は見事に命中してバットデビィが2匹倒れた。
残り6匹。
バットデビィC「キュエエ!」
バットデビィは恐れをなして逃げだし始めた。
フィリニア「逃がさないわ!」
フィリニアは雷の魔法を唱えた。杖から放たれた電撃が6匹のバットデビィを貫く。
バットデビィD「キュエ...」
バットデビィE「キィ..」
ソルはフィリニアが魔法を使っているところを見て、なんだか羨ましくなった。
ソル「魔法すごいな・・・」
フィリニア「そうでしょ。」
バットデビィが倒れている所を踏み越えてソルとフィリニアは再び奥へと進んだ。
2話 完
3話(マルーナ地下水道 奥地)
ソルとフィリニアは歩き続け、だだっ広い空間に出る。
ソル「着いた?」
フィリニア「えぇ。」
辺りを見渡したがなんの気配もない。水の音や外から吹き込む風の音しか聞こえてこない。
ソル「なにもいないみたいだな。じゃあさっきの揺れは・・・」
フィリニア「どうしてかしら・・・」
ソルはだだっ広い空間の奥側にある巨大な水たまりが気になった。
ソル「あの水たまりは?」
フィリニア「え?あんなところにいるかな?」
フィリニアは疑問に思いつつ、落ちている石を水たまりの中へと落とす。
(ガキッ)
石がなにかにぶつかり、水面に泡が上がる。
ソル「やはりな」
泡が上がる速度は次第に早くなり、モンスターが水面に姿をあらわした。
3話 完
4話(地震を起こした者)
モンスターは水たまりから出てきて辺りを見回している。
ソル「あいつはなんだ?」
フィリニア「あのモンスターはスイリュね。私は何度か倒したけどこんなに大きなのは始めて見たわ」
スイリュ「キピィィ!!」
スイリュはソルとフィリニアの存在に気づき警戒し始めている。ソルは剣を握り、スイリュに素早く近づき弧を描くように剣を振り下ろす。
ソル「この感覚・・・そうか!!」
先程とは違う手ごたえを感じた。剣はスイリュの鱗を削りながらめり込んだ。
スイリュ「キピィ!!」
ソルの攻撃に驚き、スイリュは長い尻尾で薙ぎ払うように反撃をしてきた。ソルは反応が遅れ、スイリュの尻尾をまともに受けた。
ソル「ぐはぁ!」
ソルはスイリュの尻尾攻撃を受けて地下水道の壁に叩きつけられる。
フィリニア「だめ!真正面から突っ込むのは危険です。」
ソル「そ、それは早く言ってくれないと困る・・・」
ソルは地下水道の壁に背中を強く打ったらしく、痛みを必死に堪えている。
スイリュ「キピィ!!」
スイリュは隙を与えないかのように水ブレスをソルに放つ。
ソル「う、うわぁ!」
スイリュが放った水ブレスはソルに向かっていく。その時、火の玉が飛んできて水ブレスを間一髪かき消した。
ソル「ありがとう。」
フィリニア「早く立って!」
ソルは背中の痛みを我慢して立ち上がり、剣を構え直した。
4話 完
☆スイリュ☆
説明、普段は川や海に生息している蛇のモンスター。サイズは小さいのから大きいのまであり、場所によってサイズが変わっている。攻撃方法は、尻尾を使った薙ぎ払いや、水ブレス、体当たり、噛み付く。様々な攻撃ができる。身体を守る鱗は硬そうに見えて実は柔らかく、斬撃が一番効く。真正面から攻撃を仕掛けると危険なため、後ろに回りこんで攻撃するのが得策。
5話(スイリュとの戦闘「1」)
ソルは背中の痛みがまだ残っていた。地下水道の壁は異常に固く、鎧を着ているわけではなかったので衝突した時の衝撃を和らげる術はなかった。
フィリニア「まだ戦える?」
ソル「あ、あぁ。大丈夫だ」
スイリュは水ブレスを連続でソルに3発放った。
スイリュ「キピィィ」
フィリニア「避けて!」
ソル「言われなくともっ!」
横に回避したソルだったが水ブレスの射程範囲内だった。直撃したわけではなく、地下水道の壁に水ブレスが当たって水の塊がソルに襲いかかった。
(バシャアッ!)
