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15/1/3

五十路にて、感性の旅、マンハッタン

Image by Olia Gozha

まだ二十代のころ、アムトラックに乗ってアメリカじゅうを一周の旅に出かけるのが夢だった。その夢はなぜかかなわなかったが、突然何かにつかれたように、ボストンからニューヨークに電車で旅をしようと思い立った。

朝早く仕事に行く娘にウエストウッドの駅でおろしてもらって、駅で予約していた切符を受け取って、ホームでアムトラックを待つ。雨が降り出したうえに、風が強く、冷たいボストンの朝である。なんか寂しげで、ひとり旅にはピッタリであった。

滑り込んできた列車に乗り込み、窓側の席に腰かけたら、隣の席に、さっきホームで話しかけてきた暖かそうなマフラーと指輪をたくさんはめ込んだ女性が隣に座った。娘さんがボストンの大学に入りそのままボストンで就職して結婚したので、ニュージャージーに住んでいる彼女は時々電車に乗って会いにくるのだそうだ。私も娘が同じ状況だったので話しがはずんだ。

話しながら、次々ととまるプラットホームに淋しそうに立っている人たちを見ながら、昔見た古い映画の場面を見ているような気がした。「恋に落ちて」という映画を覚えている人がいるだろうか。あれは確か、ロングアイランド鉄道の電車だったと思うけど、ロマンチックな映画だった。

四時間も乗った感覚がないままあっという間に列車はマンハッタンの中心のペンステーションについた。



何の計画も立てていない、ただマンハッタンに住んでいる画家の友達のうちに二,三日泊めてもらうということだけできた。急ぐこともないので、街角のイタリアンレストランでランチ。雨でびしょ濡れになって飛び込んだ割には、とてもおいしいイタリアン。やさしい渋さの光るウエイターのサービスに満足して店を出た。

雨が降っているので、なかなかイエローキャブがひろえない。ほとんどあきらめかけていると、急に止まってくれた。ラッキーとばかり乗り込んで早速友達のロフトへ。彼女にもほんの二,三日前に連絡して予定を尋ねたばかり。まったくの思い付きのたびである。でも、なぜかわからないが、彼女に急にあいに行きたくなったのである。そんなわけだから、彼女には今晩パーティの予定が入っていて、私に夕食と二冊の本を残してでかけていった。

彼女のロフトは本がたくさん。



一人で夕食を済ませた後、彼女の友達が日本から送ってくれたというその二冊の本を読み始めた。その本はすごい本だった。読み始めると止まらなくなって、あっという間に二冊とも読み終えてしまった。私はひょっとしてこの本に出合うためにここに来たの?と思うほどのほんであった。

パーティから帰ってきた彼女にそれを告げると不思議がっていた。私が来る前にこの本をなんとなく私がねるベットの上に出しておこうと思ったのだという。なぜかわからないけど、そう思ったのだそうだ。不思議な旅はまだつづく。

友達は画家であるが、生き方もアーチストなのである。本当に感性が強いというか、感性だけでいきているようなひとである。それは、彼女の仕事場をみればわかる。


彼女のように生きてみたいと思わせる、不思議な魅力を持った女性である。

翌朝、

彼女「メトロポリタンミュージアムに久しぶりにいこうよ。」

という一言で今日の予定が決定して、地下鉄に乗り込んだ。地下鉄の中でお互いの近況を話していて、私が最近興味をもっているヒーリングの話しをしはじめたら、突然彼女が

彼女「今スグ電車をおりましょ!!!」

といいだしたので、びっくりしたら、彼女の家に戻ろうといい始めたのである。えーなんでここまで来たのにと思ったら。実は今日彼女の家に、私が興味を持っているヒーリングの人が来ることになっているので、紹介したいといいだしたのです。

「どうする、電車おりる、それともこのままいく?」

私は彼女の感性を問うような質問に少しとまどったが、これは偶然ではなくて、必然なんだと思えて、電車をおりた。彼女と今来た道を歩きながら帰って、少しドキドキしながら家にまたもどってきた。

するとしばらくして、その人があらわれた。自己紹介をした後、ヒーリングの仕事のことや、エネルギーワークのことを話してくれて、それはとてもとても勉強になった。彼は私には強いエネルギーを感じるといってくれた。私はあの本とこの人の話しを聞くためにここにきたのだと感じた。

その人にお礼を言って、また二人でサブウエイに戻って、メトロポリタンミュージアムをめざしたが、突然電車を降りたことがおかしくて、笑い続けた。

何の予定もないひとり旅っておかしい。感性のままに動ける旅って素敵だ。私たちはそのままミュージアムに向かった。


私はこの旅の後、自分の感性を信じて生きることを決めた。




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