ソルは水の塊に当たり、ビショビショに濡れた。さらに、外から吹き込む風により寒さが倍増する。
ソル「さ、さぶい・・・やばぁい」
フィリニア「もうっ!」
フィリニアはソルの心配を止めてスイリュに火の魔法を連続で唱える。杖の先から連続で放たれた火の玉の数は約6個。
スイリュ「キピィ?!」
火の玉は全てスイリュの身体へと吸い込まれるように当たっていく。
ソル「ず、ずげぇ」
あまりの寒さにソルは身体が凍りつきそうだ。さらに、剣を持つ手は悴んで動かなくなっていた。
ソル「く・・・」
その時、火の玉がソルに当たるすれすれに通り過ぎる。一瞬ではあったが服は乾き、寒さが消えて手が自由に動くようになった。
フィリニア「後でお仕置きね♪」
ソル「く・・・わかったよ」
ソルは剣を握り締めて、スイリュの後ろ側へと素早く回りこみ、剣を振り下ろした。
5話 完
6話(スイリュとの戦闘「2」)
振り下ろされた剣はスイリュの背中の鱗を切り裂き、柔らかい部分が剥き出しになる。
ソル「よしっ!このまま...」
剣を柔らかい部分に突き立てた。スイリュは苦しみ始め、バタバタと動いてソルから遠ざかる。剣は突き刺さったままで確実に体力を削っていく。
フィリニア「やるわね」
ソル「これでお仕置きはなしに!」
フィリニア「いえ、やっぱりだめ」
ソル「ず、ずるいぞ(泣)」
スイリュはバタバタとさせて刺さっている剣が抜け落ちた。
(カランカラン)
ソル「俺は剣を取りにいく。フィリニア、援護を頼む!」
フィリニア「わかった」
ソルは剣が落ちているところに走っていく。スイリュはそれをさせないかのように水ブレスを吐いたがフィリニアが火の魔法でかき消した。
**********
一方そのころ、ハルトはマルーナ魔法学園の部屋に一人でいた。
6話 完
7話(ハルトの危機)
マルーナ魔法学園の部屋でソルの帰りを待つハルトはため息を吐きつつ一人言を言っていた。
ハルト「くそぉ、来なきゃよかった・・・なんでこんな目に」
ハルトは未だにマルーナ魔法学園の制服を着ていた。頭を抱えて考え言を始めようとしたその時、誰かがドアをノックしてきた。
(コンコン)
ハルト「ソルか!」
しかし、入って来たのはマルーナ魔法学園の女子生徒3人だった。
女子生徒A「一人で寂しくないの?」
女子生徒B「せっかくだし一緒に遊ぼうかな〜、とみんなで話しあったんだよ」
ハルト「俺は眠い!出て行ってくれ」
ハルトはしまった!と視線を逸らした。
女子生徒C「知ってるわ、大丈夫よ」
ハルト「え?」
女子生徒A「なりたいんでしょ?女に」
ハルト「ちげーよ!どこからその発想が生まれたんだよ?!(怒)」
そうするとハルトの言い分は無視して女子生徒たちはハルトを取り囲んでなにかをし始めた。
女子生徒A「もうすぐ楽にしてあげるから」
ハルト「や、やめろぉ〜!!」
ハルトは抵抗できず、???なことをされてしまった。
7話 完
8話(スイリュとの戦闘「3」)
*********
ソル「よし!剣を拾った!」
ソルは剣を持ち上げながら再びスイリュの後ろに回りこみ、柔らかい部分に振り下ろした。振り下ろされた剣は見事に当たり、スイリュの柔らかい部分を傷つけていく。
スイリュ「キピィィ....」
鳴き声はだんだん弱まって倒れる寸前まできていた。
フィリニア「あと少し」
フィリニアは雷の魔法を唱え、杖から放たれた電撃がスイリュの頭を貫いた。
スイリュ「キ....ピィ...」
スイリュはバタバタと動き、その後地面に伏して動かなくなった。
ソル「終わったな・・・」
ソルは剣をしまい、大きく息を吸った。戦闘が終わり、地下水道のだだっ広い空間は再び水の音や外から吹き込む風の音だけとなった。
フィリニア「・・・地震を起こしたのはスイリュの仕業でした。頭に大きな傷があります。」
ソル「本当だ」
フィリニアとソルはスイリュを倒し終え、地下水道を後にした。
*******
地下水道からマルーナ魔法学園へ続く階段を登ってソルはハルトがいる部屋に向かい、フィリニアはアラウネ校長の元へと向かっていった。
8話 完
9話(変わり果てた姿)
ソルはハルトがいる部屋の前に立ち、ドアをノックしようとしたが中が騒がしいので気になって耳をドアに当てた。
ハルト「もう、やめてくれ」
女子生徒A「あと少し・・・」
女子生徒B「完成〜!どう?疲れとれた?」
ハルト「とれるか!!(怒)」
ハルト「女には手を出せない・・・出したらここから追い出されるッ!(ボソッ)」
ソルはドアノックして素早く部屋に入った。
(バタン!!)
ハルト「ソル・・・助けてくれぇ」
ソル「なにされたッ?!」
ハルトは化粧されてさらにその他色々をされてしまい、見た目が女性になってもはや別人と化していた。
女子生徒A「ん?あなたは確かこの人と一緒にいた・・・」
ソル「思い出さなくていい、だから一旦この部屋から出ていってくれ」
女子生徒B「仕方ないわね。みんな、行くよ。」
女子生徒3人は部屋から出ていきハルトとソル2人だけになる。
ハルト「あ、ありがとう〜。まじで死ぬかと思ってた(泣)」
ソル「それで死んだらこっちが困る」
ハルト「どうしよう。これじゃあ外にいけないよ〜」
ソル「あぁ、いま吹雪だからな」
話し合いをしているとすっかり暗くなっていた。吹雪は少し弱まり、寒い風が部屋に入ってこなくなった。
9話 完
10話(報告)
[マルーナ魔法学園校長室]
(トントン)
アラウネ校長「どうぞ」
フィリニア「失礼します。」
フィリニアはソルと一旦別れ、地下水道であったことを報告しにきた。
フィリニア「地下水道の奥地にとても大きなスイリュがいました。」
アラウネ校長「で、倒せたのかい?」
フィリニア「えぇ、ソルさんが手伝ってくれたおかげで助かりました。あと、魔王の存在を知っているみたいです」
アラウネ校長は考え込む。数分の時間が流れたあと、再び喋り始めた。
アラウネ校長「それは本当ですか?この世界の魔王の存在に?」
フィリニア「そうみたいです。なので、あの人たちに魔王を倒すのを手伝って貰おうと思いまして」
アラウネ校長「じゃあ明日にでも行きなさい。ある程度の準備はこちらでします。」
フィリニアはお礼を言い、校長室を後にした。
10話 完
11話(旅の前夜)
ソルとハルトはお風呂場に来ていた。まだ、誰も来ていないので忙いで入る。
ハルト「くそっ!化粧が落ちない」
ソル「これを使え。」
ソルは近くにあった洗顔料を渡した。ハルトが使い始めると、ソルは洗顔料の容器の裏になにか書いてあることに気づく。
ソル「ん?えーと、化粧長持ち?」
ソルが読みあげるとともにハルトは倒れた。
ソル「ハ、ハルトッ!!」
******
ハルト「ん・・・ここは?」
ソル「やっと起きたか。ここまで運ぶの大変だったよ。感謝しろよな」
ハルト「ソル、ひどいよ・・・ここまですることないだろッ!」
ハルトは布団を敷いて潜り混んだ。ソルはそれを見てなんだか悪いことしてしまったと反省した。
(トントン)
フィリニア「ちょっと話しをしませんか?」
ソル「え、いいけど」
ソルは部屋を出てフィリニアの前に立つ。
ソル「なんだ?」
フィリニア「私と魔王を倒しに行ってくれませんか?こうしている間でもモンスターの数は増え続けています。だから魔王を倒すことでモンスターを減らそうと考えているのです」
(引き受けてください・・・)
ソル「あぁ、勿論だ。俺たちも魔王を倒すために旅を続けている。」
フィリニア「ありがとう。では明日出発するので準備を整えて下さい。」
ソルは部屋に戻ろうとした時、フィリニアはお休みと言ってくれた。
ソル「まぁ、終わり良ければ全てよしとしよう」
(バサッ!)
ハルト「良くねーよッ!」
ソルは布団を敷いて潜りこんで眠りについた。
ソル「・・・zzz」
沢山動いたからか、今回は寒くても簡単に寝ることができた。
11話 完
12話(旅の始まり)
朝を迎えて、ソルは目を覚まして大きなあくびをする。
ソル「ハルト、起きろ。」
ハルトは珍しくまだ寝ていた。昨日散々な目にあったから疲れたのだろう。
ハルト「ふぁ〜。良く寝た〜」
(トントン)
フィリニア「準備は出来ましたか?」
ソル「いや、まだだ」
フィリニア「では手伝いますね。」
ソル「ありがとう」
(ガチャッ!)
ドアの開く音とともにフィリニアは部屋の中を見渡す。
フィリニア「ハルトさんは変態に?」
ソル「あぁ」
ハルト「やめてくれますか?(怒)」
フィリニアはハルトに近づき、髪を櫛で溶き始めた。その時、ハルトは自分の頭の異変に気づいた。
ハルト「え、なんか伸びてる・・・くそっ!あの女子3人組にやられたからか」
ソル「なぁ、俺とフィリニアがモンスターを倒しに行っている間になにが起こった?説明してくれ」
ハルトが説明し始めるとなんだか怒る理由が分かる気がした。だけどそんなのは関係ない。
ハルト「てなわけだ。ほら、もう準備終わったから旅に出よう。
ソル「そうだな」
フィリニア「では行きましょう。」
俺たちはマルーナ魔法学園を出た。後ろからアラウネ校長が手を振ってくれている。
アラウネ校長「頑張って下さいね」
マルーナ街を出た後、行き先を決める話しを始めた。
ソル「どこにいく?」
フィリニア「とりあえず北へ向かいましょう。確かそこに大きな街があります。魔王についてなにか聞き出せるかもしれません。」
ソルとハルト、フィリニアは北へと向かい始めた。凍えそうな寒さは消えず、さらに気温が低くなる一方だった。
フィリニア「剣士と変態と魔法使い・・・楽しい旅ができそうね」
ハルト「変態って誰だよ?!(怒)
北へと続く道を進み、マルーナ街が視界から外れていく。ソルは、ここから始まる旅に大きな期待を胸に込めた。
3章 完